ムーンライト

Moonlight
2016年/アメリカ (監)バリー・ジェンキンズ
(演)トレヴァンテ・ローズ アンドレ・ホランド ジャネール・モネイ アシュトン・サンダーズ ジャハール・ジェローム アレックス・ヒバート ナオミ・ハリス マリーシャラ・アリ
☆☆☆★★★

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http://moonlight-movie.jp/

第89回アカデミー賞の、作品賞、脚色賞、助演男優賞と3冠に輝いた話題作、「ムーンライト」を見に行ってきました。

貧困地域に生まれた孤独な黒人少年を主人公に、家庭問題、自らのセクシャリティへの悩み、イジメを受け続ける中で、自らのアイデンティティと居場所を求めて苦しみながら成長していく過程を描いたドラマです。

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この作品に関しては、たくさんの方が感想を書かれていると思うのですが、とにもかくにも、この作品をみはじめて私が驚嘆したのは、この映画のウォン・カーウァイ作品での傾倒ぶりでした。

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もともと監督自身が、カーウァイ作品から受けた影響の事を語っていたのを読んでいたのですが、ここまでとは思わなかったので、最初から最後まで観賞の視点がそこから外せなくなってしまいました。それくらい、あちらこちらにオマージュっぽいシーンが捧げられています。

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なので見始めてすぐに、この作品は、貧困問題、人種差別問題、ドラッグがらみの社会問題、ジェンダーの事などをテーマにしていながらも、映画の描きたいテーマの重心はそこには置かれていないだろうとわかりました。

映画は、主人公シャロンの、幼少期(リトル)、ティーンエイジ期(シャロン)、そして成長期(ブラック)と3部構成になっています。

作品の主眼は常にシャロンの内面とその行動にあって、映画は彼の後姿を追いながら、魂の遍歴を追っていくのです。シャロンは結局、自らに課せられた運命にあらがえず、麻薬ディーラーになってしまいますが、どれほど強面になっても彼の内面はいつまでも純粋で繊細。

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映画を最後まで見て感じたのは、シャロンはけっこう幸せ者だよな・・っていう事でした。彼を心から気遣う人がまわりにいて、同じ境遇でもっと過酷な人生を歩まざるを得ない人間はたくさんいるだろう・・。

だからこの映画は、人間にとって本当に大切なものは「愛」である・・っていう本当に昔から普遍的とされているものがテーマなのだと感じました。実のところ、その表現があまりにもストレートなので、赤面してしまいそうなパートもありました。まあケヴィンとの再会のシーンなんですけどね。

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あそこ、ケヴィンはあまりにもトニー・レオンなので、胸がドキドキしてしまいました。(笑)

ここで細かくはカーウァイ作品からの影響は書きませんが、「ムーンライト」に心打たれた方は是非、ウォン・カーウァイ作品もご覧になってみて下さい。シャロンがケヴィンからの連絡を受けて彼のいるレストランへ向かうシーンでは、「ブエノスアイレス」で使われていたククルククパローマが流れてオマージュ、ここに極まれり!っていう感じでした。

Moonlight - Cucurrucucú Paloma
https://www.youtube.com/watch?v=OqVh2Pig-vE

今回、そういうオマージュ描写に気をとられてしまいましたが、そんな事を気にしなくても、人間ドラマとして文句なしの秀作です。お勧めです!

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この記事へのコメント

2017年05月14日 00:54
ごみつさん、先日はありがとうございました。私からもTBの申請したので、よろしくお願いします。

ウォン・カーウァイへのオマージュが分からない私でも

>シャロンはけっこう幸せ者だよな・・
ですねえ。おかあさんはドラッグのせいであんなでしたが、本来はシャロンへの愛情はもっていたのだし、ファンはもちろんのことテレサみたいな親切は人、滅多にいないと思いました。
ケヴィンはトニー・レオンですか。ほうほう。彼の方から電話してきたのが、興味深いです。ふたりともなんだかんだ言ってロマンチストですよね
2017年05月14日 00:57
いつもいつもすみません。
まーたコメントの一部が抜けちゃいました。

ウォン・カーウァイへのオマージュが分からない私でも、素晴らしい作品だと思ったので、カーウァイ作品を見たら、さらに深まるでしょうね。おすすめはやはり「ブエノスアイレス」でしょうか?
ごみつ
2017年05月14日 01:16
夏 さん

