ごみつ通信

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<<   作成日時 : 2017/07/25 19:51   >>

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Hacksaw Ridge
2016年/オーストラリア・アメリカ (監)メル・ギブソン
(演)アンドリュー・ガーフィールド サム・ワーシントン ルーク・ブレイシー テリーサ・パーマー ヒューゴ・ウィービング レイチェル・グリフィス ヴィンス・ヴォーン
☆☆☆★★★

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激烈を極めた沖縄戦を舞台に、武器を持つ事、人を殺す事を拒否しながらも参戦し、地獄の戦場の中で75人もの命を救った実在の衛生兵デズモンド・ドスの姿を描いたドラマです。

色々と思うところのたくさんあった作品なのですが、まずは映画作品としてとても素晴らしい作品でした。実話でしか語れない信じられない様な物語で、事実は小説よりも奇なり、そして人間という生き物が持っている可能性の大きさを感じさせる作品でもありました。

お話は大きくわけて3部構成、さらに細かくわけて5部構成になっていて、劇映画としてとてもきちんとしたつくりだし、どのパートにもそのパートなりのテーマがあり、最後の戦場シーンへとなだれこんでいきます。

第1章パート1は子供時代。パート2は青年時代で、主人公のドスの生い立ち、家族、そして決して武器を手にする事はしないと誓うまでの物語、武器を持たない衛生兵として兵役を志願するまでが、生まれ故郷のヴァージニアを舞台に描かれていきます。

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第2章パート1は「フルメタル・ジャケット」や「G・I・ジェーン」みたいな陸軍での訓練シーン。第1章でも描かれたいた通り、ドスはヤセッぽっちですが運動能力が高い事がここでも描かれていきますが、武器を持たない事に固執する事で、まわりの仲間からのいじめの対象になります。

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第2章パート2は、いくら嫌がらせをしてもドスが辞めない事から、上官からの命令違反の罪で軍法会議にかけられるシーンになります。ここで、第一次大戦でPTSDになりアルコール中毒にもなっているドスの父親の助けにより、ドスは無罪となります。

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ここで描かれている、アメリカ軍の法を守る精神とそれを遵守する姿勢には、本当にため息が出ますね。ドスが同じ事を帝国陸軍でやったらもうどんな目にあうか想像するだけで死にそうです。

どの日米戦争映画を見ても毎回思うのですが、もうこの時点でアメリカの勝利なんですよね・・。この事と、日本人だけにしかわからない精神性で愚かにも玉砕してくる日本軍の姿との対比は、これも毎回、毎回、私の心にアンビバレントな思いを抱かせるのですが、それはまた別の機会に。

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そして第3章、戦場のシーンになりますが、前評判通りの阿鼻叫喚なシーンの連続でしたが、実はここらあたりのシーンもきっちりと見せ場を構築して、最も効果のある方法で戦闘シーンを展開させているので、思いのほか残酷なシーンが気になりませんでした。もちろん「ひどい」シーンである事には間違いないのですが、ただただ残酷シーンを見せ場にしてるワケじゃないので、説得力があるのです。

ハクソー・リッジこと前田高地 

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主役が同じアンドリュー・ガーフィールドなので、どうしても比較してしまいますが、この「ハクソー・リッジ」は神が沈黙していない作品で、スコセッシの「沈黙」と本当に対比をなしている作品だと思いました。

神の答えを知りたければ、人間自信が行動をしなければならない。っていうメル・ギブソン監督のメッセージなのかな・・とも思いました。実際、あの戦場で味方の戦艦からの砲撃の中を戻っていくドスの姿は尋常じゃないし、しかも一人で75人も救出してるんですよ。日本人まで2人救出したりして。

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やっぱりちょっと神ががってて、どうしたって涙があふれてくるのが抑えられません。

この作品が、物凄い普遍性を持っている理由は、これが人命救助の物語だからなんですよね。そして、こういう事をなしとげた人間がいた・・っていう事こそが、人間の可能性の大きさの証明として私は受け止めました。

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さて、ここからは個人的な感想になりますが、やっぱりこれが対日本軍の戦争っていう事で、映画のメインテーマとは別に思うところがあれこれありました。

実は見終わって一番心にこたえたのは、「あの、最後に自決した日本の指揮官誰!?」でした。同じ、日本人のくせにそんな事も知らないんですよ、私は。沖縄戦について、米国側からみたお話でただ感動してるだけで良いの!?と。

