ごみつ通信

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zoom RSS アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

<<   作成日時 : 2017/12/07 21:19   >>

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Do Androids Dream Of Electric Sheep?
P・K・ディック著 早川文庫
☆☆☆★★★

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第三次大戦後、放射能灰に汚された地球では、生きた動物を所有することが地位の象徴となっていた。人工の電気羊しかもっていないリックは、本物の動物を手に入れるため、火星から逃亡した〈奴隷〉アンドロイド8人の首にかけられた懸賞金を狙って、決死の狩りを始めた! 現代SFの旗手ディックが斬新な着想と華麗な筆致で描く悪夢の未来世界!(文庫解説より)

言わずと知れた映画「ブレードランナー」の原作です。ずっと読もう読もうと思いながら、何となく「ブレードランナー」世界を壊したくない様な思いから読めずにいたのですが、今回「2049」公開のタイミングでやっと読みました。

映画の筋立てが思いのほか原作に沿っている事に驚きましたが、もちろんかなりの改変をしています。

作品が根底に持っているテーマは基本的に同じですが、映画は映像作品として、一般向け娯楽映画としての様々な脚色を加えてあの大傑作になっている事がわかりました。

原作の素晴らしさはそのディストピアと化した未来社会の描写にもあるのですが、何と言ってもやはり人とアンドロイドを区別するものは何なのか?という「生命の基準」への探求だと思う。

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原作が映画と大いに異なっているのは、もはやほとんどの種が絶滅寸前で大変な希少価値を持っている生きた本物の動物への、人間達のびっくりするほど深い憧れが描かれているところ。

お金のない者は、それでも精巧な電気仕掛けの動物を飼う事で心を癒している。主人公のリック・デッカードは本物の動物を手に入れる事を夢見て、逃亡アンドロイドを追う仕事をするバウンティハンター。(ちなみにレプリカントとブレードランナーという言葉は映画だけで使われている言葉です。)

思えば映画版では折り紙や木彫りの馬っていう小物で、そのあたりは演出していたんですね。

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あまりにも精巧に出来たアンドロイドと人間を区別するものは、他者への共感能力を持っているかどうか。自分以外の存在の気持ちに寄り添い、それに共感出来るのは人間だけの資質。

奴隷である事を拒み逃亡してきたアンドロイド達の姿と、彼らを追うデッカードの姿と心の内側を描く事で、「人間であるという事はどういう事なのか」を追求したSF作品です。

映画にはまったく登場しない、マーサー教という新興宗教の描写(デッカードの妻もはまっている)に、ディックならではの作品の神髄があると思うのですが、このあたりよくわからなかったんですよね・・。また時間をおいて読み直してみようかなと思っています。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
ごみつさん☆
わー、原作もやはり良さそうですね!?
私もいつか読んでみたいと思います。
SFは斬新過ぎて映像を思い浮かべるのが難しかったりしますが、先に映画を見ているのでその辺はスムーズに物語に入り込めそうです☆
ノルウェーまだ〜む
2017/12/08 00:19
この原作の凄いのは、1960年代に書かれたってところでしょう。当時は冷戦の最盛期であり、熱核戦争への怖れはアメリカでは普遍的でした。だからこそ、アメリカでは異端の新興宗教が花盛りの時期でもあり、マーサ教はそのあたりのアメリカ社会を反映したものです。
にしたって、リドリー・スコット監督、よく原作を読まずに、あれだけの映画を作れたものですよ。
ヌマンタ
2017/12/08 09:52
ノルウェーまだ〜む 様

こんばんは!
コメント有難うございます。

原作は映画とは雰囲気がかなり異なるので、最初ちょっととっつきにくいと思うのですが、登場人物やストーリーの流れがけっこう同じなので、物語は追いやすいと思います。

P・K・ディックの原作ものって、アイデアだけもらってまったく脚色された作品が多いので、けっこう意外でしたよ〜。

今年もあれこれ映画見ましたが、個人的には「ブレラン」イヤーって感じです。☆
ごみつ
2017/12/08 22:47
ヌマンタ 様

こんばんは!

冷戦下では新興宗教が花盛りだったんですね・・。人々の中には明日をも知れぬ不安が渦巻いていたと思うので、そのあたりの社会背景もよくわかる気がします。

マーサ教はそういう時代背景を反映したものなんですね。

「ブレードランナー」は、脚本を書いた方も特にディックのファンじゃなかったそうで、原作に大きな思い入れがなかった事が、逆に映画としては成功要因になったのかもしれませんね。

ディックの原作は、ちょっとそのままでは映像作品には向いてないですもんね。原作通りにきちんと映像化するのは至難の業だと思います。
ごみつ
2017/12/08 22:54
こんにちは。
私もいずれ原作を読みたいです。
核の危機や気象変動で、SFの世界じゃなくて、ほんとうに将来起こりうるかも?と思えるところが怖いです。

以前、解剖学の養老孟司先生が「これだけ技術が発達しても人間は大腸菌ひとつ作れない」とおっしゃってたことが心に残っていますが、生命を作るってまさに神にしかできないことなのでしょうね...。
セレンディピティ
2017/12/09 18:53
セレンディピティ さん

こんばんは!
コメント有難うございます。

原作は最初、少しとっつきにくいかもしれませんが、映画(旧作の方)を見ていればストーリーは追っかけやすいと思います。

そうそう、生命をつくりだす技術を手に入れた、旧作映画のタイレルにしろ、2049のウォレスにしろ、自分を神だと勘違いしていくんですよね。でもやっぱりアンドロイドはアンドロイド。考えるとホント、レプリカントって哀しい存在だな〜。

尚、タイレルとかウォレスみたいな人物は原作には出てきません。原作は小説らしく、映画よりもっとストーリーが内省的な感じでした。
ごみつ
2017/12/09 23:19

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