宮本武蔵 5部作

アマゾンプライムで鑑賞。内田吐夢監督のこの5部作は名作と名高いので、いずれ見ようと思っていたのですが、今月末で見放題終了との事で慌てて鑑賞。吉川英治の「宮本武蔵」の映画化版です。

これがね、もう実に実に良かったのです!一気に5作品鑑賞しました。

「宮本武蔵」
1961年/日本 (監)内田吐夢
(演)中村錦之助 入江若葉 浪花千栄子 木村功 丘さとみ 小暮美千代 三國連太郎 阿部九洲男 花沢徳衛 宮口精二
☆☆☆★★★

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慶長五年九月、関ヶ原の合戦で西軍豊臣方は惨敗に終った。作州宮本生れの郷士の伜、新免武蔵(たけぞう)と本位田又八は野望を抱いて西軍に加わったが傷ついて、もぐさ家のお甲とその養女朱実に救われる。

又八は許嫁のお通という女性がいたが、お甲の色香の虜となり、武蔵を残して彼女たちと姿をくらましてしまう。

又八は生きているという事を郷里の母親(お杉)に伝えるため、豊臣の残党狩りをかいくぐりながら宮本村へ戻った武蔵だったが、捕らえられてしまう・・。

沢庵和尚とお通の助けにより武蔵は難を逃れる。沢庵和尚は、姫路の白鷺城の天守閣にある開かずの間に、大量の書物とともに武蔵を幽閉する。武蔵は学問にうちこむ事を決心するのだった。

若い十代の武蔵の、野生の猛獣みたいなエネルギー溢れる感じが素晴らしかった。木に吊るされてからの、沢庵和尚とのやりとりも良い。オープニング作品として上出来です。


「宮本武蔵 般若坂の決斗」
1962年/日本 (監)内田吐夢
中村錦之助 入江若葉 浪花千栄子 木村功 丘さとみ 小暮美千代 三國連太郎 阿部九洲男 江原真二郎 河原崎長一郎 月形龍之介 黒川弥太郎 
☆☆☆★★★

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白鷺城にこもること三年、武蔵は名を宮本武蔵(むさし)と改め、沢庵に別れを告げて剣の旅に出た。城下町にて待ち続けていたお通は武蔵と再会するも、武蔵は彼女を置いて一人旅立ってしまう。

室町時代から続く名門の吉岡道場を打ち破るために、京都へ向かった武蔵。ちょうど道場主の吉岡清十郎が不在だったため、来年また訪れると書状を残し、奈良の宝蔵院へ腕試しに向かう。そこで高弟の阿巌を打ち破った武蔵だったが、帰りぎわに、老僧日観師より本当の「強さ」について諭され、武蔵は己の敗北を悟る。

その後、奈良の町を荒らしまわっていた野武士達を宝蔵院の荒法師たちとともに、成敗する話が続きます。法師たちは殺した野武士たちの体の上に、南無妙法蓮華経の題目を記した供養の小石を置くのですが、武蔵はそれを放り投げ、「殺しておいて、何の供養ぞ!」と叫ぶ。

勝負にこだわり、勝つ事だけにこだわり続ける武蔵の姿を追っていくのですが、彼はいつでも子供を旅の道連れにするんですよね。子供が大好きっていう設定になっていて、それが終盤の決斗で意味を持ってきます。

日観師を演じる、月形龍之介が良かったナ。

「宮本武蔵 二刀流開眼」
1963年/日本 (監)内田吐夢
(演)中村錦之助 入江若葉 浪花千栄子 木村功 丘さとみ 小暮美千代 阿部九洲男 江原真二郎 河原崎長一郎 平幹二朗 谷啓 高倉健
☆☆☆★★★

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武蔵は柳生石舟斎と剣を交えるために柳生の里へ向かうが、目通りがかなわない。高弟達と交流を深めようとしていた武蔵だったが、道連れの子供が柳生家の犬を殺してしまい、一触即発となる。この時、武蔵は小刀を抜き放って両刀の構えとなっていた。ここに武蔵の二刀流がうまれる。

