ごみつ通信

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zoom RSS 2017年前半読書記録

<<   作成日時 : 2017/06/22 18:10   >>

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一つの記事にしたかった書籍もあるのですが、なかなか記事をつくる時間がとれなくてたまってしまったので、まとめて簡単に記録まで。

「つげ義春コレクション」2冊

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第3巻 「李さん一家/海辺の叙景」
第5巻 「紅い花/やなぎ屋主人」
ちくま文庫

すでに第1巻、5巻と購入していましたが、久しぶりでつげ義春ワールドにひたりたくて購入。つげ作品の不思議な魅力、凄さについては、私自身の中でどうにも咀嚼、消化しきれていなくて、ちょっと感想もきちんと書けません。

今回、ガロ以前の作品も思いのほか深くて面白い事を発見したので「つげ義春コレクション」全9巻、ぼちぼちと揃えて読んでいこうと思っています。

いつかきちんとつげ義春作品について語りたいです。

「渡された場面」

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松本清張著 新潮文庫
☆☆☆★★★

四国の県警捜査一課長香春銀作は、文芸雑誌の同人誌評に引用された小説の一場面に目をとめた。九州在住の下坂一夫が書いたというその描写は、香春が担当している“未亡人強盗強姦殺人事件"の被害者宅付近の様子と酷似しすぎていたのだ。再捜査により、九州の旅館女中の失踪事件と結びついたとき、予期せぬ真相が浮び上がる――中央文壇志向の青年の盗作した小説が鍵となる推理長編。(文庫解説より)

これはかなり面白かったです!物語の発端で登場してくる有名作家と彼の死は本筋ではなく、そこから派生して殺人事件、剽窃事件、事件の解明へと物語が流れていくのですが、凄く上手いと思いました。色々考えると偶然が重なりすぎてはいるのですが、いつでもそんな事に想いを馳せさせないのが松本清張の凄さです。

ところで、清張ファンの友人の手持ちの作品はこれで終了との事!(ほとんどは図書館で借りてきたそうで)うぇ〜ん、もっと読みたいよ!!

「うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち」

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田中圭一著 角川書店
☆☆☆★★

パロディマンガの巨星がマジに描いた、明日は我が身のうつ病脱出コミック!著者自身のうつ病脱出体験をベースにうつ病からの脱出に成功した人たちをレポート。うつ病について実体験から知識を学べ、かつ悩みを分かち合い勇気付けられる、画期的なドキュメンタリーコミック!(書籍解説より)

この可愛い絵柄に目を魅かれますが、内容は深刻なものです。自らもうつ病経験のある漫画家の田中圭一氏が、同じくうつ病に苦しんだ著名人からの話をききマンガにしたものです。

私はうつ病になるタイプの人間ではない(と思う)ので、うつ病になってしまう人のメンタル構造がよく理解できない事もあり、興味深く読みました。

ただ、実は父親が亡くなった時と愛鳥を亡くした時に、自分では制御できない理由のない孤独に襲われました。仕事がなかったらきつかったと思う。もしかすると歳をとるにつれてこういうのが増えていくのではないか・・という不安もあったりします。

レビューを見ると、参考になった励まされたという意見のある一方、著名人である彼らを鬱の世界の強者と位置づけて、一般人には向かない・・みたいな意見もあったりしました。

でもね、著名であればあるほど、一般の人より遥かに大きなプレッシャーを受けている事を忘れちゃいけない・・と思ったりしました。


「深海の夜景」

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森村誠一著 文春文庫
☆☆☆★★

現代日本を生きる人々の闇と救いを描く。妻を亡くした老人、路上生活者へと転落した若者、母子強姦殺人事件の遺族と犯人など現代社会に生きる人々の心にともる光を描く七篇。(文庫解説より)

最近、近所の図書館に入会したのですが、そこで借りて読んでみた1冊。実は森村誠一作品はこれがはじめてです。2015年発表の短篇集なのですが、「あれ?栞入れるところ間違えた?」って思うくらい同じ設定、同じ描写の作品が幾つもあってちょっと面くらいました。

