新聞記者

2019年/日本 (監)藤井道人
(演)シム・ウンギョン 松坂桃李 本田翼 西田尚美 高橋和也 田中哲司 北村有起哉
☆☆☆★★★

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http://shimbunkisha.jp/

東京新聞の現役記者である望月衣塑子氏のベストセラーノンフィクションを原案とした映像化作品。日本映画で、これだけ真摯なポリティカルサスペンス映画を見るのは、本当に久しぶりな気がしました。

日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育った東都新聞社会部の若手女性記者の吉岡エリカは、記者会見で歯に衣着せぬ質問を繰り返し、記者クラブや社内でも異端児扱いされていた。

そんなある日、社会部に大学新設計画に関する極秘情報がファックスされてくる。上司から調査を任された吉岡は調べを進め、やがて内閣府の神崎という人物が浮上してくるが、彼は自殺をしてしまう。

神崎の死に疑問を抱いた吉岡は、同じく元上司であった神崎の死に疑問を持つ内閣情報調査室(内調)の若手エリート、杉原拓海と巡り会い、ともに調査を進めていくが・・・。

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公文書の改竄、関与した官僚の自殺、首相の御用ジャーナリストによるレイプ事件のもみ消し疑惑、次々と浮かぶあがってくる「首相のお友達案件」。そして、それらは滞りなく事が運ぶ様に、内調により徹底的に操作されている。

「国が混乱に陥る事がなく、現政権を存続させる。それが国民のためでもある」との大義名分を掲げながら。

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多くの部分がフィクションや脚色でしょうが、どこかで聞いたことのある事件やスキャンダルばかりが登場し、日本はこれで良いのか・・、正義はどこにあるのか、権力のやりたい放題にさせてよいのか・・等と憤る反面、日本人はこの情報操作によって、安定を保っていられるのだろう・・という諦めの気持ちも、心の隙間に忍び込みます。

吉岡の所属する東都新聞とは、東京新聞の事だろうと思うのですが、新設大学に関する恐ろしい情報をすっぱ抜き、それが編集長によってGoサインが出て、印刷され、梱包され、読者に届けられるまでの映像を見ていると、久しぶりで紙の新聞を購読したい・・という気持ちにさせられました。東京新聞、購読者がこの映画のおかげで増えるんじゃないですかね?

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もしも、この映画の記者達の様な人がいるならば、もう一度新聞を、ジャーナリズムというものを信じてみたいという気持ちにさせられたのには我ながらビックリしました。

主役の2人は本当に見事でした。松坂桃李も良かったですが、とにかく吉岡エリカを演じた韓国の女優さん、シム・ウンギョンがめちゃくちゃ良かったです。日本語もうまかったけど、英語の発音も良くて、素晴らしい役者さんだと思いました。

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ちょっと日本版「ペンタゴン・ペーパーズ」の趣きもありお勧めです。社会派ドラマがお好きな方は是非。私は原作も読んでみようと思ってます。

新聞記者 (角川新書)
新聞記者 (角川新書)

この記事へのコメント

2019年07月07日 01:52
ごみつさん、こんばんは。
「新聞記者」早速ご覧になられたのですね。
望月さんが書かれた本は、出た時にすぐに読みました。原作の方は、どちらかというと彼女の自伝的な内容と、ジャーナリストとしての姿勢が中心でしたが、あくまで原案ということなのでしょうね。
今の腐りきった日本のマスコミ界において、掃き溜めにツルのような存在の彼女ですが、彼女を支え守る東京新聞もすばらしいです。
映画はずいぶん踏み込んだ内容のようですが、日本でこういう映画が作られること自体がすごいことですね。私も落ち着いたら是非見たいです。
ごみつ
2019年07月07日 19:36
セレンディピティ さん 

