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zoom RSS ボヴァリー夫人

<<   作成日時 : 2016/06/03 21:53   >>

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Madame Bovary
ギュスターヴ・フローベール著 芳川泰久訳 新潮文庫
☆☆☆☆

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娘時代に恋愛小説を読み耽った美しいエンマは、田舎医者シャルルとの退屈な新婚生活に倦んでいた。やがてエンマは夫の目を盗んで、色男のロドルフや青年書記レオンとの情事にのめりこみ莫大な借金を残して服毒自殺を遂げる。一地方のありふれた姦通事件を、芸術に昇華させたフランス近代小説の金字塔を、徹底した推敲を施した原文の息づかいそのままに日本語に再現した決定版新訳。

「世界で最も偉大な文学」みたいな内容の投票があると、かならず上位に顔を出してくる、この「ボヴァリー夫人」をやっと読みました。

「ボヴァリー夫人」が出版されたのが1856年。この作品の登場により、フランスの小説は一変したとまで言われている作品だそうですが、それにしても160年も前の作品という事もあり、内容や、登場人物の心情をどれだけ理解できるかちょっと不安だったのも事実。

まず感想として述べておきたいのは、この小説が時間を忘れるほど面白い小説だという事です。何も内容が人妻の不倫というスキャンダラスなものであるせいではなく、凄いのは主人公エンマ(ボヴァリー夫人)の心理の描写にあるんですよね。

フランスの歴史にも文学にも疎いので、あまり大層な感想記事は書けないのですが、この心理描写の現代的なる事、本当に驚かされました。

そもそも、このお話は当時に実際に起り話題となっていた一つの事件をもとにしているんですね。

年上の妻が死んだあと、再婚した若い妻が、不倫をし、浪費のために借金を作り、夫と娘を残して自殺。そして数ヵ月後に夫も死んだという事件。

これはまんま「ボヴァリー夫人」の物語ですが、フローベールは、この若い夫人がなぜこの様に生涯を閉じる事になったかという、彼女の心理を想像し、細かく描写をしていきます。

そこに描かれる一人の女性の心理は、現代に生きる人々にも容易に理解できるもので、この作品が書かれた時代、そして国、民族の違いを超えています。それだけ、この作品におけるエンマの心理描写が緻密だという事なんです。

エンマをとりまく男性達の描写も見事。それでも普通は、「男とか、人生とか、こんなものだよね」と割り切って歳をとっていくものだけれど、エンマにとってはそれは生きているとは言えない事なのです。

ボヴァリー夫人を、自分自身とはまったく縁のない愚かな女性と見るか、表面には姿を決して表わさない自分自身の内なる分身と見るか。ページをめくるごとに、様々な思いが去来する作品でもあります。

翻訳者の方の最後の解説を読むと、この小説は、文章表現においても、それまでにはなかった手法を使っているそうです。このあたりは、フランス語に精通していないとはっきりとはわからない様なのですが、邦訳するにはとても難しい手法らしく、今回の新訳にあたって、それをなるべく日本語化させる様にしたとの説明がありました。

いつかまたもう一度読み直してみたい気がしています。それと映画も何か見てみたいな〜。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
ストーリーをうかがうと、たしかによくある事件と思ってしまいますが、きっと流麗な文章がすばらしいのでしょうね。なんとなく三島由紀夫の世界?と想像しています。^^
昔の小説は訳が古くさくて読みにくいことが多いので、新訳がどんどん出てくるのはうれしいですね。
何かで読みましたが、昔は大学教授とかが翻訳することが多かったので硬い文章が多かったですが、今は現地の空気をよく知る人が訳すようになったから...と聞いたことがあります。
セレンディピティ
2016/06/06 09:52
セレンディピティ さん

こんばんは。
日本語も時代とともに変わっていくから、やっぱりなるべく新しい翻訳で読んだ方が読みやすいですよね。
そうか、昔は翻訳っていうとバリバリの学者さんみたいな方が訳されていたんですね。

幾つかの出版社から何種類かの翻訳が出てる古典みたいな小説は、レビューとかで読みやすさをチェックしてからの方が良さそうです。

この「ボヴァリー夫人」はかなり読みやすかったですよ。ただ外国の古い時代のお話なので、どうしても訳注が多いのは難点です。
ごみつ
2016/06/06 23:03

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