三隈研次監督「剣」三部作

映画評論家の町山智浩さんと、映画史・時代劇研究科の春日太一さんの著作、「町山智浩・春日太一の日本映画講義~時代劇編~」を読みました。

色々な時代劇のお話を対談形式でされていて、とても面白かったのですが、その中で語られていた三隈研次監督、市川雷蔵主演の「剣」三部作にとても興味をひかれたので、今回DVDレンタルで3本とも鑑賞しました。

「剣」
1964年/日本 (監)三隈研次
(演)市川雷蔵 藤由紀子 川津祐介 稲葉義男
☆☆☆★★★

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三島由紀夫原作。
純粋に剣の世界に打ちこんでいた、東和大学剣道部主将国分次郎は、後輩たちの憧れであり目標でった。

国分の同級生で三段の賀川は、剣を愛しながらも、私生活では遊び人。いちぶの隙もない国分の姿にいら立ちを覚え、彼を汚してやろうと女友達に誘惑させたりする。

しかしそれでも国分はなびかない。海辺での夏の合宿で、キャプテンの国分は皆に決して海水浴にはいかない様にとの規則をつくり、厳しい練習に励む。しかし、国分が外出をしたすきに、賀川は皆をそそのかし、海へ泳ぎに行ってしまう。

それを知った国分は、自害をしてしまうのだった・・。

↓学生の時、剣道部だったので、練習シーンがとても懐かしかったです。

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これね~、もうね、国分は三島由紀夫そのものなんですよ。何で皆が海に遊びに行っただけで、死んじゃうの!?って思うでしょ!?でも、それこそが、三島由紀夫なんですよね。

三島由紀夫当人もこの映画、大好きだったそうですが、1964年が舞台なのに、変な映画です。でも、三島由紀夫の最後を知っているだけに、ちょっと胸をつかれる感じでした。

三部作の中では唯一の現代劇で、私はこれが一番気に入りました。傑作だと思います。


「斬る」
1962年/日本 (監)三隈研次
(演)市川雷蔵 藤村志保 渚まゆみ 天知茂 稲葉義男
☆☆☆★★

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柴田錬三郎原作。
小諸藩士の高倉信右衛門の養子である高倉信吾は、養父の許しを得三年間の武者修行へ出掛ける。三絃の構えという技を習得して帰った信吾は、水戸の剣客庄司嘉兵衛を藩主の前で打ち破り名をあげる。

数日後、養父の高倉信右衛門と義理の妹の芳尾が隣家の池辺親子に斬殺された。池辺親子を討ち果たした彼は、自らの出生の秘密を知る。

その後江戸へでた信吾はその剣の腕をかわれ、幕府大目付松平大炊頭にボディガードとして仕える事になる。しかし、大炊頭は暗殺されてしまい、その亡骸のかたわらで、信吾も切腹の準備をするのだった・・。

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これは、「武士道残酷物語」みたいな作品で、良い事がまったく起こりません。藩に仕える、幕府に仕える人間たちの身に起こる様々な試練や残酷な運命を描いた作品。

決して気持ちの張れる作品ではないですが、市川雷蔵の演技で悲劇を魅せていく作品でした。


「剣鬼」
1965年/日本 (監)三隈研次
(演)市川雷蔵 姿美千子 佐藤慶 五味龍太郎 内田朝雄 島田竜三 戸浦六宏
☆☆☆★★

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これも柴田錬三郎原作。
信州一万三千石、海野式部少輔正信の藩中に、冷笑蔑視の中で育った無足の斑平という若者がいた。

藩主正信の母親であるまきの方の侍女であったキンは、まきの方が亡くなる時に愛犬の牡犬を託される。その後、男子禁制であるはずの奥向きで、キンは妊娠し息子を産み落とし亡くなり、牡犬も後を追う様に亡くなる。

生まれた息子の斑平は、犬とのあいだに出来た子供だとして蔑まれるが、心ある老人に育てられる。花造りに特異な才能を発揮する様になった斑平は、その腕を買われて庭師として登城を許される様になった。その後、俊足を買われて、馬乗下役となる。そんな中、見知らぬ老人から居合術を伝授され、剣にとりつかれる様になっていく。

