異端の鳥 映画

The Painted Bird
2019年/チェコ ウクライナ スロヴァキア (監)ヴァーツラフ・マルホウル
(演)ペトル・コトラール ウド・キア ステラン・スカルスガルド ハーヴェイ・カイテル ジュリアン・サンズ バリー・ペッパー
☆☆☆★★★

72ad2b0e.jpg

http://www.transformer.co.jp/m/itannotori/

イェジー・コシンスキの問題作「ペインティッド・バード(異端の鳥)」をチェコの俊英、ヴァーツラフ・マルホウル監督が映画化したモノクロ作品。ホロコーストを逃れるためにたった一人で疎開していた少年が目の当たりにする差別と暴力の数々、少年を待ち受ける過酷な運命を描いた作品です。

2019年のトロント国際債映画祭で、その残酷さから途中退席者が続出したというニュースを耳にしていた事、原作を読んだらこれまた非常~にきつい作品だったので、覚悟の上足を運びました。

書籍の感想文

https://22596950.at.webry.info/202008/article_8.html

結論から言うと、原作に比べたらとてもマイルドな作品に仕上がっていました。良識ある画面作りをしているのがよくわかりました。あまりにもひどいシーンは大抵カメラを外して観客の想像に委ねますが、そんな感じでしたので、あまり身構えずに鑑賞出来ると思います。

↓ 「キリストはエボリで止まった」を読んだ時にも感じましたが、ヨーロッパの田舎では戦中くらいまでは魔術が本当に信じられてたんですね。魔術師はとても尊敬されていて彼女と一緒の間は安泰だったのですが・・。

The-Painted-Bird-9.jpg

とは言え、私は原作を読んでいて、心構えが出来ていたせいもあるかも。とにかく、本の方は映像がない分、文章で説明されていくのでかえってきつかったです。

原作の中で個人的に最もきつかった目玉親父をえぐりだすシーンもそれほど生生しさがなく平気でした。ただその次にきつかった知的障害のある女性(淫乱です)のシーンだけはやっぱり気持ち悪くなりました・・。目玉親父と性器は私の2大地雷ポイントなのです。

↓ コサック兵が襲ってくるシーン。原作ではそれはそれは残虐で、人生でこんな目にあうくらいなら生まれてこない方が良い。

NQM.jpg

モノクロの画面はオールドスタイルで非常に美しいのも特徴。光と影だけで語られていく映像は、原作が持っていたどこか現実離れしたファンタジー感をよく表現出来ていたと感じました。

少年を演じた新人のペトル・コトラール君は素晴らしかったな~。よくこの役を演じきりました。見事です。

njA.jpg

映画はオムニバスみたいに、色々な所で色々な人物と出会うのですが、要所要所で有名俳優が出てくるので、そこでちょっとホッと一息つける感じもありました。

この映画で使われている言語はスラヴィック・エスペラント語という言葉で、これは1600年頃に人工的に作られたスラヴ諸民族の間の人工共通語だそうです。これを日常使っている人は今でも数千人位いるらしいですが、とにかくこの映画の舞台がどこであるかを特定させないために使われたそうです。スラブ語を喋っている人には、共通で何となくわかる言葉なんだそうで、初めて知りました。

482808.jpg

映画は素晴らしかったですよ。ラストも変更してあって感動的なエンディングで余韻を残します。原作(ちょっときついですが)とあわせて興味のある方は是非。


大怪獣バラン  [東宝DVD名作セレクション] - 野村浩三, 平田昭彦, 伊藤久哉, 園田あゆみ, 土屋嘉男, 田島義文, 松尾文人, 村上冬樹, 本多猪四郎, 関沢新一, 野村浩三
大怪獣バラン [東宝DVD名作セレクション] - 野村浩三, 平田昭彦, 伊藤久哉, 園田あゆみ, 土屋嘉男, 田島義文, 松尾文人, 村上冬樹, 本多猪四郎, 関沢新一, 野村浩三


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

2020年10月21日 23:56
ごみつさん☆
レビュー楽しみにしていました。
ラスト違うのですね??気になるぅ~
リアリティーを感じさせるモノクロが逆にファンタジックな世界観を上手く出していましたよね。
淫乱の女性は知的障碍者だったのですね?あそこ気持ち悪かったですか~?
私はもう一人の淫乱少女が強烈でした。ヤギ~っ
ファンタジーに描きながらも、これは結構現実なのですよね。だからこそ発禁の書として長年封印されていたのだと思いました。
ごみつ
2020年10月23日 01:10
ノルウェーまだ~む 様

こんばんは。
早速のコメント有難うございます。

原作のラストは結構シビアなんですよ。知りたいですか?次のコメントで書きますので、知りたくなければ読まずにスルーして下さ~い。(;´∀`)

映像だけだとちょっとわかりにくかったと思うのですが、あの鳥屋さんのガールフレンドの淫乱女性は、母親軍団にガラスのボトルをつっこまれてそれを外からたたいて割られたんですよ。それで亡くなってしまったのです。
これも読んでて血の気がひいてしまいました。

獣姦の女の子は、原作では父親と兄がいて、近親相姦もしてました。もうホントにひどいんです。(-_-;) 原作、きつそうでしょう~・・?