こんばんは!
早速のコメントおTB有難うございます。

先日もお話したけど、シャロンはラッキーですよね。ああいう優しさがまわりにあったから、あの純粋な気持ちを持ち続けていられたんだろうけど、きっとこれからは幸せな人生が待っているのだと思いたいです。

ウォン・カーウァイへのオマージュが一番はっきりとわかるのは、やっぱり同じ男性同士(レスリー・チャンとトニー・レオン)の恋愛を描いた「ブエノスアイレス」だと思います。
ただ、個人的に一番お勧めなのは、私が見た範囲では「花様年華」です!この映画は本当に素晴らしいので、どちらか機会がありましたら是非!
きっと夏さんも気に入ると思いますよ~~!
セレンディピティ
2017年05月14日 08:45
おはようございます。
心を揺さぶられるいい作品でしたね。

私も本作を見る前に、ウォン・カーウァイ監督の影響について読んで、比較動画も見ましたが、私自身はそれまでほとんど見たことがなかったこともあって、意識せず、まっさらな状態で見ることができました。

実はあとから「恋する惑星」を見たのですがが、ムーンライトを先に見てからのアプローチだったせいか、影響についてはあまりよくわからなかったのですよね...。
ごみつさんのおっしゃる「鑑賞の視点がそこから外せなくなって」というのはよくわかります! 私の場合、ラ・ラ・ランドがまさにその状態だったので。^^

今度「ブエノスアイレス」「花様年華」も見てみますね☆
ここなつ
2017年05月14日 09:40
こんにちは!TBをありがとうございました。
「ケヴィンがあまりにもトニー・レオン」…!
すみません、大ウケしてしまいました!
笑うべきところではないのに、もう、ごみつさんったら…
&お茶らけたコメントで失礼しました。つい、伝えたくて、すみません。
ごみつ
2017年05月15日 00:46
セレンディピティ 様

こんばんは!
すっかり遅くなってしまいましたがやっと見れました。公開が終わっちゃわなくて良かったです。

本当に心を揺さぶられる作品でしたね。シャロンにくらべるとケヴィンの心情がよくわからない感じがしたのですが、結局、お互いにとても大切な存在だったんですね。
ケヴィンは離婚をして、きっとその事に気がついた様な気がしました。

「恋する惑星」は、ちょっと趣が異なる作品なんですよね。
一番わかりやすいのは「ブエノスアイレス」なのですが、「花様年華」の方がみやすいだろうと思います。是非是非チェックしてみて下さいね。

「ララランド」は、オマージュ探しをはじめちゃうとキリがなさそうですね。(^_^;)それこそ全編にわたってありますもんね。
ごみつ
2017年05月15日 00:50
ここなつ 様

こんばんは。
TBと、コメントまでいただいちゃって有難うございます!

え~、だって、ラストのケヴィンはトニー・レオンみたいじゃなかったですか!?(笑)
いつも冷静にシャロンをうけとめてくれる優しさとか、コックの仕事とか、タバコ吸ってる姿とか。

あと、ケヴィンの部屋の調度品、東洋趣味でしたよね。

やっぱトニーだよ!(笑)
himari
2017年05月17日 09:08
ごみつさんこんにちは
この映画、私も先月鑑賞したのですが、うまく咀嚼できなくて感想を書かないままでいましたが、ごみつさんの感想を読んでストンと飲み込めました。
ウォン・カーウァイ監督の傾倒は私も感じました。いろいろなシーンにオマージュが感じられます。
アメリカにおいて人種的にも愛情方向もマイノリティーなシャロンはタフな男になって人を信じないで自分を守ることでやっと生き残れた。
「ククルクク・パロマ」がシャロンの悲しみと愛を求める気持ちを表しているように感じられて、ケヴィンがシャロンに聞かせた歌(題名はわからないけど)はケヴィンのメッセージ。
そしてケヴィンがトニー@ファイなのに納得!ファイも好きな人のために手料理を作ってあげてましたね。
シャロンが絶望的ではなく小さい時から救われる存在がいたのは、作り手側の想いを感じました。おそらく現実はもっと厳しい。だからこそ映画の中で救いの手を差し伸べているのかな
ごみつ
2017年05月18日 01:08
himari 様

こんばんは!
himariさん、「ムーンライト」行かれたんですね!
いかがでしたか?

