デトロイト
Detroit
2017年/アメリカ (監)キャサリン・ビグロー
(演)ジョン・ボイエガ、ウィル・ポールター アルジー・スミス ジェイソン・ミッチェル ジャック・レイナー ベン・オトゥール アンソニー・マッキー
☆☆☆★★★
http://www.longride.jp/detroit/
1967年の「デトロイト暴動」のさなかに起きたアルジェ・モーテル事件を描いた作品です。「ハート・ロッカー」「ゼロ・ダーク・サーティー」に続いて、キャサリン・ビグロー監督、マーク・ボール脚本による問題作です。
1967年7月、デトロイト。理不尽な逮捕劇をきっかけに、黒人たちによる暴動が激化。鎮圧に乗り出した軍や地元警察との衝突で街はまるで戦場と化していた。
そんな中、アルジェ・モーテルの黒人客がふざけて撃ったレース用の空砲がスナイパーによる狙撃と誤解され、瞬く間に警官がモーテルに押し入り、関係のない宿泊客を尋問しはじめ、暴力へとエスカレートしていく・・・。
この映画、実話に基づいた作品で、なおかつ今回はドキュメンタリータッチで展開していることもあり、前の2作品以上に緊張感が物凄い映画でした。
アルジェ・モーテル事件に至るまで、かなり長い時間をかけて丁寧に背景の人物描写が語られていくので、観客も被害者達と同じ感覚で恐怖を味わう事になります。
「スター・ウォーズ」のフィンことジョン・ボイエガ、見事な演技を見せてくれました。彼が演じる警備員のディスミュークスは、暴力ではなく話し合う事で問題は解決出来る・・という考えのもと行動をしますが・・。
今でも続く、アメリカの銃社会の恐怖、人種差別のひどさが、1960年代の空気感とともに胸に迫ってきます。この映画は60年代の事件をテーマにしているけれど、同じく現代の問題をも描いていると言う一種の絶望感とともに、ひとたび事があれば、治安管理と言う名目でどれほどひどい事が行われるか・・と言う事を、誰もが胸にきざみこんでおくべきだな・・と恐ろしい気持ちにもなりました。
結局この事件では3人の黒人が射殺され、デトロイト市警の警官が裁判にかけられるも全員無罪となる。
この夜モーテルにかけつけた中で、ミシガン州警察は巻き添えを恐れて早々と撤退、軍は見て見ぬふりを決め込みます。暴行をした中心人物はデトロイト市警の警官3人。
映画は1960年代の空気をそのまま感じられる描写のあれこれがまず素晴らしかった。劇中で流れる音楽も物凄く良かった!特にエンドクレジットで流れるこの曲、ホントに素晴らしくて映画の余韻もあいまってクレジット眺めながらしばし固まってしまいました。
It Ain’t Fair (feat. Bilal) (From The "Detroit" Original Motion Picture Soundtrack/Audio)
https://www.youtube.com/watch?time_continue=3&v=3uXV62u9odY
お勧めです!!時代はちょっとづつでも良くなっているんだ!と信じて。
2017年/アメリカ (監)キャサリン・ビグロー
(演)ジョン・ボイエガ、ウィル・ポールター アルジー・スミス ジェイソン・ミッチェル ジャック・レイナー ベン・オトゥール アンソニー・マッキー
☆☆☆★★★
http://www.longride.jp/detroit/
1967年の「デトロイト暴動」のさなかに起きたアルジェ・モーテル事件を描いた作品です。「ハート・ロッカー」「ゼロ・ダーク・サーティー」に続いて、キャサリン・ビグロー監督、マーク・ボール脚本による問題作です。
1967年7月、デトロイト。理不尽な逮捕劇をきっかけに、黒人たちによる暴動が激化。鎮圧に乗り出した軍や地元警察との衝突で街はまるで戦場と化していた。
そんな中、アルジェ・モーテルの黒人客がふざけて撃ったレース用の空砲がスナイパーによる狙撃と誤解され、瞬く間に警官がモーテルに押し入り、関係のない宿泊客を尋問しはじめ、暴力へとエスカレートしていく・・・。
この映画、実話に基づいた作品で、なおかつ今回はドキュメンタリータッチで展開していることもあり、前の2作品以上に緊張感が物凄い映画でした。
