ごみつ通信

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zoom RSS 2016年1月〜7月読書記録

<<   作成日時 : 2016/07/20 16:12   >>

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「ヒトラーのウィーン」
中島義道著 ちくま文庫
☆☆☆★★

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二十世紀最大の「怪物」アドルフ・ヒトラー。画家になろうと十七歳で訪れた都市・ウィーンにおいて彼の夢は潰える。決定的な挫折を味わい、ユダヤ人への憎悪をかきたてたであろう、その青春時代。「最も美しいものと最も醜いものが自然に同居する不可解な街」ウィーンで若きヒトラーの足跡をたどりながら、怪物とその誕生の不可解さを捕らえる試み。(文庫解説より)

レニ・リーフェンシュタールの「意思の勝利」(ナチス党大会のドキュメンタリー)を見てカップリング記事にしようと思ってたのですがなかなか見られないので簡単に本の感想のみ。

若きヒトラーが画家を目指してウィーンに赴くも名門美術学校の造形美術アカデミーの受験に失敗し、決定的な挫折を味わった青春時代にスポットをあて、ヒトラーの個人的な内面を探っていこうという内容の著作。著者の中島義道氏が、ヒトラーの屈折した内面に同化してしまっている感があって、ヒトラーをテーマにしながら実はやはり自分について語ったという印象の作品でした。

「現代語訳 論語」
宮崎市定著 岩波現代文庫
☆☆☆★★★

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『論語』は堅苦しい儒教の聖典や教訓集ではない。弟子たちに礼の作法を教え、詩を歌い、人物を評論し、処世法を説く孔子の人間論である。本書は、東西の古典に通暁した碩学が伝統的な注釈に縛られずに生きた言葉のリズムや文体を吟味し、大胆な歴史的推理をもとに現代語訳を試み、はじめて現代人のためにこの中国の大古典がよみがえった。(文庫解説より)

宮崎市の一般向け歴史教養書はどれも面白くわかりやすいので手にとってみた本。現代語訳ながらはじめて論語のすべてに目を通す事が出来たのは良かったです。でもやっぱり難しいですね。まだまだ勉強不足です。

「代替医療解剖」
サイモン・シン エツァート・エルンスト著 新潮文庫
☆☆☆★★

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ワシントンは血を抜かれすぎて死んだ。瀉血が信じられていたからだ。壊血病患者は重労働を課された。ビタミンCが未知だったために。ナイチンゲールの登場以降、医療効果を科学的に測定しようという試みは、2000年代、ついに代替医療へと――。鍼、カイロ、ホメオパシー他の最新の科学的評価とは? 知られざる逸話とともに語られる、代替医療の真実。『代替医療のトリック』改題。(文庫解説より)

サイモン・シンの著作は「フェルマーの最終定理」「ビッグバン/宇宙創成」「暗号解読」とどれも知的興奮にあふれた素晴らしい科学読み物だったので、これも楽しみに読んでみましたが、ターゲットにされている代替医療が本当に効果があるのか否かが、科学的には解明されていない事もあって消化不良な内容でした。

それでも科学的に効果が証明されておらず、臨床試験のふんでいない多くの代替医療が、巷で人気を博し膨大な利益をあげる産業になっている危険性に警鐘をならす作品としての意味は大きいと思いました。

私も今のかかっている病気の新薬の治験の時に知った事ですが、人間にはプラセボ効果という不思議な現象があって、「これが効きます」と言われそれを心から信じると、本当に効果が出てしまう・・という生理現象があるのですね。

今回、メインでやりだまにあがっている代替医療は、鍼灸、カイロプラクティック、ホメオパシー ハーブ療法の4つ。自分が施術をおこなうものの背景を知っておく事は大事だと思うので読む価値はあると思いました。

それとこれほど代替医療に人々が期待をかけるのは、現在の医療制度が不信を呼んでしまっているのも大きな問題なのだろうな・・と思いました。

「彩霧」
松本清張著 光文社文庫
☆☆☆★★

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福栄銀行の預金係・安川信吾は、現金五百万円を横領、ホステスの啓子と逃亡する。安川は、脱税者名簿とも言うべき裏帳簿も同時に持ち出し、銀行と取り引きするが、銀行の裏切りで逮捕される。だが肝心の裏帳簿を持って啓子は行方不明に。啓子の行方を追う、安川の友人の知念と田村。彼らの前に現れた謎の金融業者・須原庄作の正体とは!?金融業界の暗部を抉る問題作!(文庫解説より)

先日記事にした松本清張プレミアムミステリーのラインナップの1冊。長編です。

以前にも書きましたが、普通のサラリーマンがここまで行動を起こすのか・・という疑問さえ抱かなければとても面白い小説です。金融業の闇を描いたミステリーで、松本清張は実は、いつでもミステリーそのものよりも、社会問題を暴きだす事にこそテーマがあって、そしてだからこそ他のミステリー作家と一線を画しているのだと思います。

「証明」
松本清張著 文春文庫
☆☆☆★★★

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小説家を目指す夫と、その夫を支えようとする雑誌記者の妻。原稿を採用されない夫の心は次第に荒み、修羅をさまようようになっていく。やり場のない憤懣は、妻への異常な追及へと変わり、次第に狂気へと―。二人の行く末は?「新開地の事件」「密宗律仙教」「留守宅の事件」、男と女の事件四編を収録。(文庫解説より)

これは短篇4作、ページ数も250ページ足らずですが、内容が凝縮された素晴らしいミステリーでした。どの作品にも人間の業、心の闇、そして贅肉をそぎ落とされた謎解きの妙。

どれも本当にソリッドな作品なので、あんまり詳しくは書きませんが、この作品集はお勧めです!

