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<<   作成日時 : 2016/02/12 21:02   >>

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Bridge Of Spies
2015年/アメリカ (監)スティーブン・スピルバーグ
(演)トム・ハンクス マーク・ライランス エイミー・ライアン アラン・アルダ スコット・シェパード セバスチャン・コッホ オースティン・ストウェル ウィル・ロジャース 
☆☆☆★★★

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http://www.foxmovies-jp.com/bridgeofspy/

スピルバーグ監督、コエーン兄弟が脚本による実話の映画化作品。米ソ冷戦が最も緊張状態にあった1957年の、実際に行われたスパイの交換をめぐる交渉を描いた作品です。

1957年、ニューヨークでルドルフ・アベルという男がスパイ容疑で逮捕される。国選弁護人として彼の弁護を引き受けた弁護士のジェームズ・ドノヴァンは、ソ連のスパイを弁護した事で世間の非難を浴びるが、職責をまっとうし彼の死刑を回避させる。

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5年後、アメリカの偵察機がソ連領空で撃墜され、アメリカ人パイロットのパワーズがスパイ容疑で拘束されてします。アメリカ政府はパワーズを救出するためにルドルフ・アベルとの交換を計画。国同士の正式な交渉劇を避けたいアメリカ政府は、民間の弁護士であるドノヴァンに交渉を依頼するのだが・・。

インタビューでスピルバーグ監督は、自分は2種類の映画を撮っていると語っているそうです。

一つは「インディ・ジョーンズ」や「ジュラシック・パーク」の様に、誰もがポップコーンをほおばりながら無条件で楽しめて、なおかつ巨額の興行収入を得られる映画。

そしてもう一つは、自分がつくるべきであるという使命のもとに撮影している作品なのだそうですが、「カラー・パープル」「シンドラーのリスト」」「ミュンヘン」、そして、間違いなくこの作品も後者の1本だと思います。

映画は正攻法でかっちりと作られているのですが、何が感動的かと言うと、こんなにも正統的な主題を何のてらいもなく大作映画に仕立て上げているスピルバーグの力量の凄さでした。

お話が地味なので気が付きにくいですが、かわされるセリフ、シーンの中での人物の立ち位置、そして照明から何から、凄い見事なのに、まったくそれを意識させないんですよね。

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そしてこの映像世界、物語世界を、しっかりと支えている役者達の演技も見事でした。特にルドルフ・アベルを演じたマーク・ライランスは助演男優賞とれるんじゃないでしょうか?あのオープニングシーンの見事な事よ!あのシーンに、このルドルフ・アベルの全てが語られているんですよね。

自分を見て、自分を描き、描かれた自分に見つめられる自分。

民間の弁護士が、下手したら自らの命を失い、場合によっては国家間の危機をも招きかねない交渉を成功させるまでのストーリーが、緊張の連続なのでそれだけでも楽しめますが、やっぱり、私は、この「民主主義とは何か、法治とは何か、どんな人間であっても正式な裁判にかけられる権利を持つ」っていう、まことにもって正義そのものっていうテーマを、堂々と正面から描ききるスピルバーグの作家としての姿勢に、私は最も感動しました。

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人間は、理由もなく殺されたり、国に利用されたりするべき存在ではない。それが17世紀(もっと前かしら?)くらいから、大きな犠牲を出しながらも、文明社会において勝ち得てきた概念でしょう。ところが20世紀、21世紀の現在において、自由と平等をスローガンとして建国されたアメリカは、果たしてそれを忘れていませんか?っていうスピルバーグのメッセージなんだと感じました。

そういう意味で、この映画は「リンカーン」ととても似た映画でもあるんですよね。

スピルバーグはこっちが恥ずかしくなるくらいファンタジックな世界を描く人ですが、半面、残酷なシーンの描写は容赦せず、目をそむける様な演出をしてくる人。でも今回は終始、暖かい目線とトーンで描かれていたのも気に入りました。
地味ながらとても良い作品だと思いました。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
ブリッジ・オブ・スパイ
スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演、コーエン兄弟脚本の、米ソ冷戦時代を舞台にし ...続きを見る
セレンディピティ ダイアリー
2016/02/13 00:21
ブリッジ・オブ・スパイ 【映画】
BRIDGE OF SPIES 2015年 アメリカ スティーヴン・スピルバーグ(監督) トム・ハンクス、マーク・ライランス、ピーター・マクロビー、アラン・アルダ、イヴ・ヒューソン、エイミー・ライアン、オースティン・ストウェル、ゼヴァスチャン・コッホほか ...続きを見る
Balkan's Memorandum
2016/02/13 12:05

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
真摯に作られたいい作品でしたね。
後半のスパイ交換交渉も手に汗握りましたが、私も前半のクライマックス、最高裁でのドノヴァンのスピーチが一番感動しました。ここがこの作品の一番のテーマでもありましたね。
スピルバーグ監督の温かい目線が感じられて、私もとても気に入りました☆
セレンディピティ
2016/02/13 00:20
おはようございます!