こんばんは。
セレンさんは、原作をもう読まれたんですね!
この原作、今、とても良く売れています。私も早く読みたいな。

映画はまったくのフィクションなので、原作を原案とした作品なんだと思います。

振り返ってみると、日本でこういう政治ネタの作品って最近はほとんど作られていないので、日本映画としては、かなりの勇気ある作品だと思いました。

可能なら劇場で、無理そうならDVDになったら是非ご覧になってみて下さいね。お勧めです。('ω')ノ
lingmu
2019年07月07日 22:06
ごみつ様

この映画の宣伝を見て、シム・ウンギョンが出ているのにびっくりしました。
「サニー 永遠の仲間たち」や「あやしい彼女」での軽妙でコミカルな役が印象的だったので、日本映画の、それもこのような社会派的なドラマに出ることがとても意外だったからです。それに、日本語はどうなのかなと....

でも、日本語も上手で、とてもよかったとのこと。
私も是非見てみたいです。
ごみつ
2019年07月07日 22:47
Lingmu 様

こんばんは!
コメント有難うございます。

最近の日本映画で、ここまで問題提起している政治ドラマは滅多にないと思うので、お勧めですよ!
日本の社会のおかしさも再確認出来た感じです。

そうそう、シム・ウンギョンさんのキャスティングは意外ですよね。ず~っとアメリカに住んでいたので、日本語はあまりうまくない・・っていう設定になってましたが、それでも十分の上手かったです。
これは相当、語学の特訓したんじゃないでしょうか。是非、そのあたりもチェックしてみて下さい。

そもそも、反自民党政府みたいな内容なので、日本の女優さんには大きな圧力がかかったらしいです。
それで、外国人である彼女が抜擢されたんじゃないかしら。

人気スターなのにこの作品に出た松坂桃李は凄い!ってネットでは書かれてますよ。

ノルウェーまだ~む
2019年07月14日 00:28
ごみつさん☆
ちょうどタイムリーにこの映画を選挙の前に絶対に観て!と、友人からラインが送られてきたところでした。
選挙の前までには時間が無いので観に行けないですが、この映画を見た後では、どちらの政権を推したくなるのでしょう?
忙しさにかまけていい加減な気持ちで参加しようとしてましたけど、改めてしっかり考えなくては…と思いました~
ごみつ
2019年07月14日 00:43
ノルウェーまだ~む 様

こんばんは!

選挙の後でも、もし時間がとれたらご覧になって見て~。
映画として、とても良い出来の作品だし、こういう政治ドラマって、最近の日本ではつくられないので、貴重ですよ。

私もそれほど政治ウォッチャーじゃないので、選挙のたびに迷っている無党派層なのですが、この映画そのものは完全にフィクションなので、左右される感じはないかな~。

何が真実で、何がウソなのか、一般市民には判断できる材料がないんですよね。

参議院選挙の立候補者の広報がきてたので、ジックリと考えてみます。
Tae
2019年07月29日 12:27
ごみつさん、こんにちは!
拙ブログへのコメントありがとうございました。

なるほど、シム・ウンギョンの起用にはそんな事情があったのですね。
感情を爆発させる感じとか、記者仲間のあいだでちょっと浮いてしまう感じとか、彼女ならではの味があって、とてもよかったと思います。

実をいうと、朝日新聞の映画評の絶賛ぶりに不信をつのらせつつ観にいったのですが、まずまず楽しめました。

いや、輪転機が回ると、なぜかぐっときちゃうんですよね。

個人的には「絶賛」ってほどではありませんでしたが、新鮮味があったのはたしか。この手の映画はもっといろいろあって然るべきと思いました。
ごみつ
2019年07月30日 01:27
Tae さん

こんばんは。
コメント有難うございます。

そうそう!確かに輪転機萌えが、この映画の評価をちょっと高めた感じは否めないかも!(笑)
「ペンタゴン・ペーパーズ」の時と比べると、輪転機も進化しましたが、あれがまわりはじめると興奮しますね。( `ー´)ノ

日本映画は、このところず~っと現代をテーマにしたポリティカルなメジャー作品をつくってないので、この映画はホント新鮮でしたよね。(^O^)
主役の2人も良かったです。

もっともっとこういう作品が見たいし、作られるべきですよね。