フォックスキャッチャー

Foxcatcher

2014年/アメリカ (監)ベネット・ミラー
(演)スティーヴ・カレル チャニング・テイタム マーク・ラファロ シエナ・ミラー ヴァネッサ・レッドグレーヴ
☆☆☆★★★

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実在の殺人事件を題材に、レスリング五輪金メダリストとそのパトロンとなった大富豪が悲劇の結末を迎えるまでを描いた問題作。アマゾン・プライム・ビデオで鑑賞。

1984年のロサンジェルス・オリンピックで金メダルを獲得したレスリング選手、マーク・シュルツ(C・テイタム)。マイナー競技のため生活もままならず学校でも講演ばどで日銭を稼いで暮らしていた。同じ金メダリストの兄、デイヴ(M・ラファロ)は人当たりも良く弟よりも名前が知られており良き家庭人でもある。

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ソウル五輪を目指しながらも困窮していたマークのもとに、ある日大富豪のジョン・デュポン(S・カレル)から彼が結成したレスリングチーム「フォックスキャッチャー」への参加をオファーされるのだが・・。

ベネット・ミラー監督作品である「カポーティ」と同じく、この「フォックスキャッチャー」も人間の心の奥底にある暗い側面をテーマにした作品でした。

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映画を見続け、そして悲劇のラストを迎えるところに至ったところで、監督がこの実際の事件をもとに描きたかったテーマがはっきりと見えてきて、心ならずもちょっとした戦慄を感じました。

人の心が病んでいく理由、長い年月の中で家族という存在が人間に与える一種のトラウマじみたもの、そしてそれは決してお金があるとかないとか、そんな社会的格差すら超えるものなのだという事。これ等の負の人間心理というものを描くためにミラー監督はこの題材を選んだのだとはっきりと感じました。

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だから、これは決してドキュメンタリーなんかじゃないんですよね。その事実の中から抽出されたエッセンスをドラマ化したものなんだと思います。本来、人の心理なんてそれほど単純ではないし、この事件の背景にあったものを本当に知ることなどきっと誰にも出来ないでしょうから・・。

映画の中では誰でもはっきりとわかる事、それはマークとデュポンが同じ性質を持った人間で、互いに惹かれあっていたという事だと思う。この2人の間だけで事が進行していればこの事件は起きなかった。

そこへ異質な存在であるデイヴが参加した事で全てが破壊されてしまう。

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完全に健全であるデイヴには、心に負の因子を抱えたマークとデュポンの気持ちを理解出来なかった。ああ、何という悲劇なんだろう!

とにもかくにも、ジョン・デュポンを演じたスティーヴ・カレルの演技が見事でした!心を病んでいる事がひしひしと感じられるあのまなざし。心から笑った事など決してないのだな・・と思わせる彼の演技は本当に見事でした。

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映画を通して、私たちは様々な事を教わり、感動し、涙し、世界の広さを知り、そして時には嫌悪する。だから映画を見るという事は自分自身の内面を確認することでもあり、自分が知らない、理解できない感覚、考えがこの世には存在するのだと言う事を知るとても大切な物なのだと言う事をあらためて感じさせてくれた映画でした。

超お勧めです!!



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この記事へのコメント

セレンディピティ
2018年02月24日 17:40
ごみつさん、こんにちは。
フォックスキャッチャー、緊張感がすごかったですね。
衝撃を受けましたが、私も見てよかったと心から思った作品です。
スティーヴ・カレルの狂気の演技がすごかったですね。
主役の3人がみんなすばらしかったです。

マークとデュポン、たしかに共依存のようなところがありましたね。
でも私は(だからこそ?)マークはデュポンから逃れようとしていたのかな...?という風に受け止めました。
いつかもう一度見てみたいです。
ごみつ
2018年02月25日 02:20
セレンディピティ さん

こんばんは!
コメントとTB有難うございます。

そうそう、これ飯田橋ギンレイホールでご覧になったんでしたね!
私はすっかり遅くなりましたが、アマゾンプライムにあったので早速見てみました!
重たいし後味の悪い作品ですが、映画として素晴らしかったですね。

主演3人の演技が本当に見事でそれだけでも見る価値のある作品だと思いました。

私個人としては、マークが逃げたかったのは兄のデイヴだったんじゃないかな・・と思いました。兄のデイヴはマークにとって兄であり父親でもある大切な存在なんだけど、彼の保護下、影響下から逃れられない自分を変えたかったんじゃないかなと感じたんですよね。

それは精神的に母親の抑圧の下にいたデュポンと同じなんだけど、デュポンは結局、デイヴを呼び寄せてしまった。で、マークは失意の中でフォックスキャッチャーを離れたんじゃないかしら?

デイヴはマークと同じ様には接してくれないので、あの悲劇が生まれたんだと思いました。

いずれにせよ本当に理由は誰にもわからないし、きっと当のデュポンにもわからなかったんじゃないかな。(統合失調症だったみたいですね。)

色々と考えさせられる作品でした。
ここなつ
2018年02月28日 12:51
こんにちは。こちらにもお邪魔させていただきます。
コレ、良かったでしょ?!良かったでしょ?!良かったでしょ?!
と、三連発する位、私この作品心に響きました。
あとですね、カレルの演技ももちろん大絶賛なのですが、私はチャニング・テイタムの本気で寡黙なレスラーになり切っていた所が凄いと思っております。
ごみつ
2018年03月01日 01:05
ここなつ 様

こんばんは!
コメントとTB有難うございます。

「フォックスキャッチャー」凄~くX3 良かったです!
この映画見た後、しばらくこの作品の事考えてました。
良い作品ってしばらく心の中で余韻が残りますよね。

カレルはもちろんですが、他の2人の演技も見事でした。

ラストシーンで、一人生き残っているチャニング・テイタムが、地下レスリングみたいなのをやってるじゃない?
あのエンディングも良かったな~。

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