ファースト・マン

First Man
2018年/アメリカ (監)デミアン・チャゼル
(演)ライアン・ゴズリング クレア・フォイ ジェイソン・クラーク カイル・チャンドラー コリー・ストール キアラン・ハインズ ルーカス・ハース
☆☆☆★★★

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https://www.firstman.jp/

アポロ計画が昔から大好きなので、とても楽しみにしていた本作、2月はあれやこれやと忙しくてなかなか見にいけず、上映最終日のレイトショーでやっとこさ鑑賞してきました!

人類初、月に降り立った宇宙飛行士ニール・アームストロングを主人公に添えたドラマです。

かなり地味で盛り上がりに欠けるという意見をたくさん見かけていたので、そういう作品だという心づもりで見始めたのですが、いやいや、これは宇宙計画ものとしては見せ場も含めてかなりの出来だと思いました。

ニール・アームストロングはもともと空軍のテストパイロットをしていて、映画の冒頭で、高度63000メートルに達した時機体のコントロールを失ってしまうシーンからはじまりましたが、このシーンのリアルさで、この映画の目指す方向性がはっきりとわかりました。

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マーキュリー計画、ジェミニ計画と続き、きびしい訓練の様子が描かれていく。

そして月面着陸を目指すアポロ計画へ。

淡々と目標へ突き進んでいくニールの姿を追いながら、小さな娘の死、パイロット仲間の事故死等、彼の心を引き裂く様な辛い出来事も描かれていく。

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それでも、ニールは人前で大げさに感情をあらわすこともなく、月面着陸へ向けて着々と行動を続けていく。

映画を見ながら思ったのですが、この映画のニール・アームストロングは、「ライト・スタッフ」でたった一人で超音速飛行を成し遂げたチャック・イェーガーの姿に似てるんですよね。

自分自身の命をかけた孤独な戦い。

月に降り立つ・・って、どう考えても普通じゃないでしょう。それをやり抜くだけの精神力、知力、体力のある者だけが目指せる境地。死んだらそれこそ宇宙の藻屑となる。私なら死ぬなら絶対に地球で死にたいです。

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月面着陸という偉業は世界中を驚かせ興奮させた出来事ですが、当の飛行士たちにとっては一歩、一歩、それまで何度も繰り返してきた訓練の繰り返しにすぎない。

そこで失敗すれば死ぬだけです。

そういう一人の人間の孤独な戦いが、まさにニール・アームストロング自身の目線を映像とし、観客に見せてくれた。アメリカの宇宙計画を描いた映画の中でも屈指の作品だと思いました。

それとアポロ11号の打ち上げのシーン、あれ素晴らしかったですよね~。月に降り立った時に無音になるシーンも鳥肌が立ちました。

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家族との関係(アームストロング夫妻は後日離婚しているんですよね)、チームメイトとの関係、社会情勢の描写なんかも静かにではありましたが、不協和音にならないレベルで描かれているのも良かった。

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↓この曲のシーン。けっこう心動かされました。一面、確かにその通りですから。

"Whitey on the Moon (from First Man)" by Leon Bridges

https://www.youtube.com/watch?v=d_Fjnwe2xv4


月面でニールが娘のアクセサリーを捨てるシーンは、あれはニールの心のイメージを映像化しているのでしょうが、この映画唯一のファンタジックなシーンでしたね。

この映画の原作はジェームズ・R・ハンセンのノンフィクションですが、ニールは寡黙でマスコミ嫌いだった事もあり、取材と伝記の刊行のOKをとるのは大変だったそうです。近いうちに読んでみたいと思ってます。

左からニール・アームストロング、マイケル・コリンズ、バズ・オルドリン アポロ11号のメンバー。

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この記事へのコメント

セレンディピティ
2019年03月16日 07:59
ごみつさん、おはようございます。
淡々粛々と真摯に作られたドラマでしたね。
アームストロングが、任務の遂行のためにストイックに努力を重ねていく姿は、おっしゃるようにイエーガーの姿に重なりました。
月に降り立った時の無音の世界、地球に帰還した時に感じる重力は、怖いけれど体験してみたいです。^^

https://blog.goo.ne.jp/serendpt3/e/dda8fd5e57d6306b291f791169eefa90
Tae
2019年03月16日 11:54
こんにちは!

