ホット・ゾーン エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々

リチャード・プレストン著 高見浩訳 早川書房
☆☆☆★★★

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スティーヴン・キングやアーサー・C・クラークも戦慄した名作ノンフィクション、緊急刊行。 1989年、米国の首都ワシントン近郊の町レストンに、エボラ・ウイルスが突如現れた。致死率90%、人間の脳や内臓を溶かし「崩壊」にいたらしめるエボラ出血熱のパンデミックを阻止すべく、ユーサムリッド(米陸軍伝染病医学研究所)の医療者たちが立ち上がる。感染と隣り合わせの極限状況で、彼らは何を思い、どのように戦ったのか? 未曾有のウイルス禍と制圧作戦の全貌を描いた、世界的ベストセラー。(BOOKデータベースより)

この作品、原作は90年代の刊行で、当時ベストセラーになったノンフィクション。以前から読みたいと思ってたのですが、このコロナ禍で再び注目を浴び、私もこれを機に読んでみました。電子書籍で購入。

もうね、エボラ出血熱、めちゃくちゃ怖いですよ!1970年代にアフリカで人間が感染し、以降30回にわたってアウトブレークを起こしているのですが、現在では治療薬が開発されていて早期に治療をすれば治す事も可能になっているそうですが、治ったとしても重篤な後遺症を残すそうで、リスクグループレベル4(最高レベル)の感染症です。

そもそも何で体中から出血するんだろう・・と思ってたのですが、このウィルスは骨を除く体中の組織を破壊して溶解させてしまうのです。そして血管から溢れた血液が体中の穴から流れ出す。

このドキュメンタリーで、最初に登場する感染者は、ケニア西部に一人で暮らすシャルル・モネ(仮名)という孤独なフランス人。彼は病状が悪化し、最後の力を振り絞ってナイロビの病院へ向かうが、治療室であらゆる体腔から出血して倒れ込み、翌朝集中治療室のベッドで死亡する。

モネの血や吐しゃ物を浴びてしまった医師のムソキも発症。(彼は奇跡的に回復します)ムソキの血液からそれがマールブルグ・ウィルスである事がわかる。マールブルグ・ウィルスとはフィロウィルス(ひも状ウィルス)の一種で、致死率は25%以上。

エボラウィルスは同じフィロウィルスの仲間で、ザイールで発見されたウィルス株に至っては致死率は90%。恐ろしいとされるマールブルグはこのグループでは最もおとなしい末っ子だと書かれてたのが凄く怖かったです。

エボラウィルス

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アフリカでのエボラウィルスによる惨憺たる状況が描かれ、続くパートでは80年代のアメリカに舞台を移します。

アメリカでは、実験動物にするための猿を大量に輸入していた。1989年のバージニア州レストンといい町にある検疫所で、フィリピンから輸入された猿が大量に死に始めたのだった・・。

そしてその原因はエボラウィルスである事が判明し、ユーサムリッド(米陸軍伝染病医学研究所)は事態の対処にあたる様子が緊張感とともに描かれていきます。

この本を読む前から、私が最も疑問だったのは、ウィルスっていうのはどうして感染した生き物を殺してしまうんだ?っていう事でした。寄生した生物が死んでしまえば自分も死んじゃうワケですから。

そしてその私の疑問にこそ、昨今の色々な感染症(コロナも含めて)が、人間社会でパンデミックを起こす理由と因果応報があったのです。

そもそもウィルスには自然宿主という存在がいて、仲良く共存しているんですね。その自然宿主はレゼルボアと呼ばれ、まだはっきりとは解明されていないらしいですが、エボラのレゼルボアはオオコウモリ(Fruit Bat)の様です。コロナも蝙蝠みたいですが、レベル4クラスの恐ろしいウィルスの感染源の多くが蝙蝠なんです。

蝙蝠はそもそも、ジャングルの奥深くの闇の中で暮らしている生き物。人間がジャングルや自然を切り開き、蝙蝠との接触の機会(他の動物を介在して)を増やしてしまった事が、人間界に恐ろしいウィルスが広まった原因であるらしいんです。

それにしてもエボラみたいなウィルスに感染してどうして蝙蝠は平気なの!?しかもエボラのみならず凶悪なウィルスをたくさん体内に宿してます。そのあたりの謎はまだ解明されていないそうで、それがわかれば感染症治療の大きな光明になるかもしれませんよね。

サン・ディエゴ動物園のフルーツ・バット

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いや、しかし、この本、ウィルス感染に関して色々と勉強させられましたワ。

エボラの症状を見た後だと、コロナウィルスなんて風邪に毛が生えた程度・・となめてかかりたくなりますが、エボラは致死率が高すぎてあっという間に(1週間程度です)患者を殺してしまうので、パンデミックが広範囲には広がらないんですよね。

コロナウィルス

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コロナウィルスによる世界全体の死者数は80万人を超えているそうなので、実はコロナは軟な顔をして、エボラよりも遥かに多くの人間の命を奪っているんですよね。それを考えると未知のウィルスっていうのは本当に恐ろしいな・・と痛感させられます。

ウィルスと病原菌は人間に残された最後の天敵ですね・・。

ところでこの「ホット・ゾーン」、ナショナル・ジオグラフィックチャンネルでドラマになってるんですが、今のところ私は見る方法がないんですよね。スカパーにはいってないとダメっぽい。アマプラに有料でも良いからこないかな~?