現代社会の問題をテーマにしていてなかなか面白い作品ではあるのですが・・。特徴的なのは、犯罪を犯す人間に対して救いを与えているところで、森村氏も歳を重ねている事、今の社会で起こる事件があまりにも心がない無差別なものが多い事への憂いから、「人間は変わる事ができる」っていうテーマを描きたかったのかもしれないな・・と思ったりしました。

「七つの忠臣蔵」

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縄田一男編 新潮文庫
☆☆☆★★★

仇討ち劇の陰に咲く悲恋(「べんがら炬燵」)。知られざる浅野内匠頭の狂態(「火消しの殿」)。。剣の達人堀部安兵衛の峻厳たる男気(「実説『安兵衛』」)。脱盟の汚名を呑んだ槍の名手高田郡兵衛の煩悶(「脱盟の槍」)。大石の志を試した商人天野屋(「命をはった賭け」)。吉良の呆れた精神構造(「吉良上野の立場」)滂沱の涙を誘う若き浪士の姿(「永代橋帰帆」)。感涙必至、神品七編。(文庫解説より)

これは忠臣蔵をテーマにした短篇のアンソロジーなのですが、物凄く読み応えがありました!これは一つの記事にしたかった。

吉川英治    べんがら炬燵
池波正太郎   火消しの殿
柴田錬三郎   実説「安兵衛」
海音寺潮五郎 脱盟の槍 高田郡兵衛
佐江衆一    命をはった賭け 大阪商人 天野屋利兵衛
菊池寛     吉良上野の立場
山本一力    永代橋帰帆

著名な時代小説化達による文章の見事な事。様々なテーマから描かれた忠臣蔵人間模様。知らなかった事もたくさんあって勉強にもなりました。特に池波正太郎の作品からは、浅野内匠頭がすごい消防マニアで、男色家、ケチで癇癪持ちだった事とかはじめて知りました。菊池寛の作品からは、吉良上野が頭の固い頑固な老人だった事がわかりこの組み合わせからきた起こるべくして起こった悲劇だったんだな・・と思わされました。

忠臣蔵好きの方には超お勧めです!

「あなたの人生の物語」

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Stories Of Your Life And Others
テッド・チャン著 浅倉久志他訳 早川文庫
☆☆☆★★★

地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者のルイーズは、まったく異なる彼らの言語を理解するにつれ、驚くべき運命にまきこまれていく……ネビュラ賞を受賞した感動の表題作(映画化名「メッセージ」)はじめ、天使の降臨とともにもたらされる災厄と奇跡を描くヒューゴー賞受賞作「地獄とは神の不在なり」、天まで届く塔を建設する驚天動地の物語――ネビュラ賞受賞作「バビロンの塔」ほか、全8篇を収録。解説/山岸真(文庫解説より)

先日観た映画「メッセージ」の原作。私はそれほどSF小説をたくさん読んでいるワケではないのですが、何とも不思議なタイプの作品が多かったのに驚かされました。ひとつの記事にしたかったのですが、放置しておくと忘れちゃうし、いつ作れるかわからないので、今回簡単に感想を。

原作者のテッド・チャンは中国系アメリカ人で、本業はフリーランスのテクニカルライター。仕事の合間に大好きなSF小説を執筆。本業ではない事もあってか寡作で1990年のデビューからの彼の作品のすべてを集めたものがこの短篇集ですが、そのどの作品も何かしらの賞を受賞しています。

非常に論理的である半面、神話的な要素をたくさん作品のモチーフにしていて、不思議な雰囲気の作品が多いです。ところがよく読んでいくと、それらが実に理論SFっぽいんですよね。映画「メッセージ」の感想でも書きましたが、より進んだ科学理論っていうのはとても哲学的な感じがして、それが神話で描かれている世界によくマッチする・・とでも言いましょうか。

