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zoom RSS 鬼龍院花子の生涯 (書籍)

<<   作成日時 : 2016/01/23 23:33   >>

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宮尾登美子著 文春文庫
☆☆☆★★★

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大正四年、鬼龍院政五郎は故郷・土佐高知の町に男稼業の看板を掲げ、相撲や飛行機の興行をうったり労働争議に介入したりの華やかな活躍を見せる。鬼政をとりまく「男」を売る社会のしがらみ、そして娘花子・養女松恵を中心とした女たちの愛憎入り乱れた人生模様を、女流作家独自の艶冶の筆にのせた傑作長篇。(文庫解説より)

「わては高知の侠客鬼龍院政五郎の、鬼政の娘じゃき、なめたら、なめたらいかんぜよ」

映画版の夏目雅子のこのセリフは一世を風靡したので、映画の世界を思い起こしながらこの小説を読み始めたのですが、映画は原作をかなり脚色した作品だという事がわかりました。

映画は、何人かの人物をひとまとめにしたり、鬼龍院政五郎の人物像、幾つかのシーンに脚色を加えて、映画らしくかなりドラマチックにしてういるのがわかりましたが、映画は映画でとても素晴らしく、宮尾登美子氏自身が自分の作品の映画化で最も上出来の作品と評していたそうです。

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小説版は、不幸なきっかけで作品の語り部となる松恵が、鬼龍院政五郎の養女となり、彼女の目を通して見た、戦前〜戦後の任侠世界の移り変わりと、みじめな終焉を描ききっていて、語り部となる松恵も決して幸福とは言えない人生を送ります。

実は宮尾登美子氏の作品を読むのはこれが初めてだったのですが、文章の見事さと、構成力の確かさにには舌を巻きました。

社会情勢や、やくざの世界の細かい描写の面白さもさる事ながら、男性に従って生きていかざるを得なかった昔の女性達の生き様、哀しみ、したたかさ、そんなこんながしみじみと心に伝わってきて、女流文学とはかくあるべきだな・・と思わされる事しきりでした。

鬼龍院政五郎が溺愛した実娘の花子は悲惨な生涯を終えるのですが、映画版のドラマチックな展開よりも、現実感がひしひしと伝わってきて、静かな、そして淡々とした文章の中に人生の儚さ、残酷さをよりいっそう感じました。

この作品は因果の物語でもあり、だからこそ、この作品は鬼政が実質上の主人公でありながら、タイトルは「鬼龍院花子の生涯」なのですね。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
宮尾登美子さんは大好きで、自伝的な4部作のほか、いくつか作品を読みましたが、そういえば、代表作のひとつであるこの作品は読んでいなかったです。実は話題になった映画も見ていないのですよね...。
お話をうかがって、いかにも登美子さんらしい作品だな...としみじみとした気持ちになりました。久しぶりに彼女の作品、読んでみたいです。
セレンディピティ
2016/01/24 15:32
セレンディピティ さん

こんばんは。
宮尾さんは、妹は好きでよく読んでたのですが、私はこの作品がはじめてでした〜。
文章が本当に素晴らしかったので、私もまた他の作品を読んでみようと思います。

映画は、ちょっと扇情的なのですが、すごく良かったですよ。

通勤時間が以前よりかなり長くなったので、読書時間が増えました。本の記事もちょっと増えそうです。
ごみつ
2016/01/25 00:26
ごみつさん、こんばんは。
一時期日本のヤクザ映画にハマった時、この映画も見ました。
小説は読んだことないですが、今思うと凄まじい人生だよなぁ、と思い出します。
カッコよく、潔く生きる女性って、当時憧れでもあったけど、
今はもうそんな気張った女性に惹かれる人は少ないような。
それだけ、女性の地位が上がったということなのかな。この映画を見た頃を思い出し、改めて女性も普通に強く生きられるような時代になったのだと、実感しました。
dumbo
2016/01/26 22:51
dumbo さん

こんばんは!

私、この作品の映画版はかなり好きです。
ラストが壮絶なんですよね〜。
久しぶりで、映画も見直したいな。

小説は、映画に比べると、かなり淡々としてるのですが、語り部となってる松恵(夏目雅子が演じた)は、学問好きで、努力しながら教師にまでなるんだけど、養父が鬼政なもんで、失職した上に、結婚も出来ない生涯を終えるんですよね。

映画みたいにドラマチックな演出がないだけに、当時の女性の置かれた立場なんかもリアルに迫ってきて、秀作ですよ。
お勧めです。

引っ越して早1ケ月。だいぶ生活にも慣れて落ち着いてきました。後は、銀行がらみの案件が残ってて、それが終わったら完全に終了です。

また連絡するので是非遊びに来てくんなまし。
ごみつ
2016/01/27 00:02
こちらにも。
鬼龍院花子の生涯、さっそく読みました。
花子が主人公かと思って読み始めたら、主人公は語り部の松恵だったのですね。読みながら、おそらく登美子さんがご自身を投影した役どころなのだろうな...と思いました。
そして夏目雅子が演じたのも松恵だったのですね! TVで繰り返し流れた「なめたらいかんぜよ!」が、小説の松恵とまったくタイプが違うのでびっくりですが、いつか映画の方も見てみたいです。
セレンディピティ
2016/02/13 00:35
セレンディピティ さん

こちらにもコメント有難うございます。
早速、読まれたんですね!
凄く面白くて、私もあっという間に読み終えてしまいました。

そうなんですよ、夏目雅子は松恵なんです。で、この作品のタイトルが「鬼龍院花子の生涯」になってるのも、物凄く余韻を感じさせるんですよね。

読み始めの頃は、松恵が最後に「なめたらいかんぜよ!」って言うのを楽しみにしてたのですが、(笑)途中で、「あ、これは映画だけだな」とわかりました。
このセリフは、無くなった夫の遺骨をもらいに行った時に言うんですよね、確か。
あそこで、このセリフが出たらスカ!っとしそうです。(笑)

私も年内には、何か他の宮尾登美子さんの作品読んでみるつもりです。
ごみつ
2016/02/14 00:44

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