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
たくさん本を読まれましたね。
代替医療の本、おもしろそうです。
なんだか人の弱みにつけこむ、新興宗教みたい??と思ってしまいました。医療ではないですが、美容やダイエットも次から次といろいろ方法が出てきますしね。
心理的な不安を取り除く...ぐらいの気持ちでトライするのがいいのかもしれませんね。

松本清張ミステリーは安定のおもしろさですね☆
セレンディピティ
2016/07/25 13:27
セレンディピティ さん

こんばんは!
「代替医療」は、著者のスタンスとしては科学的に効果の理由が確認出来ない限りは、すべてはプラセボ効果にすぎない・・っていう内容で、信じて施術をうけてる人には腹立たしい内容かもしれないです。
実際、カイロプラクティック協会に訴訟起こされちゃったみたいですよ。

それにしてもカイロはとてもメジャーな代替医療なので、てっきり整形外科的に認められているものかと思ったら違うんですね・・。

今回ターゲットにされていた4つの代替医療は、どれも効果を実感されている方が多いので、いちがいに全てがダメなわけではないし、科学的に立証されていないだけの可能性もありますよね。

ただ、医療免許を持たない人がおこなっている事、効果が立証されていないのに多額のお金を請求される場合がある事、代替医療を信じて正式な通院をやめてしまう人が命を落したりする事もあって、それなりに大きな問題だと思いました。

先日NHKで、マッサージが原因で半身不随になってしまったり、痣だらけになってしまった被害者の番組を見たんですが、怖かったですよ〜〜。

あんまり面白くはなかったのですが、読んで良かったなと思いました。

松本清張は、またはまってる友人から借りました〜。しばらく続きそうです。(笑)
ごみつ
2016/07/25 23:00
ごみつさん、こんにちは!

中島義道さんて、哲学者で、電通大で教鞭をとっておられる(た?)中島さんですか?だとしたら、ヒトラーを通して自分語りされるのもさもありなんなような気がします。そういうスタイルの方と言うか…

ともあれ、あまりにもユダヤ人虐殺の記憶が生々しいEUでは無理だろうけれど、EUから、いろいろな意味である程度距離のある日本だからこそ、ヒトラーのことを語れると言う側面があるのでしょうかね?

最近漸くドイツでも、ヒトラーをシニカルなコメディーの文脈で語る「帰ってきたヒトラー」のような映画も出て来ましたけれど…

松本清張作品は、私と6歳しか違わない母の末妹である叔母の書棚から「点と線」を見つけて以来、中東駐在時には駐在員事務所の書棚に大量にあるのを、片っ端から読み漁った思い出があります。

彼はコミュニストだから、私憤も含めて基本的に社会の理不尽さを描く為にペンを執ったのかなと思います。大企業や官僚の腐敗を描いた作品が多くないですか?

すごく面白くて、一度読み始めたら嵌ってしまう魅力、分かります。かつては多くの作品がドラマ化されましたが、今の時代にはちょっとそぐわない感がしなくもないです。最近リメイクされたドラマを見て、そう感じました。浪花節的なところがかな?私は最初期の「或る小倉日記伝」や「半生の記」が好きです。「半生の記」は、山本有三の「路傍の石」と同じく、私の不遇の時代を支えた作品でもあるかな?
はなこ
2016/07/29 10:39
はなこ さん

こんばんは!
コメント有難うございます。
通勤時間が長くなったので、今年はけっこう読書がはかどっております。
松本清張は、友人がはまってて、全作制覇を目指しているらしいのですが(笑)、その友人から未読のものをお借りして読んでいます。やっぱ面白いですよね〜。時間を忘れていくらでも読めちゃいます。

現代を背景にしてドラマをリメイク出来ないのは、やっぱり女性の社会的地位がまったく違うからじゃないですかね。お妾さんとか普通にいたり、女性が男性社会に口出しなど出来なかった時代の物語。だからこそ松本清張の作品は面白いので、映像化はやっぱり昭和を舞台にしてほしいな〜。

中島義道氏の作品は好きで、けっこう読んでますよ。「帰ってきたヒトラー」すごく行きたいのですが、今、ちょっと財政難なもので(笑)、劇場映画は控えております。「トランボ」も絶対行きたいんですけどね〜。
私、「デッドプール」を最後に映画館に行ってない!

8月は1〜2本は見れそうかな。やっぱり映画は劇場で見たいです。
ごみつ
2016/07/30 00:58

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