私は、とても感動したのですが、実はとても優しすぎる作品だな・・って思ったのも事実。
これまで、同じ様なテーマで、もっと悲惨な内容をたくさん見てきたせいもあるかもしれないけど、逆にこの作品の登場人物達の繊細な内面描写が新鮮でもありました。

カーウァイ作品を幾つか見てると、その影響力が目につきますよね。
あのドラッグ中毒のお母さんがシャロンに与えてる影響の大きさは、「欲望の翼」を思い出しました。
ケヴィンのあの冷静さは、トニー・レオンをイメージしますよね。

この作品、最大の特徴は「愛」と「優しさ」なんですよね。今までそんな雰囲気で描かれたこの手のストーリーの作品を見た事がなかったので本当に驚きました。

普通のアメリカ映画ならこんな展開にならないんですよ。そういう意味でもこういう芸術映画っぽいっていうか、インディペンデントなタイプの映画がアマデミー作品賞をとったのは素晴らしいな・・って思いました。
ノルウェーまだ~む
2017年05月19日 11:12
ごみつさん☆
ウォン・カーウァイ作品は見た事ないのですが、そんなにも傾倒していたとは…
更に奥深い観察眼で鑑賞できましたね☆
シャロンの変わらない繊細な内面に強く胸を締め付けられる想いでした。

トニー・レオンですか…??
ごみつ
2017年05月21日 01:20
ノルウェーまだ~む 様

こんばんは!
コメント&TB有難うございます!

ウォン・カーウァイ作品は是非見てみて下さい!見ればその影響がわかると思いますよ。
同性愛映画ですが「ブエノスアイレス」が一番わかりやすいです。あと一押しのお勧めは「花様年華」です!
そうするとケヴィンがトニー・レオンなのがわかると思います。(笑)

でもそんな事を気にしないでもこの作品は素晴らしかったですよね。とっても繊細な作品でした。
ノルウェーまだ~む
2017年05月24日 23:13
ごみつさん☆
「花様年華」見ました!
確かにどこかアンニュイな映像美としっとりともの悲しいうつろうような感じが似ていますね~
なるほどトニー・レオンですねぇ。
切なさではこちらの映画が勝ってますけど…
とにかく「花様年華」は難解でネタバレ解読など検索しながら、今日一日かけて何度か見直しちゃいました(笑)
ごみつ
2017年05月25日 01:14
ノルウェーまだ~む 様

こんばんは!
おお、「花様年華」ご覧になったんですね!
良かったでしょう~?私はいちいち、色彩の美しさだとか、マギー・チャンの衣装だとか、音楽だとか、心酔しながら観賞しました。
ちょっと、映像の空気感っていうか、漂う雰囲気みたいなのが、「ムーンライト」と似てる感じありますよね。

あと、しょっぱなあたりの、日本のお土産に炊飯ジャーを買ってきて、みんなで炊けた炊けたって騒ぐシーンとかも好きで、ここだけ気分はプロジェクトXになりました。(笑)
だぶるえんだー
2017年08月10日 21:42
   この作品、わが町の映画館でいま上映されています。迷っています。
「ローマ法王になる日まで」
と、これ。どちらにしましょうか。
   やはり歳を食うと映画の好みも変わります。こう・・・・・監督の叫びが聞こえるような作品が欲しくなる。
ごみつ
2017年08月11日 18:57
だぶるえんだー 様

こんにちは!
コメント有難うございます。

この映画は男性の同性愛の映画なので、もしも苦手でなければお勧めですよ!
人間ドラマとしてとても上質です。

「ローマ法王になる日まで」も面白そうですね。
確かに年齢とともに映画の見方は絶対に変わってきますよね。
私、若い頃は、反社会的な若者を描いた作品が嫌いだったのですが、20代後半くらいからは大好きになりました。世の中がわかってきたからでしょうね。

意味不明な難解映画もご多分にもれず苦手でしたが、歳とともに作品のエッセンスっていうかコアな部分を感じる事が出来る様になりました。「この監督は何を表現したいんだろう」って寄り添える様になった気がします。

それにしても監督の叫びが聞こえるような作品、最近は少ないですよね・・。

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