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<<   作成日時 : 2016/02/22 13:26   >>

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The Long Goodbye
レイモンド・チャンドラー著 村上春樹訳 早川書房
☆☆☆☆

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テリー・レノックスとの最初の出会いは、「ダンサーズ」のテラスの外だった。ロールズロイス・シルバー・レイスの車中で、彼は酔いつぶれていた。

私立探偵フィリップ・マーロウは、億万長者の娘シルヴィアの夫テリー・レノックスと知り合う。あり余る富に囲まれていながら、男はどこか暗い蔭を宿していた。何度か会って杯を重ねるうち、互いに友情を覚えはじめた二人。しかし、やがてレノックスは妻殺しの容疑をかけられ自殺を遂げてしまう。が、その裏には哀しくも奥深い真相が隠されていた……。(書籍解説より)

村上春樹氏の解説を入れて700ページ。かなり前に購入していたものの、そのぶ厚さからしばらく放置してしまったのですが、引っ越しも終え落ち着いたところで読み始めました。

とりあえず、まず一言。この本は私の読書歴の中でも一、二を争う名作と言って差し支えないと感じました。本編だけで655ページ、厚過ぎて電車の中で読むのも難儀したけれど、私は読みながら「いつまでも、いつまでもこの物語世界が続けば良い・・」と思いながら重たい本を毎日持ち歩きました。

何て言うんでしょうか・・、「さらば愛しき女よ」を読んだ時にも思いましたが、物語の中で起こっている事件そのものはそう大した事でもないのです。池波正太郎氏が著作でも語っていた様に、主人公のフィリップ・マーロウという男の生きる姿、語るセリフ、大切に守り続けている矜持、それらが混然となって、読者の心を強く捉えるんですよね。

もうひとつの魅力は、この独特の文体と形用の表現。文章を読みながら、感嘆する事数知れず。何度もページを戻っては文章を味わいなおした箇所も数知れず。

「ギムレットには早すぎる」の名セリフシーンの箇所も確認しました。これはマーロウが言うのではなく、テリー・レノックスが言うのですね。もう無性にギムレットが飲みたいので、いつかバーに行く事があったら、恥ずかしがらず(笑)にオーダーしようと思い。

ちょっとこの作品の素晴らしさは、私程度の力では解説しきれないので、未読の方には是非とも読んでいただきたい名作です。

娯楽小説は、読んでいる間はページをめくる手ももどかしいくらいに夢中になれるのですが、その後はすっかり忘れてしまうのが難で、「時間の無駄ではなかったか」と思う事もしばしばなのですが、この作品は違います!

私は娯楽小説であるミステリーと、純文学レベルの小説との、見事な融合作品と行ってもさしつかえないと思ったし、こういう娯楽小説ならいくらでも読みたい。

ちっぽけでケチなものではあるけれど、自分自身が心の中にもっている矜持、価値観、そして人生というものを見る目線というものがある。でも、自分自身の保身のためにそれを貫く事は無理だし、大多数の人は色々な事に折り合いをつけながら生きている。

マーロウは、どれだけ傷ついてもそれを決して曲げない男なんですよ。それだけで、とてつもなく美しく見事なキャラクターなんです。人の心に深い余韻を残す人間が描かれていれば、たとえパルプミステリーであろうとも純文学以上だと思う。

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『ロング・グッドバイ』 レイモンド・チャンドラー(著), 村上春樹(翻訳)
「レイモンド・チャンドラー」の長篇ミステリー作品『ロング・グッドバイ(原題:The Long Goodbye)』を読みました。 [ロング・グッドバイ(原題:The Long Goodbye)] ...続きを見る
じゅうのblog
2016/11/28 21:28

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
この作品、初めて読んだのは中一の頃ですね。あの頃は、凄まじい量の本を濫読していたので、詳しくは思い出せません。こりゃ、再読しなくてはなりませんね。たしか、私が読んだのは文庫の「長いお別れ」だったと思います。
ヌマンタ
2016/02/23 12:38
ヌマンタ さん

こんばんは!
この作品は、深い心理描写や、男女の関係についてとか、中一だとわからなかったろうと思うので、是非再読されてみて下さいませ〜。

「さらば愛しき女よ」も良かったですが、この「ロング・グッドバイ」は本当に見事だと思いました。
村上春樹の訳もとても読みやすいですよ。

ごみつ
2016/02/24 00:52
長いお別れ、なつかしいです。
私は高校の時、ハヤカワポケットミステリ版の清水俊二訳で読みました。清水訳も名訳と言われていましたが、村上春樹訳はきっと現代的で読みやすいのでしょうね。

ストーリーはあまり覚えていませんが、ときどきマーロウが発する警句がかっこよくて、しびれていました。

次の作品「プレイバック」を原文で読んだのですが、再会したリンダ・ローリング(って名前ですよね?)が、以前のことを思い出して、マーロウに We made a beautiful love togetherと言うんです。

「長いお別れ」は読んでいたし、高校生だったので、意味は分かったと思うのですが、どんな日本語に訳すのかと興味津々で「プレイバック」の日本語訳を買ってみたら、「あのときは楽しかったわね」という訳で、なるほどと思いました。

なんだか変な事ばかり覚えているものですね。

lingmu
2016/02/25 21:45
Lingmu 様

こんばんは!
「長いお別れ」、村上春樹訳で読みましたが、とても読みやすかったですよ。最後にかなる丁寧な村上氏の作品解説もついてます。
「さらば愛しき女よ」は清水さんの訳で読みましたが、こちらも古さは感じませんでしたしとても良かったです。

「プレイバック」は原文で読まれたんですね!凄いな〜。けっこう難しそう〜。そうです、そうです、リンダ・ローリング。彼女が「プレイ・バック」に出るんですね。
私も、少しづつ、この後のチャンドラー作品を読んでいこうと思ってます。

学生の頃に読んだ文章が記憶に残っているのは、やはりチャンドラーの文章が印象的で、なおかつ見事だからですよね。

ごみつ
2016/02/25 22:07

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