鑑賞からはや一月が経ちますが、いま、いちばん心に残っているのは、出発の前夜、ニールが奥さんにせっつかれて息子たちに話をするシーンです。準備万端整って覚悟もできているはずなのに、迷いを払拭しきれていない感じがリアルでドキドキしました。子どもに下手な嘘は通用しないし、できれば避けたいという気持ち、とてもよくわかる気がします。

実のところ"国家的プロジェクト"の功罪を一納税者として考えさせらえる作品でもあるのですが、そのあたりは痒いところに手が届かない感じもあったりなかったり。

なので、原作、私もぜひ読んでみます!
ごみつ
2019年03月17日 01:29
セレンディピティ さん

こんばんは!
ドラマ的には地味なくらいな作品でしたが、真摯に撮られた作品でしたよね。
私はとても堪能できました。

月面の無音のシーン、数秒くらいだったと思うけど、けっこう不安になりました。
飛行士の呼吸音だけでも、音があるとこんなに安心できるんだな~と思わされたシーンでした。

無重力ってどんな感じなんでしょうね。体験してみたいですよね。
ごみつ
2019年03月17日 01:34
Tae さん

こんばんは。
あ~、そうそう、ニールと子供たちのシーンは緊張感ありました。
あの奥さん、素晴らしい女性だったけど、何で離婚しちゃったんだろう。
色々とあったんでしょうけれど。

国家的プロジェクトの功罪って確かにありますよね。

記事にものせた"Whitey On The Moon"のシーンではちょっとハっとさせられたりしました。

原作、面白そうですよね。何とか映画の感動が残っているうちに読みたいな~。
kinkacho
2019年03月18日 18:49
ごみつさん、こんにちは。
盛り上がりを見つけられるかどうかが、この映画を楽しめるかどうかの分岐点だと思います。
kinkachoは静かなクライマックスを見たように思います。
楽しめた映画です。
ごみつ
2019年03月19日 01:23
Kinkacho さん

こんばんは!
すっかり遅くなりましたがやっと見て来ました。
凄く面白かったです。

盛り上がりは全編を通じてあったと感じました。全ての行程がニールにとっては戦いですから。

どれほどの危機的状況に陥っても決してパニックにはならない。死に対して常に準備が出来てるんですよね。
それが宇宙パイロットに必須の資質なんだろうな~。
感銘を受けました~。
ここなつ
2019年03月19日 12:56
こんにちは。
…私、ごみつさんにこの作品のコメントをお返ししていたつもり…勘違いしておりまして、結果ご訪問が遅くなり申し訳ありません。
ごみつさんはアポロ計画や、宇宙計画がお好きなのですね!夢とロマン、知力と体力の最高峰が全て含まれているのが宇宙計画ですものね。
私は本作、ちょっと地味かな?と感じてしまっていたのですが、ごみつさんの記事を拝見して、孤独で崇高な戦いには、仰々しさは要らないのだな、と気づきました。
ごみつ
2019年03月20日 01:01
ここなつ さん

こんばんは!
コメントとTB有難うございます。
コメントはいただけるだけでも凄く嬉しいので、いつでも全然OKです。有難うございます!

ここなつさんのブログでも感想書かせていただきましたが、私、孤独に戦ってる感じのキャラクターが好きなんですよね。(;^ω^)
そんなのもあって、この作品は楽しめましたが、ちょっと地味なつくりなのは確かでしたよね。好みがわかれる作品だな~っていう感じ。

「アポロ13」も大好きなので、ホント、どう映画化するかは監督の解釈次第ですよね。

そうそう、アポロ計画は子供の頃から大好きなんです!物凄く頭が良かったらNASAに就職したかったです。(*'ω'*)←絶対にムリ(笑)

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