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私が愛聴させていただいている宇多丸さんのラジオ放送「シネマハスラー」の「ハクソー・リッジ」評で、宇多丸さんがお勧めしていた「私の沖縄戦記 前田高地・六十年目の証言」(角川ソフィア文庫)を購入したので、これから読んでみる予定です。これは前田高地での数少ない日本人生存者で、法政大学名誉教授の外間守善(ほかましゅぜん)氏の著作です。読んだらまた記事にしてみます。

いや、しかしメル・ギブソンは凄いな。「ブレイブ・ハート」にせよ「パッション」にせよ、歴史を題材にして、極限化の人間の姿というものを、ごかましのない残虐描写とともに表現してくるんですよね。


私の沖縄戦記 前田高地・六十年目の証言 (角川ソフィア文庫)
角川学芸出版
2012-04-25
外間 守善

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タイトル (本文) ブログ名/日時
「ハクソー・リッジ」☆度胆を抜かれるかつてない臨場感
見事である。 今までの戦争映画が足元にも及ばないと思ってしまうくらいのリアルな臨場感。 「野火」のグロさに匹敵する血肉飛ぶ戦場の惨状が、目の前にまざまざと見せつけられながら、そこには一筋の希望と癒しがあるという素晴らしさ。 メル・ギブソン監督に惜しみない拍手を!! ...続きを見る
ノルウェー暮らし・イン・原宿
2017/07/25 22:53
ハクソー・リッジ
メル・ギブソン監督、アンドリュー・ガーフィールド主演。第2次世界大戦の沖縄戦で、武器を持たずに75人もの命を救った米軍衛生兵デズモンド・ドスの実話を映画化した戦争ドラマです。 ...続きを見る
セレンディピティ ダイアリー
2017/07/26 13:26
「ハクソー・リッジ」
メル・ギブソン監督作品。宗教という名の信念の下に、人を殺さないと誓って戦場に赴く衛生兵の物語。実話をベースにしている。人を殺さないで戦場で何ができるのか?そう、傷ついた人を助ける為に彼は戦場で「戦った」のだ。戦争とは結局殺し合いのことなのだから、「助ける」と言ってもパラドクスに陥る。その矛盾に対峙できる程には思考が練れていない私である。この作品は決して単なる戦争モノではない。ましてや反戦ドラマでもない。ただただ「汝、殺すなかれ」の教義を忠実に守った男の話だ。だからもちろん彼の行為に感動はするし、... ...続きを見る
ここなつ映画レビュー
2017/07/26 18:11
ハクソー・リッジ 【映画】
HACKSAW RIDGE 2016年、アメリカ/オーストラリア メル・ギブソン(監督) アンドリュー・ガーフィールド、サム・ワーシントン、ルーク・ブレイシー、ヒューゴ・ウィーヴィング、ライアン・コア、テリーサ・パーマー、リチャード・パイロス、レイチェル・グリフィス、リチャード・ロクスバーグ、ルーク・ペグラーほか ...続きを見る
Balkan's Memorandum
2017/08/06 00:42
映画:ハクソーリッジ HACKSAW RIDGE 1.はじめに信念があり、2.試練があって、3.ヒト...
メル・ギブソンと言えば&hellip; 演技は勿論、監督になっても「やや?かなり?エキセントリック」 なので、気になっちゃう点が、&times; 3つ も!(笑) ...続きを見る
日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF ...
2017/09/09 11:05
ハクソー・リッジ
HACKSAW RIDGE 2016年 オーストラリア/アメリカ 139分 戦争/アクション/ドラマ PG12 劇場公開(2017/06/24) ...続きを見る
銀幕大帝α
2017/11/08 15:02

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
ごみつさん☆
メルギブ監督ホント凄いです!
ごまかしのない残虐描写がごまかしのない真実をしっかりと伝えているんですよね。

実際、沖縄戦に関しては恥ずかしながら知らないことが多いです。
基地問題についてもどこか遠い島の話としか捉えてない多くの人が、当時もこの沖縄戦を捻り出したのかもしれないです。
ノルウェーまだ〜む
2017/07/25 22:58
ノルウェーまだ〜む様 