私が最も気に入ったのは、ヒューゴー賞他、SF文学賞を総なめにしている「地獄とは神の不在なり」です。これ、天使や堕天使の存在や、地獄と天国の存在が科学的に確認されている世界のお話なんですよ。で、天使との遭遇は死を招くかもしれないのですが、はっきりとわかる奇跡を起こしてくれるので、エンジェルハンターみたいな命知らずの者達がいるんですよね。もう、デビルマンみたいなんですよ。(笑)

こういうのを科学的視線のアプローチで描かれると、何だかもう素晴らしくって。

ちょっと読んだ事にない様な世界が展開するお話が多いのでSF好きの方にはお勧めです。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
ごみつさん☆
ピンポイントで失礼します(笑)
実は夫がつげ義春の大ファンでほぼ全部家にあるんです。
つげワールドにひたれるごみつさん、さすが一味違うと思っていた通りです!(尊敬のまなざし)
我が家では事あるごとに、「だが断るっ!」と「まだ2階に住んでいるのです。」を使いたがるんですよ(笑)
映画「ゲンセンカン主人」や「ねじ式」はご覧になりました?一度見ると、暫くの間不思議な夢を見る羽目になります…
ノルウェーまだ〜む
2017/06/24 00:38
ノルウェーまだ〜む 様

こちらにもコメント有難うございます!
ご主人がつげ義春ファンなんですね!!

私、ガロ以降の作品はすでに全部読んでて、このコレクションを集めている最中なのです。あの、絶対に行きたくない様な(笑)ひなびすぎた温泉紀行みたいなのもほとんど読みました。

何なんでしょうね、つげ義春の魅力って?読んでて、不愉快な人間しか出てこない、変な作品ばっかりなのに、何でこんなに心魅かれるんでしょうか?

「ねじ式」は 浅野忠信ですよね!未見ですが、一体あのマンガをどうやって実写化してるのかしら?今度是非見てみますね。
「ゲンセンカン」は不愉快な映画だろうな〜。(^_^;)こっちも見てみます。
映画の存在を思い出させてくれて有難うございます!楽しみです!
ごみつ
2017/06/24 02:12
田中圭一は、パロディ漫画家ですが、基本はギャグ漫画です。そして、ギャグ漫画を描く方は、心身を壊す人が多い。笑いをとるために、心身を削って創作に入れ込むためでしょう。あまり女性向けの漫画家ではありませんけどね。
ヌマンタ
2017/06/24 15:01
ヌマンタ さん

こんばんは!
ヌマンタさんが、時々田中圭一氏の事書かれていたので、名前は知っていましたが、マンガを読むのはこれがはじめてでした・・と言ってもこれは体験記をマンガにしたものなので、きちんとした作品ではないんですけれどね。

確かに、役者さんでも、喜劇役者の人が一番気難しいって言いますもんね。たくさんの人を笑わせるって本当に大変な事だから、心身が削られてしまうのもわかる気がします。
ごみつ
2017/06/24 23:43
こんにちは。
ごみつさんが”かなりおもしろかった”とおっしゃる「渡された場面」是非読みたいです。
それと、森村誠一作品は長年読みたいと思いつつ、機会を逸していました。今回ご紹介された作品は、ごみつさん的には今ひとつの印象でしょうか?やっぱり手始めには「人間の証明」あたりがいいのかな...。
「あなたの人生の物語」は私も楽しみにしています。物理と哲学は通じるところがある、と私も思います。
セレンディピティ
2017/06/26 11:42
セレンディピティ さん

こんばんは!
「渡された場面」は普通〜にお勧めです。読みはじめたらとまりません。松本清張はほとんどはずれがないですよね。
森村誠一は私も彼の作品を読むのはこれが初めてでしたが、これはお勧めしないな〜。何か、同じ話、同じテーマの繰り返しで、文章もそっくりなんですよ。
同じ話のバリエーションの実験でもしてるみたい。
お勧めはヌマンタさんならわかりそうですよね・・。(^_^;)
私は帝銀事件(731部隊)をテーマにした「悪魔の飽食」を読んでみたいなって思ってます。

「あなたの人生〜」不思議なお話ばっかりですよ。幾つかはとても気に入りました。早く図書館から知らせが来ると良いですね!
ごみつ
2017/06/26 23:43

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