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zoom RSS サン・ロレンツォの夜

<<   作成日時 : 2016/08/06 16:26   >>

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La Notte Di San Lorenzo
1981年/イタリア (監)パオロ・タヴィアーニ ヴィットリオ・タヴィアーニ
(演)オメロ・アントヌッティ マルガリータ・ロツァーノ クラウディオ・ビガグリ マッシモ・ボネッティ
☆☆☆★★★

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第二次大戦末期のトスカーナ地方。連合軍が迫る中、ドイツ軍は占領下の村を破壊しながら撤退をはじめる。村の破壊をするため、村人に教会へ集まる様に命令がくだるが、これをドイツ軍の罠と判断したガルバーノは、密かに村を脱出し北上しつつある連合軍との合流をしようと提案する。

物語は、母親となったある女性が、自分の少女時代に起きた戦争体験を子供に語って聞かせるシーンからはじまります。映画は、主人公であるその少女の視線から語られていくので、悲惨な物語でありながら、とてものどかでファンタジックな感覚で描かれている作品でした。

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このほのぼの感と並行して戦火の悲劇が描かれていくので、とても不思議な雰囲気の作品で、実は、この非現実感こそが、戦争の悲劇を浮かび上がらせているという、やっぱりちょっと普通の監督ではつくる事の出来ない作品だと思いました。と同時に、この日常にふりかかった戦争の悲劇とはあるいは、こんな風に淡々としたものなのだろう・・という印象も受けました。

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村に残った村人はドイツ軍の爆撃で命を落としてしまうのですが、逃げた人々も多くは途中で出会ったファシスト(黒シャツ隊)によって殺されてしまう。黒シャツ隊は同じイタリア人で同郷の人間。顔見知り同士が殺し合うこのシーンは最も悲惨さを感じさせられました。

少女はこの殺し合いを、自分のイメージの中で、華々しいローマ時代の英雄の戦闘として昇華させていくのですが、こういった演出がとにかく素朴で、だからこそかえって物凄く心に残るシーンになっています。

ローマ軍の槍で絶命する黒シャツ隊

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連合軍によってドイツ軍は撤退し、逃げていた人々は故郷へと帰還していく。その時に、はげしく天気雨が降るのですが、それまで彼らが体験させられてきた血なまぐささを洗い流すかの様な象徴的な素晴らしいエンディングでした。

やっぱね、名作と言われている作品はきちんと見ないといけないですね。娯楽映画も楽しいし、元気を与えてくれるものですが、映像作家と言われる巨匠達が、映像を通じて表現しようとしている事、物語ろうとしている事、彼らが与えてくれる芸術的な感性を肌で感じる事の大切さを痛感させられました。

イタリア、トスカーナ地方には、「愛する人のため、8月10日のサン・ロレンツォの日の夜に、流れ星に願いをかけると叶う」という言い伝えがあるのだそうです。序盤に母親となった少女がこの話をするのは、子供の生きる世界が平和
であるようにという願いが込められているのですね。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
この作品は、パードレ・パドローネの監督さんなんですね。
パードレ〜が心に残っているので、この作品も見てみたいと思いましたが、DISCASでは取り扱っていないようです。残念。
名画座で上映するといいですが...心に留めておきますね。
子どもが悲惨なことをファンタジーの中に昇華するとうかがって、禁じられた遊びをちょっと思い出しました。
セレンディピティ
2016/08/08 15:35
セレンディピティ さん

こんばんは!
そうそう、これ「パードレ」の監督作品で、全体の作風は似た感じでした。
この手のヨーロッパ作品は、なかなかツタヤにはレンタルでなかったりするんですよね。
私はBSで放送されていたのを録画して観賞しました。

子供の目線から・・っていうところが「禁じられた遊び」に似てるのは私もチラっと思いました!
ただ「禁じられた〜」より、何て言うか淡々と、飄々とした感じの作品です。

良い映画ですので機会がありましたら是非。BSは気をつけておくとなかなか貴重な作品を放映したりするので要チェックですよ。
ごみつ
2016/08/08 18:36
ごみつさん、こんにちは。

「サン☆ロレンツォの夜」個人的にタヴィアーニ作品の中で一番愛着あります。というか今までの人生で見てきた中で、一番の反戦映画です。

少年時代のタヴィアーニ兄弟は連合国側に会いに行く一行の中に加わっていたそうで、思い出や思い入れが芸術に昇華されたのがこの作品の素晴らしさだと思います。
爆撃でお腹の子どももろとも妻を殺された男性が、子どもにつけるはずだった名前を自分のパルチザン名にするところとか、パルチザンの青年に淡い思いを抱いていた娘がドイツ軍に連れ去られてしまう残酷な結末を思い出すと、今でも泣けてきそうです…
主人公の女の子、チェチーリアでしたっけ?あの子が目の前で展開する殺し合いの現実に耐えられなくなって、古代ローマの兵士というファンタジーの世界に逃げ込むのに、批判的な人に会ったことありますよ。でもネオレアリスモから出発して、ファンタジーも取り入れるようになったからこそ、私はタヴィアーニ兄弟が好きなんです。
ご近所が連合国側と黒シャツ隊に分かれて戦っていた場面、イタリアの第二次大戦の悲劇のひとつだったことが分かります。それと、空襲とはまた違う地上戦の残酷さですね…

音楽も素晴らしかったし、タヴィアーニ兄弟の描くトスカーナ地方の美しさもいつもながら特筆ものです。

2016/08/13 16:32
夏 さん

コメント有難うございます!
これは、タヴィアーニ兄弟が幼い頃に実際に体験した物語だったんですね!

夏さんが、今まで見てきた中で「一番の反戦映画」だっておっしゃるのがよくわかります。
反戦映画、数あれど、本当の戦争の恐ろしさっていうのは、こういう何気ない日常と、いつもながらの風景の中にあったのだろうな・・と映画を見ながら感じました。

きっとタヴィアーニ兄弟自身が、恐ろしい現実の中、ファンタジーを思い描いたりしてたのかもしれませんね。

夏さんがコメントであげてたエピソードも含め、個人個人のドラマが胸にささりました。

この映画、「パードレ・パドローネ」のお父っつぁんと初恋?の彼女以外は、素人の人を使ったって解説に書いてありましたけど、教会で歌ってたハンサムな男性は「パードレ」のカビーノの人ですよね?違うかな。
ごみつ
2016/08/13 23:29

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