この作品で私がいちばん気に入ったのは戦後の東ベルリンのあれこれ(街並みとか、役所の内部とか、無駄にハンサムなチンピラとか)です。ベルリンの壁を見るとそれだけで心拍数が上がる冷戦世代(?)の人間として、どんどん煉瓦が積みあげられていくさまには、じわっと緊張しました。そういうとこ、さすがスピルバーグです。
欲をいえば、ドノヴァンはもうちょっと悪人顔の俳優にやってもらいたかった……
Tae
2016/02/13 12:04
良い映画でした。ただ、あの映画だと、なぜに東ドイツがアメリカを、というかCIAとKGBの間に割り込んできたのかが分かりずらいと思います。
アメリカの情報部は、その創設時からドイツ人が深く関与しており、裏切り者のドイツ人がいるCIAの存在を、東ドイツは快く思っていなかったことが、事をこじらせた一因だとされています。U2墜落事件は、冷戦下で起きた事件でも特筆すべきものですが、最近は忘れられがち。その意味で、タイムリーだった気がします。
ヌマンタ
2016/02/13 15:28
セレンディピティ さん

こんばんは。
前半にこの作品のテーマが提示されて、後半はそれを命をかけてつらぬく行動の物語になるんですよね。

先日、セレンさんのところで、東京裁判のアメリカ人弁護士のお話させていただいたけど、もうひとつ好きなのが、「ユダヤ人は全員殺して滅亡させる!」発言をして逮捕された男を弁護したのがユダヤ人の方だったんだけど、「彼の意見には自分の生命をかけてでも反対するが、同じく彼がそれを発言する権利がある事を自分の生命をかけて守る」って言ったっていうエピソードを読んだ事があります。

アメリカの弁護士さんらしいし、そういう伝統が歴史的にもあるのかもしれませんね。

映画の中でCIAの人に、君はドイツ系だし、僕はアイルランド系だ。僕たちをアメリカ人たらしめているのが、アメリカの憲法だ。だからそれを守らなければいけない」みたいなセリフもありましたし、やっぱりそもそもの建国の精神からうまれてくるキャラクターなんだろうと感じました。

良い映画でしたね〜。
ごみつ
2016/02/14 00:12
Tae さん

こんばんは!
そうそう、ベルリンの壁がつくられるシーン、凄い臨場感ありましたよね。何か、実際1〜2日でつくられちゃったみたいで、あの留学生みたいに、ちょっと買い物に出て自宅に戻れなくなった人が大勢いたらしいですね。

ドノヴァンがもうちょい悪人面だと良かった説(笑)、よくわかります!
あんだけの仕事をやってのける人だから、絶対に策略家でもあったし、映画見ててもいくぶんギャンブラーでしたもんね。

私的にもう一つ好きなシーンは、トム・ハンクスが西ドイツに戻ってきてヒルトンでモーニングを注文するシーンです。(笑)

この映画、全編を通してCIAメンバーが少し間抜けっぽいところが笑えました。
ごみつ
2016/02/14 00:21
ヌマンタ さん

こんばんは。

ヌマンタさんが記事で、まず中華民族のお話をされていたのが、映画を見てしっくりと理解できました。
アメリカと中国って、まさに国民の感性とかが正反対と言っても良いくらい違いますもんね。
同じ他民族国家も、あんまり歴史が長すぎて、外患内患に悩まされ続けると、中国みたいな国になるのかも・・?なんて考えちゃいました。^_^;

そうそう、実は私も東ドイツの立ち位置がよくわからなかったんですよね。もう少し、勉強しないとな〜。

CIAの成り立ちに、ドイツ人が深く関与してたんですね。そういう背景を知っているとさらに深く映画を楽しめそうです。

最近、米ソ冷戦時代の映画が多くなってますが、再度、検証してみる時代に入ったのかもしれませんね。
ごみつ
2016/02/14 00:36

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