生誕100年 ユージン・スミス写真展

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http://www.crevis.co.jp/exhibitions/exhibitions_084.html

東京都写真美術館で開催中のユージン・スミス写真展に行ってきました。

ユージン・スミスと言えば、日本では「水俣」の写真集が有名で、日本との関係が深いこともあり著名な写真家で、私も大好きな写真家で、今回の展覧会も楽しみにしていました。

水俣問題の中央公害審査委員会 東京 1973年

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今回、彼の回顧展に足を運ぶのは初めてで、あらためてドキュメンタリーフォトグラファーとしてのその才能に感嘆してしまいました。

彼の経歴を追ってみると、17歳の時にニューヨークで偶然出会った日系写真家の作品に強い感銘を受けてプロの道を志したと書いてあるのですが、その日系写真家って誰なんでしょう?とても気になりました。

第二次大戦中は報道カメラマンとして従軍し、サイパン、沖縄、硫黄島へ派遣され、沖縄では爆風をうけ負傷し生涯その後遺症に悩まされていたそうです。

死にかけた赤ん坊を見つけた米兵 サイパン

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戦後、写真雑誌の「ライフ」の仕事をするも、編集と意見が対立し袂をわかつ。1960年代に日本の企業「日立」の企業写真を撮るために来日。1970年代に、日米ハーフのアイリーン・美緒子・スミスと結婚し、ともにチッソが引き起こした公害病の「水俣病」の写真を撮影、実際に抗議活動にも参加しています。

その際にチッソが雇った暴力団から暴行を受けて負傷。スミス氏は、日本人から大きなダメージを与えられながら、名もなき弱い日本の被害者たちのために闘ってくれもした。本当に日本と関係の深い人生ですよね。

今回の展覧会は13のテーマで構成されていて、彼の足跡がたどれる様になっていました。

巨大な鉄製暗渠の検査。日立、1961年

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どの写真も、余計な情報を排した、白黒の陰影だけで語られるワンシーンの深みが凄くて、どの作品もため息が出たり、息をのんだりしてしまいました。素人ながら、その技術は物凄いと思いました。

三世代の炭鉱労働者 ウェールズ 1950年

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ゴーグルをはめた鉄鋼労働者 ピッツバーグ 1955年

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建設現場のシュヴァイツァー ガボン 1954年

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ユージン・スミスの被写体は常に底辺で働く人間たちに向けられているのがよくわかります。

今回、私が最も心惹かれたのは「カントリー・ドクター」の一連の写真。1948年にライフに掲載。コロラド州クレムリングという小さな町で一人で2000人の町民達を診ていた、セリアーニ医師の姿を追ったドキュメンタリー写真。

人ってこんなにも深い表情をするんだな・・と、何かが起きても人間っていうのは、大げさな表情やジェスチャーなどはとらず、それは体全体から漂ってくるものなだな・・と心を打たれます。

出産で母子ともに死なせてしまったあとのセリアーニ医師。

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↓ このマグナムのサイトで一連の写真が見られますよ。スミスは1955年から58年まで4年間だけマグナムに所属していたのですね。

https://www.magnumphotos.com/newsroom/society/w-eugene-smith-country-doctor/

ユージン・スミスの言葉

写真は見たままの現実を写しとるものだと信じられているが、そうした私たちの信念につけ込んで写真は平気でウソをつくということに気づかねばならない。(wikipediaより引用させていただきました)

ジャーナリスト写真家にとって責任を果たすとはどういう事か?それは、第一に「客観性」をなくす事、そして第二に「自由」を取り除く事だと彼は言う。

それは、きっと、被写体への責任を果たすために、必ず被写体とともに主観的な見方をして写真に反映させる事、「報道の自由」というのはジャーナリスト優先の自由であってはならず、被写体に対して最後まで責任のとれる表現をする事が重要であり、決してセンセーショナリズムに陥ってはならない・・っていう事なのかな、と個人的には解釈しました。

とても堪能した写真展でした。

ポスターの写真は「楽園への歩み」 ニューヨーク郊外 1946年 スミスの子供たちの写真。エドワード・スタイケンが企画しMOMAで開催された「ファミリー・オブ・マン」に出品された作品で、スミスの代表作の一つです。

展覧会のカタログは有名な写真集(著名な写真家が作品を寄せています)なので、目にする機会があったら眺めてみて下さいね~。

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ユージン・スミス?水俣に捧げた写真家の1100日
小学館
山口 由美

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この記事へのコメント

セレンディピティ
2018年01月21日 18:19
こんにちは。
感想、楽しみにしていました。
「カントリー・ドクター」は私も心に残ったシリーズです。
一瞬のドラマを切り取るスミスもすばらしいし、被写体と撮影者の信頼関係がなければ撮れない写真だな...とも思います。

>写真は平気でウソをつく
これは長年ジャーナリズムの現場にたずさわってきたユージン・スミスならではの含蓄のあることばですね。
フォトジャーナリストとしての覚悟と信念が伝わってきます。

見応えのある写真展でしたね。
ごみつ
2018年01月21日 23:02
セレンディピティ さん

こんばんは!
コメント有難うございます。

今回のユージン・スミス展、とても素晴らしい内容でしたね。
頑張って出かけて行って良かったです。

「カントリー・ドクター」は写真の内容も良かったのですが、セリアーノ医師の姿に心打たれました。

「写真は平気でウソをつく 云々」は、きっとこういうスミス氏の写真家としての信念みたいなものが、商業主義(仕方のない事なのでしょうが)で編集しようとするライフと衝突した理由なのかもしれませんね。

色々と考えさせられた展覧会でした。

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