ル・コルビュジェ 絵画から建築へ ピュリスムの時代

画像


https://lecorbusier2019.jp/

国立西洋美術館開館60周年記念として開催中の「ル・コルビュジェ」展に行って来ました。

↓ 国立西洋美術館はル・コルビュジェの設計です。

画像


私は現在、都内の大型書店の洋書売り場で働いていますが、そこに転職する前は、建築意匠をメインとしたデザイン全般の洋書を扱う小さな書店で12年ほど仕事をしていました。

この12年で、学ばせていただいた事、与えてもらった刺激の大きさは、口では説明出来ないくらいで、以降の仕事の上でも大いに役立つ知識をたくさん得た時間でした。

ル・コルビュジェと言えば、建築の好きな方なら知らない人はいないくらいのビッグネームで、ミース・ファン・デル・ロエ、フランク・ロイド・ライトとともに近代建築の三大巨匠と位置付けられています。

今回の展覧会は、ル・コルビュジェが建築家として名を馳せる以前、本名のシャルル=エドゥアール・ジャンヌレの名前、故郷のスイスを離れ、パリで「ピュリスム」(純粋主義)の運動を推進した、彼の若き時代に焦点を当てた内容でした。

↓シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジェ) 「多数のオブジェのある静物」

画像


第一次世界大戦終結後の1918年、彼は画家のアメデ・オザンファンとともにピュリスムの運動をスタートさせます。

↓オザンファン 「和音」

画像


ジャンヌレは、画家として作品を発表し、1920年代のパリの最先端の芸術家たちとの交流の中から様々な刺激をうけ、やがて近代建築の旗手「ル・コルビュジェ」に生まれ変わっていきます。

↓レジェ 「サイフォン」

画像


↓ ピカソ「小さなキッチン」 ピカソはやっぱり素晴らしくて、私、これはお土産のハガキも買いました。

画像


コルビュジェの建築作品は、色々と知っていましたが、ピュリスム時代の彼についてはほとんど知らなかったので、ちょっと難しいながらも、楽しい刺激をうけた展覧会でした。

平面上の中で表現される絵画とは異なり、建築というのはある目的があり、長い年月にわたり人がそれを使用する事になる上に、製作には莫大な費用がかかるもの。

「住宅は住むための機械である」

これはコルビュジェの有名な言葉ですが、その機能主義的な面と、彼が影響を受けてきた美の在り方とは、どの様な融合をとげてきたのだろう?

その結実は1931年に竣工したサヴォア邸だろうと思います。出来立てホヤホヤのサヴォア邸を訪れる、みたいな当時の映像が展覧会では流されていましたが、いやいや素晴らしいの一語です。

サヴォア邸は20世紀の住宅建築の最高傑作と言われていて、フランスの歴史遺産になっています。

画像


私は、ありとあらゆる「デザイン」が大好き。意匠が人間を豊かにする。美術、芸術が大好き。自分を不愉快にするものも含めて、およそ人間が考え出す、生み出す、クリエティブな物を愛しているし、いつまでも追いかけていたい。

そんな事をあらためて思わされた展覧会でした。建築についても、久しぶりでまたきちんと勉強したくなってきました。

ヴァイセンホフ・ジードルング

画像


1927年にドイツ工作連盟が主催した住宅展覧会。17人の建築家が参加したモダニズム建築の実践の場。戦争中にいくつかの建物は失われてしまいましたが、コルビュジェの作品は健在。シュトゥットガルト行ってみたいな~~。

ヴァイセンホフ・ジードルングのコルビュジェの住宅作品

画像


会期は5月19日(日)まで。もうすぐ終了ですので、興味のある方はお早目に。

版画素描展示室で同時開催されている「林忠正 ジャポニスムを支えたパリの美術商」も、面白かったですよ。
彼は、1878年のパリ万博に通訳として参加。その後渡仏し、日本美術をヨーロッパへ、ヨーロッパの美術を日本へと紹介した、文化交流の先駆者とも言える人です。

画像

輝く都市 (SD選書 33)
鹿島出版会
1968-12-05
ル・コルビュジェ

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト


この記事へのコメント

セレンディピティ
2019年05月10日 23:34
ごみつさん、こんばんは。
コルビュジェ展、行かれたのですね。
私はこの前、国立西洋美術館のコルビュジェ展に行ったので、今回はいいかな?と思ってしまったのですが、今チェックしたらもう6年前でした。建築家としての仕事以外に画家としてのコルビュジェに触れられて興味深かったです。たぶん今回はまた違った切り口で紹介されているのでしょうね。

