汚れちまった悲しみに ゆきてかへらぬ

中原中也著 小学館文庫
☆☆☆☆

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十代で文学に目覚めてから三十歳の若さで世を去るまで、常に「詩人」として生きた中原中也。彼の残した数々の詩は、溢れるような抒情味と独自のリズムを持ち、現在も多くの人に読み継がれている。
本書では、共に“歌”と題され、中也自身のなかにある深い悲しみと傷ついた魂の告白がうたわれた二つの詩集「山羊の歌」「在りし日の歌」の全篇を収録。〈新撰クラシックス〉シリーズ第五作。(文庫解説より)

若い頃は「詩」が苦手で、読んでる作品の中に出てきてもすっとばしたりしていたのですが、最近、何となく「詩」に心が寄り添える様になってきました。

中原中也の作品も「汚れちまった悲しみに」は有名なので、知ってましたが、きちんと作品を鑑賞してみたのは今回が初めてでした。

昔、リルケの「マルテの手記」を読んだ時の感覚が甦ってくる様な感じがしました。

私は自分ががさつな事もあってか、不用意に触ったら砕けてしまいそうなガラスの様な繊細さを持った作品が大好きなのですが、中也の詩にはそんな事を感じさせる儚さがつまっていて、心が苦しくなる様でした。

特に、親友の小林秀雄に同性した女性を奪われたいきさつは、結構きついです。小林秀雄はその女性をすぐに捨ててしまうけれど、中也にとっては彼女(長谷川泰子)は神聖なマドンナだった。

その後、遠縁の女性と結婚をし、一児をもうけ、その子供を溺愛するも、子供は2歳で病死してしまう。彼は精神を病み、東京を離れ故郷へ戻るもほどなく亡くなります。

子供が亡くなった時に読んだ

「愛するものが死んだ時には、自殺しなけあなりません」(春日狂想)

(文庫247ページから一部引用させていただきました。)

もフレーズを聞いた事のある有名な詩ですが、彼の人生とともに、詩を鑑賞していくと、その痛ましさと、ただ一つ、「詩」だけを心の拠り所にしている姿が胸に迫ってきます。

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ところで、今回、ちょっと驚いたのは、海援隊の歌「思えば遠くへきたもんだ」って、中原中也の詩の中の言葉だったのね。詩集「在りし日の歌」に収録された「頑是ない歌」が出典。

思へば遠くへ来たもんだ
十二の冬のあの夕べ
港の空に鳴り響いた
汽笛の湯気は今いずこ

(文庫192ページから一部引用させていただきました。)

また少しづつ詩集を読んで行こうと思ってます。次はランボーにしようかな。

地獄の季節 (岩波文庫)
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この記事へのコメント

2019年10月17日 20:07
ごみつさん☆
ずっと更新なくて・・・と思ったら一気にUPなさいましたね~?

実は娘が文壇クラスタでしかも小林秀雄の大ファンなのです。
しかも川端康成との対談映像とか聞いたりするんですけど、特に中原中也と関係をん☆
ずっと更新なくて・・・と思ったら一気にUPなさいましたね~?

実は娘が文壇クラスタでしかも小林秀雄の大ファンなのです。
川端康成との対談映像とか聞いたりするんですけど(笑)
特に中原中也とのエピソードを長谷川康子や大岡正平など周りを取り巻いていた人たちの書いた本からあぶり出していったりして、なかなか興味深いのです。
そういう人間模様を知ってから作品を読むと、より理解が深まるような気がしますね。私も中也の詩を泣きながら読むようになりましたょ☆
ごみつ
2019年10月17日 21:42
ノルウェーまだ~む 様

こちらにもコメント有難うございます。

仕事もですが、ちょっとプライベートであれこれあったり、台風がきたりと、すっかり更新が遅くなってしまいました。(;'∀')
昨日、今日と2連休だったので、一気に作ってみました。

娘さんは文学クラスタなんですね!書店員としては嬉しい限りです。
小林秀雄のファンとは素晴らしいですね!

長谷川泰子の事に関しては、それこそ男女の間の事だから、これは誰が悪人っていうワケでもないんですよね。仕方ないんですよね。それでもこういう事が、あの繊細な中也に起きてしまった事が悲劇で、せつなくなります。

でも戦争がはじまる前に亡くなって、良かったな・・っていう気もしています。(:_;)