トム・ソーヤーの冒険 / ハックルベリ・フィンの冒険

アマゾンプライムリーディングで「トム・ソーヤの冒険」が無料タイトルになっていたのでキンドルで読んでみました。実は、今まで児童向けも含めて読んだ事がなかったのです。

「トム・ソーヤーの冒険」
The Adventures Of Tom Sawyer
マーク・トウェイン著 土屋京子(訳)光文社古典新訳文庫 電子書籍
☆☆☆★★★

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トムは悪さと遊びの天才だ。言いつけの塀塗りをみんながうらやむ仕事に変えたり、退屈な教会の説教をクワガタ一匹で忍び笑いの場にしたり、家出して親友のハックたちと海賊になってみたり。だがある時、偶然に殺人現場を目撃してしまい……。わんぱく少年トムを通じて描かれる、自由を求める心と冒険への憧れ、そして世界を見る無垢な目。アメリカで最も愛される作家の半自伝的小説を、少年たちの声が聞こえてくる新訳で。(BOOKデータベースより)

少年向け文学作品としては、これちょっと、最高傑作なんじゃないですかね。少年トムの姿を、遥か昔に過ぎ去った子供時代の感覚を思い出させてくれます。トムがおこす悪ふざけの数々、こういう男の子って、クラスに必ず一人や二人いたな~って感じです。

それとお話がとにかく面白いので、大人でも楽しんで読めます。ただ、ひとつ、気を付けないとならないのは、この作品が書かれたのが1876年で、アメリカ南部が舞台である事です。なので、とにもかくにも黒人差別が物凄いのですが、一つの時代を描き出した作品として貴重です。

初版のトム・ソーヤーのイラスト

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それと子供向けにしてはやたらと怖いシーンが多いのも特徴。殺人事件もあるし、今に比べると遥かに暴力的な社会で人々は生きていたんだな~って驚かされます。今の子供向け小説にこんなシーンは絶対に描かれないんじゃないでしょうか。

恐らく、子供向けに書き直されたものは、差別用語は削除、その他の描写もオブラートに包んだ表現になっていると思うので、オリジナル版をあらためて読み直してみるのも良いと思います。

「トム・ソーヤ」が面白かったので、ハックルベリ・フィンも有料で読んでみました。こちらは、光文社の電子書籍が上下巻で高かったので、別の版を読みました。

「ハックルベリ・フィンの冒険」
The Adventures Of Huckleberry Finn
マーク・トウェイン著 刈田元司(訳) グーテンベルク21 電子書籍
☆☆☆★★★

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自由と開放の地を求め、相棒の黒人ジムとミシシッピ川を下る筏の旅に出るハックルベリ。様々な人種や身分の人々との触れ合いを通して、人間として本当に大切なもの、かけがえのない真実を見出してゆく。(BOOKデータベースより)

ハックルベリ・フィンは「トム・ソーヤーの冒険」の中に登場する、トムの相棒であり親友でもある、浮浪児です。実は子育て放棄しているDV父がいるのですが、この父親は亡くなり、ハックは天涯孤独となります。

トム・ソーヤーの冒険のラストで、トムとハックは大金持ちになり、ハックにも面倒を見てくれる人が出来たのですが、自由を愛するハックは窮屈な生活から逃げ出し、黒人奴隷のジムも自由にさせてあげとうと2人で逃亡をはかります。

ミシシッピ川を筏で下りながら、途中様々な人々や事件に出くわすのですが、ハックの物語は、「トム・ソーヤー」とは大きく異なります。読むのも難しいし、これは作者も言っている様に、大人向けに書かれた作品ですよね。

ハックには教養がまったくないのですが、自分自身で信じている生き方、道徳心みたいなものがあって、決してずるい事はしないし、そういう面から見るととても不器用な生き方をしている子供なんですよね。

初版のハックルベリ・フィン

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頭がよくていつでも器用に立ち回れるトムは、恐らく、生長したら一角の人物になるだろうと思われるけど、ハックは・・。放浪を続けて、カウボーイにでもなるかもしれない、もしくは遠からず路上で命を落とすかもしれない・・。