早速のお返事有難うございます!
メルギブ監督の場合、容赦ない残酷描写が好き!っていうのもあるのだと思いますが(^_^;)、この映画のテーマには必要なものだと感じました。
スピルバーグも良い人っぽいですが、残酷描写は凄いですし、真摯にテーマに取り組もうとするとそうせざるを得ないところもあるのかもしれませんね。

沖縄戦のみならず、太平洋戦争に関しては知らない事ばかり。「野火」を見てからフィリピン戦線についてはちょっと本を読んだりしたんですよ。

ちょっとづつでも知っていかないとな・・って思ってます。
ごみつ
2017/07/25 23:54
こんにちは。
私、残酷描写は苦手ですが、戦争映画だと受け入れられるんです。本作でも必要なシーンだと理解したので、(多少エンタメ要素は感じましたが)じっと見入ってしまいました。
そしてあの描写があったからこそ、ドスが成し遂げた偉業と、彼の心を支えた信仰の力が浮彫になっていましたよね。

これまで沖縄戦といえば、日本側の視点で知ることがほとんどだったので、当然といえば当然ですが、アメリカ軍にもこれだけの犠牲があったのだ...ということに改めて気付かされた作品でもありました。
セレンディピティ
2017/07/26 13:26
こんにちは。弊ブログにご訪問いただきありがとうございました。
本当に、単純な戦争映画ではなくって、色々と思いを巡らせる作品だったと思います。
沖縄戦に限らず、戦争の体験者がどんどん少なくなっている今、もっと危機感を持ってもいいのでは?!>日本人
そりゃあ、メル・ギブソンとまではいかなくても、的確に淡々と戦争の恐ろしさと愚かさを伝えてくれる作家さんに頑張ってほしいですよね。
ここなつ
2017/07/26 18:05
セレンディピティ さん

コメントとTB、有難うございます。

思いだすと「プライベート・ライアン」ではファーストシーンのあまりの凄さに固まってしまったものでしたが、今回は事前に覚悟していた事と、戦闘シーンがとてもよく出来ていたので、思いのほか残虐シーンが平気でした。
おっしゃる通り、エンターテインメント的な要素も多くて、劇映画として良く出来た作品だったのも印象的でしたよね。

あれやこれやと疑問も頭に浮かびますが、やっぱりドスが成し遂げた事は凄いと思います。だって、あそこで死ぬはずだった人が何人も助かってるんですものね。それに意味がないなんて事は絶対にないです。

戦争映画の残虐シーンが大丈夫なら是非、テレンス・マリック監督の「シン・レッド・ライン」も見ていただきたいな〜。凄い戦争映画ですよ。普通の戦争映画とはまったく違います。ガダルカナルが舞台で、これも相手は日本軍です。
ごみつ
2017/07/26 23:00
ここなつ 様

こんばんは!
コメントとTBも有難うございます。

ここなつさんのところでも書かせていただきましたが、戦争映画ってどうその作品を受け止めれば良いのかが難しい面がありますよね。
この作品は、ちょっと普通の出来事じゃない事がテーマなので、そのぶん、あれこれと考える事が出来たのも良かったですね、宗教の事とか。

日本もいよいよ戦場体験者はいなくなりますよね。自分自身も含めてですが、若い人達にもきちんと出来事を伝えていく事がますます重要になってきそうです。

日本だと最近、塚本監督の「野火」は良かったな〜。日本映画もがんばれ!
ごみつ
2017/07/26 23:08
ごみつさん、ご無沙汰です。

私も本作を見ました。いろいろ調べた上で感想をしたためようと思っていたら、未だに書けていません。

夫が沖縄に赴任時、職場が交通不便な所だったので、毎日、近隣の宜野湾市の自宅から、私が車で送迎していました。舞台が前田高地と知って、今回改めて場所を調べてみると、毎日通っていた道のすぐ近くにあったようです。全然、知りませんでした。

ただ、沖縄戦に関しては少し調べたので、ごみつさんが気になっている自死した軍人の名前は知っています。死後、海軍中将に昇進した大田実氏です。沖縄戦の司令官のひとりでした。調べたところでは、前田高地の闘いが終わったのが5月6日、大田中将が司令室で自死したのが6月13日で、実はこの2点は直接的な関わりはないと思われます。私は唐突な登場シーンに違和感を覚えました。詳しくはネットで調べてみて下さい。