そんな中、その居合術の腕を買われた斑平は藩の存続を脅かすもの達を処分していく暗殺者にされてしまう。恨みをかった斑平は、殺された者の多くの遺族たち30人に仇討を仕掛けられるのだった・・。

これも「武士道残酷物語」なのですが、斑平が本当に犬と人間との間の子供なのか、そうでないのかがわからず、ちょっとした奇談っぽい感じもありました。

斑平は本当は花を愛する優しい男だったのですが、それが場内のいざこざに巻き込まれ、やがては妖剣にとりつかれる様になっていく。

ラストの30人対1人の斬りあいのシーンは、美しい花園の中でおこなわれ、印象に残るシーンになっていました。

花園の中での決闘のシーンは、「ウルトラセブン」のギエロン星獣のシーンで真似されたそうですよ。

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「剣」三部作、良かったです。堪能できました。

10年くらい前に、市川雷蔵にすごくはまっていた事があって、当時見られる限りのDVDは見たのですが、このところほぼ全ての作品がDVDで復刻されている様で、先月見た「昨日消えた男」もその一本です。これから、見てない作品をボチボチと見て行こうと思ってます。

良いですよ~、市川雷蔵は!

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「町山智浩・春日太一の日本映画講義~時代劇編~」
河出新書
☆☆☆★★★

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この本、時代劇映画の好きな方にはお勧めですよ!


咲き定まりて 市川雷蔵を旅する
咲き定まりて 市川雷蔵を旅する

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この記事へのコメント

2019年09月28日 23:25
ごみつさん☆
めっちゃ渋い・・・

それにしても海に皆が遊びに行っただけで死んじゃうなんて~~
昔の小説や映画って、なんかとんでもない事がおきたりどうでもよいことに深く悩んだりしますよね(笑)
そう言う視点で見るのもまた面白いかも・・・

ごみつさんのご趣味がなかなか興味深いです!
ごみつ
2019年09月29日 01:54
ノルウェーまだ~む 様

こんばんは!
コメント有難うございます。

昔の日本映画、面白いですよ。
現代ものだと昔の日本の風景や、風俗なんかを見るだけでも楽しいです。

私、若い頃、かなりのアメリカかぶれだったんですが、同時に時代劇が大好きで、友達からの誘いを「水戸黄門の再放送があるから」みたいな理由でよく断ってました。(爆)

好きなもの3本柱は、英米の作品、時代物、特撮ものです。(笑)
皆さん、やっぱりそういう核となる好きなものってありますよね。(*'ω'*)
2019年09月30日 23:37
ごみつさん、こんばんは。
「剣」は三島由紀夫原作なのですね。
ストーリーをうかがって、私も国分は三島そのものと思いました!
映画も気になりますが、原作も是非読んでみたいです。

DVDの表紙を見て「え?三島本人?」と思いましたもの。
市川雷蔵さんってビッグネームながら
実はどんなお姿なのか存じ上げなかったのですが
三島にそっくりなんですね!
というより、そういう風に演じていらっしゃるのでしょうね。
「斬る」の凛々しいお姿もすてきです☆
ごみつ
2019年10月01日 03:02
セレンディピティ さん

こんばんは。コメント有難うございます!

「剣」は、時代は60年代なのに、一人で武士道をつらぬこうとしている若者の物語で、ホント、まんま三島由紀夫です。私も原作読んでみたくなりました。

市川雷蔵は歌舞伎出身なので、基本的には時代劇スターなのですが、ポツポツと現代劇もあります。「金閣寺」の映画化作品、「炎上」も市川雷蔵が主演なので、機会があったら是非是非。

彼はガンで30代で亡くなってしまってるのですが、大映の看板スターだったので、作品はかなりの数あるんですよね。私も未見の作品、ちょっとづつ見て行こうと思ってます。(*'ω'*)