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zoom RSS 松本清張傑作短篇コレクション 全3巻

<<   作成日時 : 2016/11/29 22:23   >>

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松本清張著 宮部みゆき責任編集 文春文庫
☆☆☆★★★

松本清張にはまっている友人からまたお借りした3冊。実はこれは出版された頃に読んでいるのですが、案の定すっかり忘れていてほとんどを初めての作品のごとく楽しめました。

大の松本清張ファンを自認する宮部みゆき氏が厳選した短篇で構成された作品集。さすがに中味の濃い作品ばかりで至福の時間を過ごせました。

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上巻は、清張の出発点となる初期作品2篇と、宮部みゆき氏のお気に入り作品4篇、芸術をテーマにしたミステリー2篇、そして「日本の黒い霧」の中からニ・ニ六事件の一部、レッドパージの2篇で構成されています。

松本清張が芥川賞をとった「ある小倉日記伝」は、一人の身体に不自由のある男性が母親の助けを借りながら、森鴎外の小倉での足取りをおっていく物語で、非常に渋い作品です。清張のデビューは41歳の時で、こんなにデビューが遅いのにこれだけの作品の数を残した事に驚きを禁じ得ません。

他、純粋なミステリーものはいずれも見事な作品。私は特に「地方紙を買う女」と「真贋も森」が気にいっています。「日本の黒い霧」はけっこう難しい。かなり深く歴史的出来事に精通していないと読み解けない作品でした・・。

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中巻は女性を主人公にした作品4篇、男性を主人公にした作品4篇で構成。計8篇、堪能させられました。

昭和、女性に力や発言権のなかった時代に、女性だけが味わわざるを得ない哀しみを背負いながら生きていた女性達の物語は、同じ女性として感覚を共有できるとともに(ぎりぎり、私達位の世代にはわかります)完全ではないながらも、女性の権利と存在感が大きくなった今の社会のありがたみを痛感する事も出来ました。

女性の力が弱かった分、実は昔は男性も今よりもずっと気張らないとならなかった時代でもありましたよね。

男性の世界に渦巻く権力欲、ねたみ、嫉妬。権力と金が全てをしきる世界で翻弄される男達の物語も、世界が大きくなるだけに本当に読み応えがありました。

「悪い奴ほとよく眠る」ですよね・・。

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下巻はタイトルが見事な作品3篇、権力をテーマにした作品2篇、後は松本清張賞を受賞した作家4人によるエッセイと、彼らが選んだ清張作品3篇(一人だけ清張作品風に書いた自分の短篇を掲載)で構成されています。

どれも良かったですが、この巻で私が最も衝撃を受けたのは「帝銀事件の謎」ですね。この事件、前からとっても気になってはいたのですが、久しぶりで事件のあらましを読み返してみて本当に恐ろしくなりました。松本清張はこの事件に対して仮説を持っていてそれを小説化したのが「小説・帝銀事件」なんですよね。これも近々に読んでみたいと思ってます。

それと松本清張のデビュー作である「西郷札」も良かった。デビュー作とは思えない完成度の高い作品な上、物凄く面白い作品。

ミステリーっていうのは何も殺人事件だけじゃないんですよね・・。彼の作品を読んでいるとそのバリエーションの多さと話術の妙にうならされますが、それこそが清張作品の魅力なのでしょうね。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
松本清張の短編、短い中にも鮮烈なおもしろさがありますね。
私は、ご紹介くださった中では「ある小倉日記伝」「西郷札」「地方紙を買う女」はたぶん読んだことがあるかな...だいぶ記憶があいまいですが。^^

短編ときいてパッと思い出したのが「遭難」。それと「顔」とかも好きです。

「日本の黒い霧」「小説・帝銀事件」もおもしろそう〜☆
読んでみたいです。
セレンディピティ
2016/11/30 15:59
セレンディピティ さん

こんばんは!
この短篇集は作品が厳選されているだけあって読み応えありましたよ。
「ある小倉日記伝」「西郷札」は初期作品として有名だし、「地方紙を買う女」もきっとどこかで読んでらっしゃると思います。作品がいっぱいあるので、どれを読んだのかわかんなくなっちゃいますよね。(^_^;)

「遭難」って読んだかな〜?「顔」は私も大好きです!

「日本の黒い霧」は意外と中味が深くてけっこう難しかったですよ。「小説・帝銀事件
は中古をオーダーしちゃいました。
読むのが楽しみです。
ごみつ
2016/12/01 01:54

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