木曜島の夜会 ~ 2020年 ごみつ日記 4 ~
先日の24日(金)をもって、私の職場の洋書売り場がなくなりました。東京駅前の再開発にともない、うちの職場自体が一度なくなる予定なのですが、それに先立って、売り場縮小のために先駆けてなくなった感じです。
新卒で洋書担当になってから今年までに37年間、ず~と洋書を仕事にしてきたのでさびしい気持ちはぬぐえませんが、そもそも定年まであとわずか。ちょっと早めに終りが来たっていう感じです。色々な事におわかれをしなくてはならない年齢になったんだな~と思います。
それでも書籍の仕事はこれからも続きます。コロナ禍で大変な中ですが、明日からもがんばらなくては・・という気持ちです。
さて、そんな人生の転換期の中で読んだ1冊。
「木曜島の夜会」

司馬遼太郎著 文藝春秋社 電子書籍
☆☆☆★★★
kindleの無料タイトルだったので読んでみました。
木曜島とは、オーストラリアとニューギニア島との間、トレス海峡にある小さな島。

この島の周辺海域は真珠貝の生息地で、これを採取する潜水夫たちの基地があったのです。目的は真珠ではなく、プラスチックが発明されるまではボタンの原料となっていた貝殻の採取。
明治から第二次世界大戦前までは、日本人のダイバーが大勢居住していたそうなんですよね。深い海まで潜るダイバーの仕事は非常に過酷で、潜水病(鮫による被害もあった)で多くの命が失われたそうなのですが、日本人は他の国の人間よりも潜水能力に長けていて、ダイバーの多くが日本人だったそうです。
この作品は、司馬遼太郎が現地を訪れ、かつてここで仕事をしていた日本人、藤井富太郎氏の夜会に招待された時の様子を、歴史の話をからめながら綴った作品です。
左が藤井富太郎氏

こんな歴史があった事をはじめて知ったので、とても心に残りました。
この作品集には、他に幕末の人物に関する短編が3篇収録されています。
富永有隣についての作品「有隣は悪形にて」、「大友源太郎の生死」、小室信夫についての作品「小某覚書」の3篇で、こっちは読んでたら、またまた幕末が嫌いになってきました。

最後の真珠貝ダイバー藤井富太郎 Pearl Diver of the Tor res Strait Tomitaro Fujii - リンダ・マイリー, 青木 麻衣子, 松本 博之, 伊井 義人
新卒で洋書担当になってから今年までに37年間、ず~と洋書を仕事にしてきたのでさびしい気持ちはぬぐえませんが、そもそも定年まであとわずか。ちょっと早めに終りが来たっていう感じです。色々な事におわかれをしなくてはならない年齢になったんだな~と思います。
それでも書籍の仕事はこれからも続きます。コロナ禍で大変な中ですが、明日からもがんばらなくては・・という気持ちです。

さて、そんな人生の転換期の中で読んだ1冊。
「木曜島の夜会」

司馬遼太郎著 文藝春秋社 電子書籍
☆☆☆★★★
kindleの無料タイトルだったので読んでみました。
木曜島とは、オーストラリアとニューギニア島との間、トレス海峡にある小さな島。

この島の周辺海域は真珠貝の生息地で、これを採取する潜水夫たちの基地があったのです。目的は真珠ではなく、プラスチックが発明されるまではボタンの原料となっていた貝殻の採取。
明治から第二次世界大戦前までは、日本人のダイバーが大勢居住していたそうなんですよね。深い海まで潜るダイバーの仕事は非常に過酷で、潜水病(鮫による被害もあった)で多くの命が失われたそうなのですが、日本人は他の国の人間よりも潜水能力に長けていて、ダイバーの多くが日本人だったそうです。
この作品は、司馬遼太郎が現地を訪れ、かつてここで仕事をしていた日本人、藤井富太郎氏の夜会に招待された時の様子を、歴史の話をからめながら綴った作品です。
左が藤井富太郎氏

こんな歴史があった事をはじめて知ったので、とても心に残りました。
この作品集には、他に幕末の人物に関する短編が3篇収録されています。
富永有隣についての作品「有隣は悪形にて」、「大友源太郎の生死」、小室信夫についての作品「小某覚書」の3篇で、こっちは読んでたら、またまた幕末が嫌いになってきました。