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https://natgeotv.jp/tv/lineup/prgmtop/index/prgm_cd/2662


おまけ

あまびえクッキーを買って同僚と食べました。( ̄▽ ̄;)

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エイズの起源 - ジャック・ペパン, 山本 太郎
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この記事へのコメント

2020年08月24日 00:01
ごみつさん☆
こ・これは興味深い本です!!
ノンフィクションであるというのが、何より怖いですよね。
作られたパンデミック映画はいくらでも見られますけど、本当の意味で恐ろしいので心して読まないといけませんね。
しかもエボラは末っ子ちゃんだったとは~~っ
すました顔して菌を広げるコロナも恐ろしいですが、人類は少しずつウイルスに対抗して、そうして成長していくのでしょうね。
ごみつ
2020年08月24日 02:35
ノルウェーまだ~む 様

こんばんは。コメント、有難うございます。

この本で一番怖かったパートは、序盤のアフリカでのパンデミックのシーン。もう、ホントに怖かった。

その恐ろしさを思い知らされた上での、アメリカ上陸シーンなので、読みながら緊張感も凄かったです。結局は何とかサルの感染だけで封じ込めたのですが、いつまたこんなアウトブレークが起こるかがわからないのが怖いですよね。

フィロウィルス(ひも状ウィルス)の末っ子はエボラじゃなくてマールブルグウィルスでした。(;^ω^) このウィルスは一度ドイツで感染者を出してしまったんだそうで、ドイツの地名(マールブルグ)がついてるそうです。

エボラは長男ですかね。エボラは感染症が起きた地域に流れてる川の名前だそうです。
2020年08月24日 12:30
ごみつさん、こんにちは。

興味深い本ですね。
まさに、現実がフィクションの世界を追い抜かしてしまったように感じます。
ごみつさんがご紹介くださった最初の発症例から、アメリカ本土上陸への流れに
猿の惑星・創世記を思い出しました。

昔も、ペストやスペイン風邪などの流行はありましたが
現代の場合は、乱開発と、グローバルな人(動物)の移動が
当時は比較にならないほどに大規模になっていて
それがことの深刻さに拍車をかけているように思います。

将来は、情報だけが行き交い、人や物の行き来が制限される
半鎖国社会になっていくのかしら...
未知なるウイルス制圧のために戦っている医療関係の方々には
ほんとうに頭が下がるばかりです。
ごみつ
2020年08月25日 00:41
セレンディピティ さん

こんばんは。

そうですね、言われてみたら「猿の惑星 創世記」みたいですね。
この作品の中でエボラ制圧に尽力したユーサムリッド(United States Army Medical Research Institute of Infectious Diseases)っていう組織はもともとは生物兵器の開発をしてたそうです。

ある日、どこかの国、どこかのテロリスト集団が、そういう兵器を使わないとは絶対に言いきれないっていうのも、この本を読んで感じました。
だから、「猿の惑星 創世記」はないにしても、「復活の日」とかは可能性ゼロじゃないのが恐ろしいです。

コロナくらいの脆弱なウィルスでもこの騒ぎですから、もっと恐ろしいウィルスだったらどうなるんでしょう・・。
人間の築き上げてきた、現代の社会って意外と脆いんだな~って感じますよね。(-_-;)
ヌマンタ
2020年08月25日 15:25
これは怖い本でした。拙ブログでも数年前に取り上げましたが、フィクションではなくノンフィクションだから尚更怖い。
余談ですが、世界的な大流行は、氷河期までは新大陸とユーラシア大陸がつながっていた関係で、幾度かあったことが遺伝子上の情報で確認されています。でも氷河期が終わって世界が海で分断されて数千年は平穏だったようです。その状況を変えたのがコロンブスでありマゼランでした。当時は年単位で感染が拡がっています。でもジェット航空機時代になると数日で全世界に拡散します。
幸い致死率100%のウィルスは存在しませんが、治療法も100%はありないのが難しいところでしょう。
ごみつ
2020年08月25日 21:50
ヌマンタ さん

こんばんは。

ヌマンタさんも、この本、記事にされてたんだ!と思って、検索したら私、コメントさせていただいてましたね。(;^ω^)

それにしてもウィルスって、本当に不思議な存在ですね。ウィルスの感染との、生物の免疫獲得の終わりなき戦いと共存への道筋も凄く興味深いです。
そもそもウィルスっていうのは、生命の最も原始的な存在なんでしょうか?

もっと色々と知りたいなと思ってます。

ヌマンタさんが説明して下さってる、人間社会へのウィルスの拡散の歴史も興味深いですね。

それにしても、この本、なまじのホラーよりず~~っと怖いですよね。未知のウィルスによっていつ人間が絶滅寸前になってもおかしくないですね。
もしも、エボラが空気感染したら・・。考えるだに恐ろしいです。