それから林忠正展は、先日上野に行った時に見ればよかった!と後から知って後悔しました。
少し前に読んだ原田マハさんの「たゆえども沈まず」はゴッホを題材にした小説ですが、林忠正が重要な人物として登場しているのです。こちらはきっと資料が中心でしょうが、おもしろそうですね。
ごみつ
2019年05月11日 00:39
セレンディピティ さん

こんばんは!
コルビュジェ展、6年前にも開催されてったんですね。
今回のは、コルビュジェの初期の活動にスポットをあてた内容で、ちょっとマニア向けって感じでした。(;^ω^)
もうちょっと、有名な建築を見れるかと思ってたのですが、それでも絵画作品を見れたりしたのは貴重でした。

林忠正展は、版画素描展示室での開催なので、ホントにせまいスペースに資料(書簡とか)中心の地味な内容でした。でも、彼の事を知らなかったので、「こんな人が明治にいたんだな~」と感動してしまいました。

林忠正は江戸末期、加賀藩の生まれで、明治になってからも、前田の殿様(侯爵)と手紙のやりとりしたり、美術品の手配をしてたりと、時代を感じて面白かったです。
himari
2019年05月12日 23:36
ル・コリビジュエ展、気になりつつ、最近足の調子がいまいちで美術館へ行く回数が減ってたら、もうすぐ終了なんですね。ごみつさんのリポートを読んでがぜん見に行きたくなりました。
コルビジュエの絵画作品は明快な形が後の建築作品とつながるものを感じますね。色もいい。
ごみつさんが建築デザインへの深い想いにも感じるものがありました。今週見に行ってきます!
ごみつ
2019年05月14日 00:56
Himari さん

こんばんは!
昨夜、早めにPC閉じちゃったので、お返事遅くなってすみません。

足の調子はいかがですか?なかなか混んでるところへはお出かけしにくいと思うのですが、GWも終わりましたので、お時間がとれましたら是非。

そうそう、彼の絵画の中に、その後の建築作品につながる精神性みたいなものも感じたりしました。建築がお好きならお勧めですよ。

建築作品は本当なら出かけていって、中に入ってみて、きちんと評価出来るのでしょうが、外観のデザインだけでもとっても楽しめますよね。

林忠正も面白かったので、ついでに是非是非。
2019年06月01日 17:40
ごみつさん、ご無沙汰しております。お変わりありませんか?

私は見逃したので、ル・コルビュジェ展の詳細レポありがとうございます。ル・コルビュジェが画家だったとは知りませんでしたし、ちゃんと名前あったんですね(あたりまえか)
考えてみたら、上野のお山は西洋美術館の他にも、コルビュジェの弟子の前川國男の東京文化会館、東京都美術館、谷口吉郎の国立博物館東洋館etc.モダニズム建築の宝庫なんですね。
ちなみに23区で一番古い庁舎になってしまった我が世田谷区役所も前川國男設計ですが、近々建て直しです。残念だけど、老朽化が進んでいる上に手狭になっているので仕方のないところでしょうか。ただし隣接の区民会館だけは建て直さないので、かろうじて前川建築が残ります。今のうちに第一庁舎、第二庁舎(大階段のデザインが美しい)をしっかり見納めておこうと思います。
ちなみに第一庁舎の車寄せはウルトラ・シリーズで「近未来の建物」として登場したらしいです。

上野のお山の建築群のようにメンテがしっかりして生きた利用されているのなら心配ないですが、東京の古いビルディングで今のうちに見ておいた方がよいものは多いかもしれません…というかバブル期に大半は建て替えになっていたかな…
ごみつ
2019年06月02日 23:53
夏 さん

こんばんは!
コメント有難うございます。「グリーンブック」以来ですね。
夏さんもお変わりありませんか?私は元気です。!(^^)!

そうそう、上野の山には有名建築家の作品がけっこうあるんですよね。
日本各地で、昭和のモダニズム建築が老朽化で建てなおしになってますが、機能の面もあっていたしかたないのでしょうね。
もとの建築は、博物館とか、何か別の目的で存続させて欲しいものです。

村野藤吾の横浜市役所も近く、近代的なオフィスビルに移転になる様です。

確かに、東京の古い建物は今のうちに鑑賞しておいた方が良いかもですね。

お仕事、ご家庭とお忙しい毎日だと思いますが、体調にだけは気を付けて下さいね。
また、映画&お食事行きましょう~~!

この記事へのトラックバック