アルジェ・モーテル事件に至るまで、かなり長い時間をかけて丁寧に背景の人物描写が語られていくので、観客も被害者達と同じ感覚で恐怖を味わう事になります。
「スター・ウォーズ」のフィンことジョン・ボイエガ、見事な演技を見せてくれました。彼が演じる警備員のディスミュークスは、暴力ではなく話し合う事で問題は解決出来る・・という考えのもと行動をしますが・・。
今でも続く、アメリカの銃社会の恐怖、人種差別のひどさが、1960年代の空気感とともに胸に迫ってきます。この映画は60年代の事件をテーマにしているけれど、同じく現代の問題をも描いていると言う一種の絶望感とともに、ひとたび事があれば、治安管理と言う名目でどれほどひどい事が行われるか・・と言う事を、誰もが胸にきざみこんでおくべきだな・・と恐ろしい気持ちにもなりました。
結局この事件では3人の黒人が射殺され、デトロイト市警の警官が裁判にかけられるも全員無罪となる。
この夜モーテルにかけつけた中で、ミシガン州警察は巻き添えを恐れて早々と撤退、軍は見て見ぬふりを決め込みます。暴行をした中心人物はデトロイト市警の警官3人。
映画は1960年代の空気をそのまま感じられる描写のあれこれがまず素晴らしかった。劇中で流れる音楽も物凄く良かった!特にエンドクレジットで流れるこの曲、ホントに素晴らしくて映画の余韻もあいまってクレジット眺めながらしばし固まってしまいました。
It Ain’t Fair (feat. Bilal) (From The "Detroit" Original Motion Picture Soundtrack/Audio)
https://www.youtube.com/watch?time_continue=3&v=3uXV62u9odY
お勧めです!!時代はちょっとづつでも良くなっているんだ!と信じて。
この記事へのコメント
緊張感だけでなく屈辱感も存分に味わいました。
州警察も軍も見て見ぬふりが、更に口惜しかったですよね…
裁判においてはもっと更にムカつき、エンドクレジットではそれが最上にまで達しましたが、あのゴスペルでちょっとだけ浄化できたような気がしました。
見た後もしばらく緊張感が解けない作品でした。
リアリティがすさまじかったですね。
おっしゃるように背景や人物描写がていねいに描きこまれていたので、よけいに彼らに感情移入して、恐怖が体感できたのだと思います。
>ひとたび事があれば、治安管理と言う名目でどれほどひどい事が行われるか・・
先進国アメリカでも克服できていないですし、日本においても決して他人事ではないですよね。怖ろしいです...
おはようございます。
コメントとTB,有難うございます。
被害者の立場にたったら、それこそ屈辱以外のなにものでもないですよね!
なぜ、黒人たちは自国において、こんな仕打ちをうけないとならないんだろう・・って、他国の人間ながら憤りを感じずにはいられません。
オバマが大統領になったとき、「ああ、アメリカも変わる時がきたか!」なんて思ったけど、今の現状を見るにつけ本当に根深い問題なんだな・・とちょっと絶望気味です。
それでも、60年代よりは良くなっているのは確かだと思うので、未来に希望を持ちたいですね。
最後、ラリーのゴスペル、素晴らしかったです。
おはようございます。
早速のコメント、ありがとうございます。
被害者たちの背景に加えて、警官たちの姿も描かれてたので、本当に怖かったです。
日本では人種差別にあう事はほぼないので(別の差別はあっても)、なかなか肌では感じにくいけれど、同じ目にあう事がもしもあったら、どれほどの怒りと恐怖を感じるだろうな・・と想像しちゃいますよね。
私も正に正に、
>この映画は60年代の事件をテーマにしているけれど、同じく現代の問題をも描いていると言う一種の絶望感とともに、
鑑賞しました。
デトロイトという都市自体が色々と問題を抱えている街だったとしても、この事件は理不尽過ぎます。
こちらにも有難うございます。
アメリカの人種問題だの、銃の問題だの、戦争の問題だの、考えてると本当にやりきれない気持ちになりますよね。
考えてみれば日本も問題が山積していて、人の社会っていうのは本当に難しいもだな・・と思います。
この映画が、60年代の雰囲気が凄くよく出てましたよね。そこもとても良かったです。