柳生の里を離れ、約束していた吉岡道場の主清十郎との決斗のために武蔵は京都へ向かう。その頃、燕返しの秘剣を身につけた佐々木小次郎が吉岡道場の客となっていた。

清十郎の力量を知った佐々木小次郎は、武蔵との決斗をやめる様に忠告するが、吉岡道場の威信のために清十郎は決斗へ向かい、武蔵に敗れ去るのだった。

宮本武蔵って、本当に柳生の里へ行ったのかな。吉川英治の小説は、ほぼ脚色されたフィクションなので、どうなのかはよくわからないけど、真っ向からの勝負とはならないんですよね、ここは。

この作品から佐々木小次郎が登場。高倉健が演じてて、こんなに性格の悪い役を高倉健が演じるのも珍しいので楽しいですよ。

佐々木小次郎は「自分以外は全部ゴミ」くらいなキャラクターです。最高です。

 「宮本武蔵 一乗寺の決斗」
1964年/日本 (監)内田吐夢
(演)中村錦之助 入江若葉 浪花千栄子 江原真二郎 河原崎長一郎 平幹二朗 谷啓 高倉健 山形勲 東山千栄子 東野英治郎 千田是也 佐藤慶 
☆☆☆☆

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これは、この5部作の中の最高傑作であり、時代劇映画の中でも屈指の傑作といって良い作品でした。素晴らしかった。

吉岡清十郎を打ち破られた上、弟の吉岡伝七郎も武蔵に殺されてしまう。吉岡道場は、威信を取り戻すために、武蔵を何としても殺す事を決意する。

清十郎、伝七郎の叔父である壬生源左衛門は、まだ12歳の息子を総大将とし、武蔵へ果し合いを求める。吉岡勢は73名。武蔵は決死の覚悟で果し合いの場所である一乗寺へと向かう。

この映画の凄さは、早朝の一乗寺の闘いのシーンの見事さにあります。ここで映像は白黒となるのですが、それが早朝のまだ暗い雰囲気を高めるとともに、ベトナム戦争の生の戦闘風景でも見ている様な、記録映像的な緊張感もあったり、とにかく凄かったです。

総大将を打ち取った時点で己の勝利と決めた武蔵は、総大将に担がれた少年と、息子をかばう父親ごと串刺しにしてしまう。

闘いが終わっていきなりの、真っ赤な色彩と倒れ伏す武蔵の姿。「ああ、何て素晴らしい映像なんだ・・」と息をのみました。

ラストシーンは木彫りの仏像を彫る武蔵のシーンなのですが、彼は声を大にして叫ぶ、「我事において後悔せず」私はここ武蔵は心で慟哭してたと思うよ。

「宮本武蔵 巌流島の決斗」
1965年/日本 (監)内田吐夢
(演)中村錦之助 入江若葉 浪花千栄子 木村功 丘さとみ 三國連太郎 河原崎長一郎 田村高廣 里見浩太朗 内田朝雄 片岡千恵蔵
☆☆☆★★★

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いよいよ、「宮本武蔵」の中でも最も有名な巌流島での佐々木小次郎との決斗です。

一乗寺の決斗のあと、旅を続けていた武蔵は、父親を亡くし天涯孤独となっていた少年、伊織と出会う。武蔵は伊織とともに残る事にする。

収穫を終えて資金の出来た武蔵と伊織は江戸へ向かう。博喰、熊五郎のもとで2人はのんびりと過ごしていたが、ある日、将軍家指南に迎えるという話がくる。しかし、それは子供を殺害したという理由で却下される。やがて細川家の指南役となっていた佐々木小次郎から果たし状を受け取る。決闘の場は豊前小倉、巌流島。

というワケで5部作、全てが素晴らしく、非常に堪能しました。

筋書では触れませんでしたが、武蔵の話と平行して、又八の境遇、ストーカーみたいに(笑)武蔵を恋い慕って追い続けるお通の物語なんかも、殺伐としたお話に、普通の人間のドラマとしての色を添えています。

武蔵を不俱戴天の仇として、ターミネーターばりに追い続ける、又八の母親のお杉も良いんですよね。お杉ばあさんの姿はこの映画にコミカルな味わいを加えています。

前半は城太郎、後半は伊織と、武蔵は常に子供を旅の道連れにしていて、武蔵の人間味を描き出すための存在でもあります。

何と言っても、この映画は「戦う事、人を殺めること、勝つために手段を選ばない生き方」に対する批判精神が根底にあって、決して決して見ていて痛快な気持ちになる娯楽時代劇ではありません。

映画は、小次郎を倒した武蔵が、「剣というのはただの武器にすぎぬのか。何というむなしさであろうか」というセリフで終わります。

まあ、あれこれ作品としても良かったのですが、とにかく武蔵を演じた中村錦之助が良くって良くって、ちょっと夢中になっております。若い頃の錦之介最高!今までも、彼はいつも良いな~って思ってましたが、これ頂点じゃないの?