トムもハックも両方好きだけれど、トムには家族もいるし、これからの心配はないんですよ。だから、私はハックの方により、シンパシーを感じるかな~。

マーク・トウェインは、この物語の終わらせ方が決まらず長い間放置してしまったそうで、トムを再登場させる事で物語の落ちをつけています。

ヘミングウェイをはじめ多くの人は、このラストが気に入らない様ですが、私はトム・ソーヤにまた会えて嬉しかった。それに、ハックはトムを神のごとく尊敬して何でも従うので、物語を丸くおさめるためにはトムの存在が必要だったんでしょうね。ファンサービスにもなるし。

次は「アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー」が読みたいな。多分、これ、タイムトラベルものの最初期の作品なんですよね。面白そう。


トウェイン完訳コレクション  アーサー王宮廷のヤンキー (角川文庫)
トウェイン完訳コレクション アーサー王宮廷のヤンキー (角川文庫)


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この記事へのコメント

ヌマンタ
2019年10月27日 12:12
物語としての面白さなら、断然トムのほうですね。しかし、アメリカ初の純文学との看板は、ハックに付いています。邪気のないハックが無意識にみせる黒人差別と、アメリカ社会の根深い深層をハックの目を通してさらけ出す。純粋な子供の目線を借りることで、さらけ出された自由の国アメリカの矛盾。やはり大人向けの物語なのだと思います。
kinkacho
2019年10月27日 19:18
ごみつさん、こんにちは。
残酷な時代に生きていたとは思いますが、現代があまりにも過保護過ぎるんですよ。
何か事件があったらカウンセラー派遣とかそれは過保護。なのに一方では虐待を見逃してるし...今の日本っておかしいと思います。臭いものには蓋的な風潮???
世の中が残酷であることを子供の頃に学ばないと思いやりも育たないと思います。
ごみつ
2019年10月27日 21:32
ヌマンタ さん

こんばんは!
ヌマンタさんも前にこの2本の記事つくられてましたよね。あの記事が心の隅にあったりして、今回読んでみた感じもあります。

ヌマンタさんがおっしゃてる様に、作品としての完成度、面白さでは「トム」の方が上ですよね。少年向け作品としてパーフェクトな感じがあります。

ハックは、どことなく世渡りがうまくないので、気になっちゃうのはハックの方なんですけどね。
「ハックルベリー」は終盤、トムの登場でハチャメチャになっちゃうのが笑えました。(*‘∀‘)
ごみつ
2019年10月27日 21:38
Kinkacho さん

こんばんは。
現代はもうどうしようもないくらい、過保護ですよね・・。

私達が子供の頃って、まわりはトラウマネタの宝庫だったし、私も何度か主張しているのですが(笑)トラウマはPTSDにならないレベルなら、成長過程で絶対に必要なものだと思ってます。

今の児童書って、ちょっとアート寄りな作品を除けば、何だかアニメ絵が多いんですよね。そうじゃないと売れないのでしょうが、ちょっとゲンナリする時のあります。

アメリカは銃社会なので、トムでもハックでも、悪い奴は銃殺されてOKみたいな感じで、19世紀ってそんな時代なんだな~と痛感しました。
だぶるえんだー
2019年11月03日 01:52
   懐かしい作品です。わたしも読み返しましょうか。トムの名字、おそらく先祖の職業に由来するものでしょう(そういえば、わたしは木挽という名字の日本人に会ったことがあります)。英語圏には職業系の名字が多いようですね。
   人種差別、当時は熾烈だったのでしょう。いまも残っていますが。40年ほど前の映画で、黒人の警察官がコーヒーを勧められ
「ブラック?(に、しますか?)」
と問われ
「生まれた時から」
と澄まして答えるくだりがありました。これぞまさしくブラックジョーク。
ごみつ
2019年11月03日 03:39
だぶるえんだー 様

こんばんは!

「トム」も「ハックルベリー」も、何と、今回初めて読んだのですが、とても面白かったです。

そうそう、欧米圏も名字は職業の名前が多いですよね。テイラー、スミス、フィッシャーetc, たくさんありますよね。

お時間のある時にでも読み直されてみると新しい、発見があるかもですね。

ところご紹介のブラックジョーク、凄く面白い!です。何の映画だろう~?(*‘∀‘)