最後の真珠貝ダイバー藤井富太郎 Pearl Diver of the Tor res Strait Tomitaro Fujii - リンダ・マイリー, 青木 麻衣子, 松本 博之, 伊井 義人
この記事へのコメント
ごみつさんの職場にも変化が訪れているのですね。
長らくお仕事をしてこられて、愛着もある職場がなくなるのは
ほんとうに残念で寂しいことと思います。
それにしても37年間ですか!大ベテランですね。
お疲れ様でした... と同時に新しい環境でのご活躍をお祈りいたします。
実は、高校の同級生で、大学卒業後にごみつさんと同じ職場に就職した
友人がいるのです。たしか洋書担当だったと思います。
結婚を機にすぐにやめてしまったのですが
ひょっとしてごみつさんとお仕事していた時期があったかも?
なんて不思議なご縁を感じていました。
木曜島の夜会、司馬遼太郎さんとしては異色の作品のようですね。
機会を見ていつか読んでみたいです。
ダイバーのお写真、なぜかグランブルーを思い出しました。
こうした状況で、警戒感ばかりが強まり、お客さんにも新たな出逢いを本に求める気持ちが切れてしまったかも知れませんね。
洋書は読むのが難しいですが、難しい最新の専門書ほど英語が多いと思いますが、文庫よりずっとか高くて、難しいとなると、ごみつさんのように蔵書に精通されている店員さんのアドバイスが光るわけで、知識も職人の域に達すれば、色々な事に生きて来る、と思います。
司馬さんの本は、確かに彼にしては、異彩のアプローチに溢れていそうですね。地中海と日本人とのゆかりは不明ですが、透き通るような青い海にあって、海洋の民との日本人の秘めたる遺伝子に通じるものがあったんじゃ無いですかね。
日本人は島国なのに、鎖国以来、海洋への道を切り開かなかったわけですが、近海を主とした漁業や、運搬、沿岸航行ぐらいはやっていましたから、いわゆる、「地中海のあまちゃん」ワールド版のような、近海の漁業や採集の仕事を専門とするのには、長けていたと思います。日本人は短身痩躯で魚のように身体がしなやかで、向いている仕事だったんでしょう。遠洋は欧米が、近海は日本人が、という領分意識の違いすら、鎖国を経た日本人には感じてしまいます。
お仕事ご苦労様でした。
長い事洋書の担当をなさっていらしたのですね?
職場が縮小されて洋書コーナーが無くなるのは寂しいですね・・・
でも最近の本離れの傾向と逆行して、案外書籍の需要は減ってないかと思います。私も外出自粛で、自分にしては読書をする機会が増えています。
やっぱり本っていいですよね♪
日本人が潜水の技術に長けていたとは知りませんでした!
こんばんは。
暖かいお言葉有難うございます。
え~~!セレンさんの同級生の方がうちの洋書売り場に!?私、1983年に今の職場に入社して、5年目で一度やめてるんですよね。私、一緒に仕事してるかしら?もしかして旧姓、HさんかWさんでは?
もしそうなら何だか遠いながらもご縁を感じますね。
そうそう、「木曜島」は司馬遼太郎さんの作品としてはけっこう意外なのかな?幕末より前の時代の作品がメインの印象がありますよね。
全く知らない事だったので面白かったです。
あの当時の潜水服、こんなの潜ってたのかとちょっと怖いくらいですね。
こんばんは。
今、時間短縮営業をしてるのですが、他の書店が休んでしまっているせいか、けっこうおきゃくさん、いらっしゃってますよ。
売り場にいると、こんなに本、売れてるのに、何で電車の中で読んでる人がほとんどいないのか不思議です。
洋書は長く担当してますが、私も自分では読み(め)ません。( ;∀;)
でも、普通~に英語の本読まれる方って結構いらっしゃるんですよね。あとは、語学系が人気かな。
「木曜島」ですが、この本、読んでると、日本人は海に潜るのが得意だし、どうやら好きな民族っぽいんですよね。海女さんなんかもいますしね。中国人とかは海が苦手で絶対に潜らないんですって。西洋人は潜るけど、得意な人が少ないらしく、日本人の一人勝ちだったとか。そのあたりも面白いな~って思いました。
こんばんは。暖かいお言葉有難うございます。
八重洲再開発で、数年以内にはうちの職場も一度取り壊しの予定なのです。で、一足先の縮小で洋書がなくなりました。
ちょっとさびしいですが、仕方ないですね~。
そうそう、売り場にいるとやっぱり書籍の需要は高いな~って感じますが、客層は50代以上が多いです。
若い人がもっと読んでくれる様になれば、売り上げも伸びるんでしょうが、今は電子書籍もあるし、なかなか難しいのかもしれません。
日本人が潜水得意とは、私もこの本ではじめて知りました。なかなか興味深かったです。
旧姓Wさんなので、ごみつさんがご存知の方と
同一人物かもしれませんね。
数年前に同窓会で久しぶりに会って
年賀状のやりとりが復活しました。^^
お元気そうでしたよ。
こんばんは。お返事有難うございます。
旧姓Wさん、もしも結婚してOさんになってるならもう間違いないと思います。(;・∀・)
何か不思議~~。
ビンゴです! 今は結婚してOさんです。(*_*)
ちなみに下の名前はCさんです。
こんなことがあるんですね~
それにしても何十年も前のことで
ほんの短い期間だったのに、よく覚えていらっしゃいましたね☆
こんばんは!
そうです!C・Oさんです。何だかビックリ!
彼女とは年賀状のやりとりだけはず~っと続いてるんですよ。
退職した方と年賀状続けてるのも、それほど人数いないので、(2~3人かな)それもビックリですね。
いやいや、嬉しいご縁ですね。(*'ω'*)