と言う事で、しばらく錦之介を追っかけしますので、よろしくお願いいたします。(笑)テレビドラマで錦之介主演の「その後の武蔵」っていう作品があるんですよね。こっちもいずれレンタルで見ようと思ってます。

60年代の時代劇なので、どなたにもお勧めっていうワケにはいかないと思いますが、時代劇がお好きな方にはお勧めです!

コロナが収束したらこういうフェス、またどっかでやんないかな~。

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宮本武蔵(1) (吉川英治歴史時代文庫) - 吉川英治
宮本武蔵(1) (吉川英治歴史時代文庫) - 吉川英治

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この記事へのコメント

2020年05月25日 11:45
ごみつさん☆
これまた古いシリーズをご覧になられたのですね!?さすがの私でも生まれる前だーっ(笑
ごみつさんのチョイスにはいつも感心しますっ

私、誰が演じたのか遠い記憶の中ですが、宮本武蔵のドラマを見た記憶があり、特に最初の木に吊るされるところと、最後、巌流島の後?に洞窟の中で仙人みたいに暮らす武蔵を鮮明に覚えています。
高倉健の「自分以外は全部ゴミ」を見てみたい!
2020年05月25日 23:58
ごみつさん、こんばんは。ニ夜連続でコメントさせてくださいませ。
宮本武蔵シリーズは、三船敏郎武蔵、鶴田浩二小次郎の稲垣浩監督の三部作をテレビで見ました。もちろん名作でしたが、三船さんの武蔵があまりはまり役ではなかったような。ごみつさんの記事読むと、錦之助さんの武蔵は素晴らしそうですね。amazon prime配信終わる前に一本だけでも見てみようかな。

以前、You tubeで歌舞伎の映像をザッピングしていたら、晩年の錦之助さんが歌舞伎の「幡随院長兵衛」に客演?して甥達と共演しているのを見つけました。その断片を見ただけでも錦之助さんは実に上手い。歌舞伎界に残っても名優になられたのでしょうね。
ちなみに歌舞伎座の廊下に過去の名優のパネルが展示されていて、若くして事故死した錦之助さんの兄の中村時蔵の写真もありますが、錦之助さんの若い頃そっくりの美男子なんですよー。その孫にあたる中村隼人が、NHKの時代劇のベテランのスタッフに「あなたは萬屋さんに所作が似てるね」と言われて、「僕の祖父の兄弟です!」と答えたとか。恐るべし萬屋の美形遺伝子。

錦之助さんの映画では、やはり内田吐夢監督の「浪花の恋の物語」を見たことありますが、日本映画最高の恋愛映画でしたね。
ごみつさん追っかけてお勧めあったらご紹介下さいね。
ごみつ
2020年05月26日 00:30
ノルウェーまだ~む 様

こんばんは。

私、1963年生まれなので、ちょうど生まれた頃くらいの映画でした。昔から時代劇が好きなので、ちょっとくらいなら古くてもじゅうぶん楽しめちゃうんですよね。

特にこの「宮本武蔵」5部作は素晴らしい出来のシリーズで堪能しました。
最初の木に吊るされるシーンはすごく印象的ですよね。
昔、吉川英治の原作読みかけて挫折してるので再チャレンジしてみたいです。

