パピチャ 未来へのランウェイ

Papicha
2019年/フランス アルジェリア ベルギー カタール (監)ムニア・メドゥール
(演)リナ・クードリ シリン・ブティラ アミラ・イルダ・ドゥアウダ
☆☆☆★★★

320.jpg

https://papicha-movie.com/

1990年代のアルジェリア内戦(暗黒の10年)を背景に、ファッションデザイナーを志す少女の視点を通して、イスラム原理主義による女性弾圧の実態を描いた人間ドラマ。

予告篇を見て面白そうだなと思ったのと、著作を愛読させていただいている時代劇研究家の春日太一さんがお勧めされてたので劇場へ行って参りました。

アルジェリアと言えば元フランスの植民地で、ちょっと前にカミュの「ペスト」を読んだばかりですが、その政情、社会情勢について知らない事ばっかりだったな~といたく反省させられました。

メドゥール監督(女性です)自身、内線によって家族とともにフランスへ逃れてきた過去があり、彼女自身の体験も盛り込みつつ描いた作品との事。インタビューを読むと、自分自身が祖国から逃げてきたしまった事への心の辛さから、主人公は祖国に残る事を決めている女性にしたそうです。

主人公でファッションデザイナーを目指しているネジュマは、イスラム教原理主義者による女性への弾圧に抵抗し、自分の人生を謳歌したいと願う若い女学生。夜な夜な寮を抜け出してはナイトクラブへ遊びに出掛けたりするパピチャ。(アルジェリアのスラングで「愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性」という意味だそうです。)

友人たちとファッションショーを開催しようと、企画、準備を進めていくが、悲劇が起こる。

img_b3.jpg

色々と問題は山積みながら、とりあえずは平和そのものの日本で暮らしている人間には、ちょっと想像も出来ない様な世界です。こういう作品を見ると毎回思うのですが、恐らくは女性が人間らしく平穏に自由に暮らしていけるのは、世の中が安泰な時、法治がきちんと機能している時だけだと思う。

それくらい、人間の社会というのは男性中心であり、女性は常にその隷属に置かれてしまうんですよね。私は別段、フェミニストでも何でもないけれど、実に、実に悔しいではないですか!もういい加減にしてくれと言いたいですよ。

正直なところ、私自身はまったくのヘタレ人間なので、もしもアルジェリア人だったら、だまって男性の言う事をきいてヒジャブをかぶって家にいると思うし、ネジュマのお母さんみたいに、男性に請われれば仕方なくヒジャブの中にカラシニコフを隠して、フランス軍と戦うんでしょうよ。

でも、だからこそ、ネジュマの小さくて、でも勇気のある行動に心を動かされてしまう。一つの権利というものは、戦って血を流さないと手に入れる事は出来ない。それは今までの歴史が証明しているし、その犠牲の上に、私達の権利は存在している。

こういう事を、私は死ぬまで頭から失くしたくないと思う。

イスラム教がらみの問題はあまりにも根が深く、そして暴力的なので、ネジュマが望む祖国がいつ訪れるのかはわからない。それでも、新しい命に希望を託す様なラストシーンが心に残りました。

o0640036014848167256.jpg

それにしても、私も知らない事ばっかりでイヤになるな。今、流行ってるし「地政学」の本でも何か読んでみようかな。


この映画のこの1曲 

ホントは妊娠しちゃった友人のサミラが歌ってたイスラムっぽいメロディーの歌がとても心に残ったのですが、どうしても探し出せず。代わりに冒頭でネジュマ達が聴いて盛り上がってたこの曲を!この曲で、俺、どれだけ踊ったかわからへん。(笑)

Technotronic - Get Up (Before The Night Is Over)
https://www.youtube.com/watch?v=a6xDiPubxVU

あとさ~、メジュマ達が喜びを表現するために、ザガリートっていう舌を鳴らす?みたいな音を出すシーンが良かった。ああ、彼女たちもアラブの民族なんだな・・って思って心を動かされました。平和な時代が彼女たちにも訪れて欲しい。

地政学世界地図:超約 国際問題33の論点 - Cornabas,Baptist, コルナバス,バティスト, 順子, 神田, 雅人, 倉嶋, 珠代, 清水, 希久子, 田辺
地政学世界地図:超約 国際問題33の論点 - Cornabas,Baptist, コルナバス,バティスト, 順子, 神田, 雅人, 倉嶋, 珠代, 清水, 希久子, 田辺


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

2020年11月19日 00:15
ごみつさん☆
皆さん絶賛されている映画ですね…
イスラムの世界の話は本当に根が深く、人権を無視して救いようがないくらい暴力的で哀しくなりますが、一筋の光が見えるような作品と言う事なので私も絶対観たいデス!
一つ疑問なのですが、黒いヒジャブを着なくてはいけない女性たちが踊れるナイトクラブがあるのですか??女性専用?気になります。
ごみつ
2020年11月19日 00:43
ノルウェーまだ~む 様

こんばんは。

なかなか見れないタイプの映画なので、一見の価値ある作品だと思いました。

私もくわしくないのですが、もともとフランス領だった事や、それ以前から文化面で最前線だったみたいだし、世界遺産みたいなスポットも多いし、カミュの生まれ故郷だったりとか、治安が悪くなるまでは観光もがんばってたみたいなんですよね。

主人公達が遊びにいくナイトクラブも普通のクラブで、男性もいて夜遊びする感じの場所でした。

イスラム原理主義者がテロを起こす様になった、この映画の舞台にもなっている90年代が、最もきつい時代だったみたいです。

色々と勉強にもなりました~。
2020年11月19日 17:33
ごみつさん、こんにちは。
監督が自分のことを題材にして作った作品だというのは
どこかで目にしたように思いますが
ご自身がフランスに移住してしまったので、主人公を
アルジェリアで生きる女性にしたのですね。

私はずるい人間なので、ネジュマのような戦い方はきっとできないだろうな...
さっさと国外に移住してしまうかも。

マララさんのように西洋社会を味方にした戦い方もありますが
そうなると、国内からの反発もあるし
こういう問題はほんとうに難しいですね。
ごみつ
2020年11月19日 22:52
セレンディピティ さん

こんばんは!

いやいや全然ずるくないですよ。私も記事に書きましたが、戦うなんて無理です。死にたくないです。

それこそ私も国外に出るか(それも相当大変だとは思うけど)、社会の言いなりになって自国で生きていくと思います。英雄にはなれません。(;_:)

それでもこの映画の監督さんみたいに、経験してきた方は様々なおもいがあるのでしょうね。
全世界が平和に・・って、いつ来るともわかりませんが、心からそう思いますよね。