ルバーイヤート

Rubaiyat
オマル・ハイヤーム著 岡田恵美子編訳 平凡社ライブラリー
☆☆☆☆

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盃に酒をみたし、この世を天国にするがよい、あの世で天国に行けるかどうか分からないのだから。~ 十一・十二世紀のペルシアに生きた科学者にして、虚無と享楽の詩人ハイヤーム。原語からの正確で平易かつ香り高い新訳に加えて、「人間は土から創られ土になる」など、私たちと同じようでしかし違うその世界観を解説、名高い四行詩を細かいところまで味わう一冊。 (裏表紙解説より)

中東系の古典って読んだ事ないな・・と何となく図書館で借りてきた1冊。

ルバーイヤートとはアラビア語で四行詩を意味するルバーイーの複数形。これはオマル・ハイヤームの四行詩集です。良くわかんなかったら即読むの止めよう・・などど軽く読み始めてすぐに、彼の詩の世界に深く引き込まれてしまいました。

ハイヤームは、ペルシャのセルジューク朝のスルタン(君主)であるマリク・シャーのお抱えだった数学者、天文学者。彼が作成したジャラーリー歴は現在のイラン歴の元になり、当時のグレゴリウス歴よりも正確だったそうですよ。科学者としてこの世を見つめ続けてきたハイヤームは、人の世の無常を幾つもの美しい詩として残していきます。


雲がでて、若草の上にまた涙を流した。

紅の酒がなくて、どうして生きていけよう。

あの若草は 今日われらの目を楽しませるが、

いずれはわれらの墓に生えて 誰がそれを眺めようか


(95ページから引用させていただきました)

自分の意思ならずこの世に生れ落ちて、いずれは必ず土へと還って行く。生命は何故この世に生れ落ちるのだろう、それに一体何の意味があるのだろう。

神がいるのだとしたら、天があるのだとしたら、それを破壊してしまいたい。しかし、実際のところ、一切は「無」なのではないか。

イスラム教の支配下になったペルシャでは飲酒は禁止されていた。その抑圧のせいもあるのか、ハイヤームの詩ではとにかく、「飲め!酒を!」という言葉が毎回の様に出て、都度、私もお酒が飲みたくなりました。

ペルシャ(イラン)はもともと、ゾロアスター教を信仰していたが、イスラム教徒に征服されイスラム教国家となっていた。ゾロアスター教は多神教であり、イスラム改宗後にも根強くその習慣の名残りが生活の中に残っていて、それは現在でもそうなのだそうです。

日本が仏教国となっても神道系の文化が根強く残っているのと、ちょっと似た感じがあって、私にとっては全くなじみがないと言っても良い、11~12世紀の砂漠の民族の心情が、何となく伝わってくる感じがしたのもとても新鮮でした。

もしも、私が砂漠の民であったなら、きっとこの地を愛し、この砂漠の文化とともに生きていたのだな・・という、けっこう生々しい感触、デジャブ感みたいなものを感じたんですよね。

そんなこんなで、この「ルバーイヤート」はかなり堪能しました。

詩はどこの国のものでもそうなのでしょうが、実はきちんと鑑賞するためには、その国の言語がわかっていないとダメなんですよね。この「ルバーイヤート」も、アラビア語がわかればこの詩集の素晴らしさがもっと理解できるのだそうです。

詩はテーマごとに章立てされていて、あいまあいまに、役者の岡田恵美子氏の注釈や、現在のイラン文化のエピソードなんかが語られ、非常に読みやすいです。

もともと埋もれてしまっていた彼の詩でしたが、19世紀にイギリスのエドワード・フィッツジェラルドが英訳をしブレーク。世界中に知られる事になったそうです。

ウィリアムス・モリスが装飾文字を、エドワード・バーン=ジョーンズがイラストを担当した「ルバーイヤート」のページ。これ、今でも手に入るのかな!?

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興味を持たれましたら是非、いかがでしょうか?


命がつきるとき、そこがバクダードでもバルフでも変わりはない。

酒杯が満ちるなら、酒は甘くとも苦くともよい。

酒をのめ。われらが立ち去ってからも、

月は無限に満ちてはかけ、また満ちるのだから。


(123ページから引用させていただきました。)

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この記事へのコメント

kinkacho
2018年09月13日 08:02
ごみつさん、こんにちは。
ちょうど、杜甫と李白の詩についてつらつらと考えていたので、タイムリーなレビューです。
漢詩、四行詩、そして短歌と、言葉と様式は違えど、人間が心情をうたうのはまずは詩なんですね。
これは万国共通なんだ!!
そして、酒!!
これも万国共通なんですね!!
李白も酒飲みでしたよね!
ごみつ
2018年09月13日 18:46
Kinkacho さん 

こんばんは!
Kinkachoさん、今、漢詩モードだったんですね!
それはグッド・タイミング。

この「ルバーイヤート」、国は違えど、人間の心情とはどこの地でも同じだし、それを詩にして詠む形態も共通なんだな~なんて思いながら読みました。

そうそう、お酒ね~。お酒を飲まない国ってないですよね。(イスラム除く)
飲みすぎさえしなければ、あれは心を開放しますからね~。(;´∀`)
私は、お酒を飲むと何だか愉快な気分になって、そのうちセンチメンタルになってきます。(笑)

そして曹操の短歌行をくちずさんでみたりします。(;^ω^)

レッドクリフより

https://www.youtube.com/watch?v=iABV_tyb0xI

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