ところで、6月23日が沖縄戦終結の日(現在の「慰霊の日」)とされていますが、実際には組織的戦闘が終結したに過ぎず、敗戦を知らぬ日本兵や地元民は島の南端まで逃げて、断崖から飛び降りるなどして亡くなったそうです。可哀想ですね。

また、沖縄県の児童生徒の学力が長らく低い原因は、沖縄戦で当時のエリート知識層であった師範学校の生徒達が「ひめゆり学徒隊」や「鉄血勤皇隊」(先ごろ、亡くなられた太田昌秀元県知事はその生き残り)として駆り出され、その多くが戦死してしまった為、戦後、教員の確保もままならなかったことに端を発していると言われています。戦闘の最中にあるシリア・イラクの子ども達が教育の機会を奪われていることも、彼の国々の未来にとって大きな損失でしょう。

映画に関しては、公開時、残酷描写ばかりが取沙汰されていましたが、私も戦争の真実の一断面を描いた秀作だと思っています。メル・ギブソンは優れた監督ですね。
はなこのアンテナのはなこ
2017/07/31 23:40
はなこ さん

こんばんは!
コメント有難うございます。

最後に自決した指揮官は大田実氏なんですね。私も少しだけ調べていたのですが、亡くなられた状況が違っていたので別の人かな・・と思っていました。
私も記事に書いた本を買ったのですが、読んでからだと遅くなってしまうので、今回は映画作品としての感想だけまとめてみました。
もっと色々と知っておかないとダメですね・・。そんな事をアメリカ映画に教えられてどうする・・っていう感じもして、ちょっと自分が情けなくなってしまいました。(-_-;)

はなこさんのコメントも背景の勉強になりました。有難うございます!

そうそう、残酷描写の凄さばかりがフィーチャーされてましたが、何でもっと沖縄戦が舞台だっていう事を宣伝しないんだろうと思いましたし、戦争映画として、人間ドラマとして見事な作品でしたよね。
ごみつ
2017/08/01 02:18
ごみつさん、早速の返信ありがとうございます。

訂正があります。映画の流れからすると、前田高地攻略が契機となって日本軍の敗色が濃厚となり、司令官も自決に至ったとなっています。

6月23日に陸軍の牛島満中将(死後、大将に昇進)が自決したことで日本軍の組織的戦闘の終結したとされているので、映画の中で描かれた自決シーンは牛島中将かもしれませんね。牛島氏の写真の風貌と映画の俳優の風貌も似ています。

ただ、大田中将が遺した「沖縄県民、かく戦えり」云々は、日本国内で唯一の地上戦であり、軍民一体となった激戦ぶりを伝える言葉として、現地ではとても有名です。ドキュメンタリーではないので、日本軍敗戦の象徴として、司令官の自決シーンが挟み込まれたのでしょうか?

沖縄戦の激烈さは米軍側にとっても同じだったようで、ごみつさんの記事にしばしば登場する町山氏の解説でも、沖縄戦に参加した兵士の多くが除隊後、精神疾患に苦しんだとありました。

それから、沖縄戦記の著者、外間守善氏は「ほかま・しゅぜん」です。沖縄の苗字は独特なので、難読ですね。昔、外間氏の文芸春秋への寄稿を読んだ記憶があります。

また、「徹子の部屋」に2度出演されたこともある渡嘉敷島島民「集団自決」の生き残りだと言う大学教授にもお会いしたことがあります。作家の曽野綾子さんは集団自決を否定されていますが、実際の体験者のお話を聞く限り、それはあったと私は思っています。
はなこ
2017/08/01 08:05
はなこ 様

こんばんは。
お返事コメント有難うございます!

外間さんは、ほかまとお読みするんですね。(^_^;)ご指摘有難うございました。下の名前の読みだけチェックして、名字はそとまだと思いこんでしまってました。記事の方も訂正しておきます。

それと牛島満将軍ですが、私もwikiで今チェックしてみましたが、この方で間違いなさそうですね!きっとこの方の最期を映画の中で脚色して加えたのでしょうね。

はなこさん、沖縄戦に関して、色々とご存知で凄いですね!いつも様々な事に問題意識を持って、深く考察されている故でしょうね。私も見習いたいです!

本は読んだらまた記事にしてみますね。

ごみつ
2017/08/02 01:15

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