アメリカの鱒釣り

「アメリカの鱒釣り」
リチャード・ブローティガン著 藤本和子 訳 新潮文庫
☆☆☆☆

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二つの墓地のあいだを墓場クリークが流れていた。いい鱒がたくさんいて、夏の日の葬送行列のようにゆるやかに流れていた。――涼やかで苦みのある笑いと、神話めいた深い静けさ。街に、自然に、そして歴史のただなかに、失われた〈アメリカの鱒釣り〉の姿を探す47の物語。大仰さを一切遠ざけた軽やかなことばで、まったく新しいアメリカ文学を打ちたてたブローティガンの最高傑作。(文庫解説より)

図書館で何気なくみかけて、「あ~、これ知ってる、知ってる。ブローティガンって読んだ事ないし、借りてみよう」と気軽に借りてきた1冊なんです。

いや、この本読みながら、私は実に幸せだったんです、まったくワケわかんなくて。

日常のありとあらゆる事が、「アメリカの鱒釣り」なんですよ。鱒からとれた鋼鉄で財をなした鱒王アンドリュー・カーネギー!みたいな文章が延々と続くんですよ。

色んなアメリカの鱒釣りエピソードが、作者の人生とからみあいながら、50編近くあるんですよ。何だか、まったくわかんないのですが、得も言われぬ心地よさ。これは、何を表現しているのか全くわからない現代美術を鑑賞している時の心地よさに似ています。

それでも読み進めながら、「アメリカの鱒釣り」とは、きっと、失われた古き良きアメリカの暗喩なのかな・・と個人的には思えてくるのですが、そうとも限らない様な・・・。

この本を翻訳した藤本和子さんは凄いです。1970年代のアメリカのカウンターカルチャーに通じ、のみならずアメリカ文化そのものに精通してないと訳せないですよ。

不思議な作品で、奇妙にも心に温かさを感じる作品なので、いずれ購入して1冊持っていようと思ってます。読み終わったのはかなり前なのですが、どうこの作品を読み解くべきかずっと考えてて、「これは答え出ないな」と思ったので記事にしちゃいました。とにかく私はこの作品が大好きです。

誰にもはお勧めしません。ある日、「アメリカの鱒釣り」という言葉が、胸にひっかかる様になったら読んでみて下さい。

作者のブローティガンは1984年、49歳の時にピストル自殺してしまってるんですよね。凄く悲しいです。

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The Strawberry Statement (English Edition)
The Strawberry Statement (English Edition)

この記事へのコメント

2019年07月31日 09:28
ごみつさん、こんにちは。
タイトルから、ブラッドピットの「リバー・ランズ・スルー・イット」や、レイモンド・カーヴァーの「夜になると鮭は」を思い出したりしましたが
きっとそのどちらとも違うんでしょうね。^^

アメリカではずっと海の近くに住んでいたので、海釣りが趣味の方は何人かいらっしゃいましたが、川釣りはまたまったく違う魅力があるんだろうなーと思います。

いい出会いがあってよかったですね☆
ごみつ
2019年08月01日 00:56
セレンディピティ さん

こんばんは。
どの国でも、男性は釣りが好きですよね~。
海釣りもですが、川釣りも、本当に人気ありますよね。

この本、別に釣りの本ではないんですよね。「アメリカの鱒釣り」が擬人化されて毎回登場してくるっていうか、良くわかんないだろうと思いますが、(;^ω^)こんな作品、なかなかないので、ザっと流し読みしてみるのも一興かと思います。

「何、これ、意味わかんない。イミフ。」と思ったら止めちゃって良いかと・・。(笑)