バリー・リンドン

Barry Lyndon
1975年/イギリス (監)スタンリー・キューブリック
(演)ライアン・オニール マリサ・ベレンソン パトリック・マギー ハーディー・クリューガー スティーヴン・バーコフ マーレイ・メルヴィン レナード・ロシター アンドレ・モレル
☆☆☆☆

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スタンリー・キューブリック作品は、どれを見ても尋常ならざる出来栄えで、残された作品は少ないながらも、名匠、巨匠の名に恥じぬ監督だと思う。

彼の作品はほとんど見ていますが、この映画は舞台がヨーロッパ中世という事もあり、公開当時興味がわかずそのまま未見だった作品です。それがBSでテレビ放映されたので、この機会に・・と思い鑑賞。

一言で表すならば、「見事」としか形容の仕様がない作品でした。久しぶりで、心の底から堪能。だから、やっぱり、映画にしろ何にせよ、一流作家の作品っていうのは見なくちゃいかんのです。

これは好み云々の問題ではなく、本当に素晴らしい映画作品とはどういうものなのかを、自分の中に吸収し、他の映画を見る時の鑑賞方法の糧として蓄えておかないとならないものなんだ・・と個人的には思っています。

これ、原作は「虚栄の市」で有名なサッカレーの小説。2部構成になっていて、第1部は「レドモンド・バリーが如何様にしてバリー・リンドンの暮しと称号をわがものとするに至ったか」

主人公のアイルランド人の青年レドモンドは、初恋の女性の従姉の結婚相手に、決闘を申し込み、相手を殺してしまう。当時、決闘は法律で禁じられていたため、レドモンドは故郷を離れるが、追剥にあい無一文となってしまう。

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仕方なく七年戦争のさなかイングランド軍に入隊しヨーロッパへ送りこまれる。

しかし戦争がいやになって脱走。敵のプロシア軍につかまり死刑を免除してもらうかわりにプロシア軍に入隊させられる。そこで偶然、上官を助けて気に入られた彼はスパイとして、上流社会に顔をきましている詐欺師のド・バリバリーのもとへ従僕として送り込まれるが、バリバリーがアイルランド人だったため彼とともに出国、詐欺師の相棒となる。

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上流階級相手の詐欺を繰り返す中、レドモンドは美しいリンドン伯爵夫人と出会う。彼女の資産を狙ったレドモンドは、伯爵夫人の病身の夫が死ぬと、彼女と結婚し、バリー・リンドンとなり、2人のあいだに息子もうまれ、レドモンドの成功はここで頂点に達する・・。

第2部は「バリー・リンドンの身にふりかかりし不幸と災難の数々」では、この後、彼がいかにして挫折をしていくかが語られていきます。

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この作品、いくらでも主人公の感情あふれる作品に仕上げられると思うのですが、ナレーションとともに物語は淡々とすすみ、主役のレドモンドはあまり感情も表には出さない。この、何とも言えない、他人事感が凄く良かったんです。

公開当時、照明を使わずに、蝋燭の明かりだけで高感度カメラにて撮影した映像が話題になりました。そのこだわりも凄かったです。是非、多くの方に見てもらいたいな。

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ライアン・オニールの無表情ぶりも良かったし、彼、ちょっとトム・クルーズっぽい感じもありました。

これ、テーマ曲として流れるヘンデルの「サラバンド」組曲第11番ニ短調HWV437

Georg Friedrich Haendel - Sarabande • Main Title (Barry Lyndon Soundtrack)

https://www.youtube.com/watch?v=AWMR79IMQ-M

キューブリック、やっぱ凄いです。

この記事へのコメント

kinkacho
2019年08月06日 08:12
ごみつさん、こんにちは。
この映画、映画館で見ました。
公開当時に気になってたけど、子供過ぎて映画館に行けなくて、名画座でかな?
蝋燭の明かりの映像がやたらとリアルできれいでした。
コスチュームプレイが昔から好きでした。
ごみつ
2019年08月07日 00:11
Kinkacho さん

こんばんは!
わ~、Kinkachoさん、劇場でご覧になってるんですね~。良いな~。
この映画、調度品とか、衣装とか、当時の風習だとか、かなり凝ってるのが凄くて、映像見てるだけで堪能出来ました。

若い頃、あんまり歴史劇に興味がなかったんですよね・・。なのでこれもスルーしちゃってて、勿体ない事をしました。

あとね、ライアン・オニールが、どことなくトム・クルーズっぽいんですよ。そのあたりも面白かったです。!(^^)!
dumbo
2019年08月08日 21:59
ごみつさん、こんばんは🌆
キューブリックファンには、バリーリンドンはあまり一般的に好評ではないですが、ごみつさんは高評価ですね!
細部まで徹底した映像は本当に彼の奇才を感じますよね。
私はなぜキューブリックはこのストーリーを撮りたかったのか興味があります。原作はあまり売れなかった短編の一つだったそうですが、彼には刺さったのでしょう。
特にヒーロー性のない男の人生をよくあそこまでデカダンスに描いたものです。
私には決闘の文化を知る機会になった作品でした。
当時プライドを踏みにじられた男は決闘を申し込み、命をかけた。あの時代はフランスでは決闘がはやり、亡くなる人が絶えなくて、無駄な決闘はやめようというポスターまであったそうです。
とにかく映画を見た後にすっきりしないざらついた感覚と、その割には後に印象に残る作品。キューブリックならでは、かな。
ごみつ
2019年08月09日 00:42
Dumbo さん

こんばんは!
コメント入れられる様になったのですね!良かった良かった。

「バリー・リンドン」良かったよ~。これキューブリックファンには不評なの?
私が見た範囲では、彼の作品で不満なのは1本もない感じ。
相当たたかれた「ロリータ」が未見なので、早く見てみたいな。

実はキューブリックはナポレオンの映画を撮りたかったらしんだけど、予算とかあれこれでぽしゃって、この作品にした・・っていうのをどこかで読んだ事ありますよ。
ヨーロッパの中世を描きたかったんでしょうね。

西欧の決闘の文化、興味深いですよね。決闘ではあたら若い命が失われていて、数学者のガロアもその一人で、前に本で読みました。面白いので、ヒマな時にでもwikiで読んでみて~。('ω')ノ