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<<   作成日時 : 2017/05/28 20:35   >>

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Terre Des Hommes
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ著 堀口大學訳 新潮文庫
☆☆☆☆

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“我慢しろ……ぼくらが駆けつけてやる! ……ぼくらのほうから駆けつけてやる! ぼくらこそは救援隊だ! "サハラ砂漠の真っ只中に不時着遭難し、渇きと疲労に打克って、三日後奇蹟的な生還を遂げたサン=テグジュペリの勇気の源泉とは……。職業飛行家としての劇的な体験をふまえながら、人間本然の姿を星々や地球のあいだに探し、現代人に生活と行動の指針を与える世紀の名著。(文庫解説より)

テグジュペリは「星の王子さま」しか読んだ事がありませんでしたが、今回、遅ればせながらこの本を読んで、もうただただ素晴らしいとしか感想が出てこない作品でした。

何て言うか、映画を見たり、小説を読んでみたりする時に、何度も痛感させられる、「フランス人にはかなわないな・・」っていう気持ちを再び思わされた作品でした。

何がかなわないのかと問われれば、それは人生というもの、人間というもの、死について、愛について、美について、そんな人の根源的なものに対する哲学の持ち方が凄いんですよね。若い頃は、フランス映画やフランス文学のそんなところが嫌いだったのですが、年齢を重ねてきて、いちいち気持ちにつきささる様になってきました。

前置きが長くなってしまいましたが、この作品はテグジュペリの15年間の飛行士としての経験の中から得たものをもとに語られたエッセイ。飛行機の技術がまだ未発達な時代に、郵便飛行士として活動していた彼は、多くの仲間を墜落事故で失い、自らも極限状態におかれます。

とにかく、文章が美しい上に、語られる内容は、「人間とはどういう存在か、何故生きるのか。人間がなすべき事は何なのか・・」といったもので、死と隣り合わせになりながらも、自然と一体化して飛行を続けるがごとき描写の中で語られていきます。

最も素晴らしく、最も手に汗をにぎってしまったのは、彼と仲間がリビア砂漠の真ん中に墜落してしまうも、奇跡的に生還したチャプターです。この時、彼が感じた心象風景は、きっと極限状態にいたらないと経験が出来ないものだろうと思う。しかし、テグジュペリは、1944年、偵察飛行中に地中海上空で行方不明となります。

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この作品を読みながら、あの名作「星の王子さま」の中に散りばめられている哲学的なものは、彼のこういう経験の積み重ねの中でうまれたものなのだ・・というのがよく理解できました。

さて、この新潮文庫版は表紙が宮崎駿ですが、テグジュペリファンの彼による後書きも掲載されています。

驚いたのはこの後書きの中で、冒険活劇的な英雄譚、戦争のための殺傷兵器となる全てのものの消滅を願いながらも、冒険活劇を心から愛し、戦争に使われる全てのものにどうしようもなく心魅かれてしまう、自分自身のアンビバレントさを心情告白している事でした。

とにかく傑作です。彼の夜間飛行の描写だけでも読んでいただきたい。私も、またテグジュペリの他の作品も読んでみる予定です。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
サンテグジュペリは「星の王子さま」しか読んでいませんが、ごみつさんのご紹介を拝読して、私もこの本、読んでみたくなりました。
宮崎駿さんの表紙もすてきですね。
映画の「風立ちぬ」は、堀辰雄の小説からインスパイアされたものと思っていましたが、お話をうかがって、むしろこのエッセイから影響を受けて作られたのでは...と思いました。
セレンディピティ
2017/05/30 09:51
日本だと、どうしても「星の王子様」のサンテグジュペリなのでしょう。でも、私にとっては「夜間飛行」「人間の土地」こそが代表作です。
ヌマンタ
2017/05/30 10:45
セレンディピティ さん

こんばんは!
「星の王子さま」が素晴らしかったので、他の作品も読もう、読もうと思っててやっと読んでみましたが、これまた素晴らしかったです!
次は「夜間飛行」を読んでみようと思っています。

テグジュペリは冒険野郎でありながら、繊細な感覚を持った詩人でもあるんですよね〜。そんな人、たくさんはいないと思うので、とても貴重な作品だと思いました。

「風立ちぬ」は飛行機の話ですが、テグジュペリの作品のテーマとはちょっと違うかな・・っていう感じもします。
私、堀辰雄の「風立ちぬ」を読んでいないので、はっきりとはわからないんですけど・・。(^_^;)
これも今度読んでみたいと思ってます。
ごみつ
2017/05/31 01:08
ヌマンタ さん

こんばんは!
「人間の土地」、本当に素晴らしい作品でした!次は「夜間飛行」を読んでみます。
確かにテグジュペリの作品としては、この2作が王道ですよね。

「星の王子さま」は、イラストが可愛い上に、お話も大人向けにファンタジックなので、女性からの支持は抜群だと思います。
それにしても、こんなおとぎ話、誰にでも書けるもんじゃないですよね・・。

テグジュペリって凄いですね。
ごみつ
2017/05/31 01:12

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