この本が発禁処分になったのは自国の黒歴史を知られたくないし封印したかったからなんでしょうね、そんな事はなかったと。

なかなかの問題作でしたよね。


ごみつ
2020年10月23日 01:18
まだ~むさんへのネタバレコメント

映画ではラスト、親子の絆が戻る感じのエンディングでしたが、原作では、二度と家族と心を通わす事が出来なくなり、ソ連へ渡ってしまうっていう感じのラストでした。

バリー・ペッパーが演じてたソ連兵士に大きな影響を受けたんですよね。めっちゃくちゃ尊敬しちゃって、共産主義へ傾倒していきます。

これは原作者のコジンスキーがたどった経歴みたいです。
kinkacho
2020年10月23日 07:23
ごみつさん、こんにちは。
この映画、気にはなっているのですが、重すぎてちょっと躊躇っております。
もう少し心理的に落ち着いたらDVDで観賞したいと思います。
ごみつ
2020年10月23日 22:43
Kinkacho さん

こんばんは。

そうですね、これ、結構、精神的な緊張感を強いられるので、落ち着いたらDVDの方が良いと思います。

なかなかの問題作なので、鑑賞する価値はありますよ。

是非、いずれ。(*´ω`)
2020年10月24日 07:49
ごみつさん、こちらにも。
う~ん、こちらはたぶん私には見るのは無理だと思いますが
ご紹介くださっているモノクロの映像は美しいですね。
上のまだ~むさんへのコメントを拝見しただけで
うわ~><となりました。
この映画も大きなくくりで戦争映画となるのでしょうが
こういうことを知ると、人間はここまで残酷になれるものなのだろうか
と恐ろしくなります。戦争が人間を狂わせるのでしょうね。
演じている少年の心への影響が心配です。
ごみつ
2020年10月25日 01:00
セレンディピティ さん

こんばんは。

そうですね、これはホントにきついので見なくてOKだと思います。本よりは映画の方がマイルドで見やすかったですけどね・・。

この映画の撮影風景スナップみたいのネットで見かけたのですが、ペトル君、楽しそうでしたよ。
もう12~3歳だと思うので、まわりの大人がしっかりとサポートしてあげれば、この映画の内容も十分咀嚼出来たんじゃないかな。

くくりとしては戦争映画だと思うけど、けっこうファンタジックなんですよね。不思議な作品です。
2020年10月25日 12:51
ごみつさん、こんにちは!

私も観てきました。
退席者続出と聞いて恐る恐る観にいったのですが、とてもおもしろかったです。たしかに残酷シーンだらけで緊張は強いられるけど、なぜか不快は感じませんでした。ファンタジー色の取り入れかたなど、結構計算されている気がします。

>要所要所で有名俳優が出てくるので、そこでちょっとホッと一息つける

その感じ、すご~くわかります! 単に知った顔を見て安心するってのもあるけど、映画だってことを思いださせてくれるんですよね。

原作も思いっきり気になってきました。
近いうち読んでみます!
2020年10月25日 22:46
ごみつさん☆再び
ラスト情報ありがとうございました!お返事おそくなりました・・・
うわお!ロシアへ渡ってしまうのですね?家族を捨てて。
原作は6歳だったかと思うのですが、そうすると??物凄く何年にも渡るお話なのかな?
色々な意味で一番大きく影響を受けたのがロシアの兵士でしたよね。
私はこの映画のラスト気に入っているので、ちょっぴり複雑です。
人の人生を決めるものって・・・
ごみつ
2020年10月26日 00:45
Tae さん

こんばんは!
わ~、Taeさんも見に行かれたんですね!

そうそう、これ、途中退席者云々って煽りすぎですよね。そもそも、国際映画祭に映画を見に行くレベルの人がこの映画で途中退席するだろうか?っていう疑問すら感じました。

確かに緊張感は強いられるけれど、この映画が描きたいと思っているテーマはしょっぱなから感じとれるし、凄く良い映画だと思いました。

原作は映画よりもっときついのですが、Taeさんなら大丈夫だと思います。是非是非!(*'ω'*)
ごみつ
2020年10月26日 00:51
ノルウェーまだ~む 様

こんばんは。お返事有難うございます。

もしかして本で知りたいかな?とも思い、念のため別コメントにしておきました。(;^ω^) 

恐らくは2~3年くらいの物語なんじゃないですかね?つらい経験の中で、宗教心がなくなってしまい、そんな折に男らしいソ連兵と出会ってすっかりかぶれちゃうんですよね。

で、結局は共産主義にも幻滅して、アメリカへ渡って作家になる・・っていう流れでしたよ。