高倉健はミスキャストだ!と評判悪いらしいのですが、私は気に入ったな。こういう役の高倉健は滅多に見られないので貴重~。!(^^)!
2020年05月26日 00:32
ごみつさん、こんばんは。
中村錦之助さんて、萬屋錦之助さんなのですね。
中村獅童さんの叔父様ですね。
すごい俳優さんだと聞いて
私もいつか作品を見たいと思っていました。
獅童さんは、一心太助と瞼の母を見てファンになりましたが
これも錦之助さんの代表作と知って気になっていました。
宮本武蔵のキャストを拝見すると、よく知るお名前もちらほらと...
名だたる名優たちの若い頃のお姿を見るのも楽しそうです。
ごみつ
2020年05月26日 00:43
夏 さん

こんばんは。
こちらにもコメント、有難うございます。

この5部作良かったですよ~。お勧めは4作目なんですが、お話が続いているのでやっぱり1作目からが良いかな?
私も稲垣浩監督の「武蔵」見たい!DVDレンタルかなんかで是非見てみます。
鶴田浩二は若い頃、優男っぽいイケメンだから小次郎向いてますね!

この映画の記事の準備で、錦之介さんのWikiとかネットであれこれ調べてて、ご紹介の晩年の歌舞伎出演のエピソードも知りましたが、動画が残ってるんですね。
私も今、Youtubeで見てみました。中村獅童も出てますね!これはすっごい貴重。ご紹介有難うございました。

中村隼人は、ちょっと前にNHKで「大富豪同心」っていうの見て良い俳優さんだな~って思ってたんですよ。彼も親族だったんですね!

こうやって俳優の血脈が引き継がれていくのが歌舞伎界の素晴らしいところですね。

先日、やっぱりアマプラで「丹下左膳 飛燕居合斬り」っていうのを見ました。良かったですよ~。錦之助さんの丹下左膳!まったく時代劇ならどんな役でもこなすので凄いですよね。左膳が、隻眼隻腕になった理由も描かれてます。淡路恵子さんとはこの映画の共演がきっかけで結婚したらしいですよ。

「浪花の恋の物語」も見たい!(*‘ω‘ *)
ごみつ
2020年05月26日 01:30
セレンディピティ さん

こんばんは。

そうそう、中村錦之助は、途中で萬屋錦之介に名前を変えました。中村獅童の叔父さんなんですよね。

私の世代だと、彼とのリアルタイムの出会いはテレビドラマの「子連れ狼」、続いて「破れ傘刀舟」なので、最初は怖いおじさんっていうイメージでした。(;^ω^)

時代劇俳優だし、映画作品も幾分古いので、とっつきにくいと思うのですが、何か機会があったら是非是非。若い頃、素敵ですよ!

殺陣も見事、セリフまわしも見事、とにかく一時代を築き上げた時代劇の大スターです。!(^^)!

2020年05月28日 20:25
こんばんは。

宮本武蔵って、求道者ですよね。ひたすら、好きな事を追い求める。それが、彼の場合は、剣術だったのでしょうが、道場破りが、真剣での試合というのは、命懸けで木剣には無い緊張感がありますよね。

小次郎って、正味の力量では、武蔵に肉薄していたと思いますが、巌流島とか、決闘には最高のロケーションなので、写真に撮っておきたいような、そんな感じのテンションですね。映画にはなってますけどw

「戦う事、人を殺めること、勝つために手段を選ばない生き方」に対する批判精神、って本当にその通りだと思います。時代を超える問いですね。昔の日本映画って、テーマが任侠とか、これの場合は武力を梃子にした求道とか、学校で教わる道徳からすると、あり得ないテーマなんですが、立派な生き方に、善悪は無いと思います。映画から道徳が学べるなんて、最高だとおもいます。もっと、幼少期に黄金期の日本映画と出逢いたかったと思っています。
ごみつ
2020年05月28日 21:11
隆 さん

こんばんは。
コメント、有難うございます。

宮本武蔵、小説も読んでないし、彼の全生涯を知らないので、はっきりしないのですが、この幾つかの決斗での後で、色んな悟りを開いていったんじゃないかな~って、映画を見る限りはそんな感じでした。

そもそも、この頃、関ヶ原が終わったばかりで、まだ相当殺伐としていたんだろうなって思いました。

小次郎も相当の使い手だった様ですが、武蔵は兵法も学んでいて、けっこう卑怯な手をいっぱい使うんですよね。(;^ω^)

巌流島って小さな無人島なんですね。遊覧船も出てるみたいだからちょっと行ってみたいな~。