ヤクザと家族 The Family

2021年/日本 (監)藤井道人
(演)綾野剛 舘ひろし 尾野真千子 北村有起哉 市原隼人 磯村勇斗 岩松了 豊原功補 寺島しのぶ
☆☆☆★★★

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https://www.yakuzatokazoku.com/

ヤクザの親分に拾われ、初めて自分の居場所を見つけた主人公が、暴対法の施行によってヤクザの置かれた境遇が一変する中、理不尽な運命に戸惑いながらも己の矜持を貫こうともがく不器用な生き様を見つめていく。(allcinema解説より)

映画の中で一度だけヤクザが羨ましいなと思った事があるのです。

それは「それでもボクはやってない」の中で、主人公のサラリーマン加瀬亮が、痴漢冤罪で捕まってしまい刑務所へ入れられてしまったシーン。

まわりは刺青を入れたヤクザばっかり。加瀬亮と同じ一般民衆の私にとって感じたのは、こんな冤罪で捕まってしまった事に対する怒り恐れ、警察権力への無力感、そして、「ああ、このアウトローの人達みたいに生きてたら、こんな事なんてことないんなんだろうな・・。」っていう小さな憧れの気持ちでした。

だけれどもその生き方には必ずいつかツケがまわってくる。(政界とかにコネのあるめっちゃ大物でない限り)

この映画、非常に評価が高かったので劇場へ足を運んでみました。もちろんヤクザの生き方を肯定する様な作品ではありません。

父親をシャブ中で亡くし(母親は不明)仲間とつるみながら悪事を働く毎日だった主人公の綾野剛。ある日、暴力団の麻薬とその売り上げを強奪した事から命を奪われそうになるが、以前ひょんな事から命を救った事のある柴咲組の組長、舘ひろしに拾われて居場所を見つける。ここまでが1990年代のストーリー。

正式な組員となった綾野剛はメキメキと頭角をあらわし、幹部クラスになっていくが、敵対する暴力団との抗争の中で殺人を犯し刑務所へ収監される。ここが2000年代。

14年の懲役を終えて出所してきた綾野剛は、2011年に施行された暴力団排除条例により、すっかり様変わりしてしまった町の姿と衰退した柴咲組の様子を見る、そして癌におかされ余命いくばくもない舘ひろし組長と再会します。エピローグのチャプターは2010年代です。

一度ヤクザの世界に足を踏み入れてしまうと、そこから一般社会へ戻るのは並大抵ではない現状も描かれていたのが良かった。のみならずヤクザと交際関係を持っていただけでも、社会から排除されていくのが凄く怖かった。

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この作品の藤井道人監督は、「新聞記者」の監督さんで、今回これを鑑賞しようと思ったのも彼が監督していたからと言うのもありました。この作品を見て思ったのは、藤井監督のテーマは社会が持つ巨大な権力と社会の同調圧力なんだな・・と再確認出来た感じです。

「新聞記者」の記事

https://22596950.at.webry.info/201907/article_3.html

2010年代のパートでは、SNSによる大きな暴力も描かれていましたし、ヤクザの組織を解体してしまった事により生まれた新たなネオヤクザである半グレが登場してきます。

半グレ、NHKスペシャルで見た事あるんですが、組織化してないんでかえって物凄く恐ろしいんですよね。

ヤクザが苦手な方には抵抗あるかもですが、私はこの映画、社会派ドラマと言うよりも、一人の人間の波乱に満ちた人生としてのドラマに心を打たれました。

いやまあ、とにかく綾野剛の演技が見事なんですワ。この主人公は10代から40代位までが描かれていて演技を使い分けなきゃいけないし、粗暴でありながら実はとても繊細な人物なので、これは彼だからこそ演じきれたのかなと思いました。

思い返せば最初に綾野剛を見た「GANTZ」の頃から目立って存在感あって上手かったもんな~。

義理人情と仁義を大切にするヤクザの世界がもはや遺物と化しつつあった1990年代から、それが完全消滅した現在まで、ヤクザ社会、そして一人の人間の悲劇的なクロニクルとして見ごたえのある作品でした。

この映画のこの1曲 

常田大希率いる音楽家集団 millennium paradeのテーマ曲。このプロモーションビデオ、映画に使われてる映像じゃありませんよ!見てたら泣けてきた。

millennium parade - FAMILIA
https://www.youtube.com/watch?v=QyZDoDTB6cQ


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この記事へのコメント

2021年02月08日 00:25
ごみつさん、こんばんは。
マフィア映画は好きなのに、なぜか日本の任侠ものは苦手です。
痛そうなシーンが苦手だからかもしれません。
(マフィア映画は銃でズドンで終わるから^^;)

でも本作は、人間ドラマとして見ごたえがありそうですね。
見てみたいです。
ヤクザの義理人情の世界、意外と好きなんです。
ヌマンタ
2021年02月08日 09:58
ヤクザの世界と堅気の世界の境界線は残酷です。身近なところで実例を見ているので、その厳しさには唖然とします。映画やTVで観るに留め、決して関わらぬことが肝要です。子供の頃から、あの世界の方々とは身近であったので、いろいろと思うことは多々あります。でも身近すぎて書けません。
2021年02月08日 10:34
ごみつさん☆
うわーショックです。
私これ久しぶりに当たった試写会をスルーしてしまったんですよぉう!
行けばよかった~~(号泣
今や仁義も義理も無い半グレの時代ですものね。
老人や弱った人から容赦なく奪う時代に、任侠の人たちの美学は結構憧れるのも判らないでもないです☆
ごみつ
2021年02月09日 00:52
セレンディピティ さん

こんばんは。

私もマフィア映画、好きですが、マフィアものはやっぱり西洋の遠い国のお話だから・・っていうのもありますよね。
そのへん、日本のものだとちょっと身近だし、日本刀は勘弁して欲しいですよね、ホント怖い。( ̄▽ ̄;)

でも現代のヤクザものだと、銃メインで、刃物もナイフとかが多い気がします。

この映画は、ヤクザものっていうよりも、綾野剛演じる主人公の人間ドラマとして胸に迫る良い作品でしたよ。もしも機会ありましたら。
ごみつ
2021年02月09日 01:06
ヌマンタ さん

こんばんは。

ヤクザ、暴力団みたいな存在は、人間社会がある限りなくなる事はないんだろうな・・って思います。
いつの時代、どこの世界でも、必ずうまれてくるんですよね。

それだけに、社会のしめつけは厳しくて、そうあってしかるべきなのでしょうが、足を洗うためのハードルがこれほど高いのか・・とこの映画を見て驚きました。

一般市民であっても、反社会的人物と関係があっただけで、その人達もともに抹殺されちゃうのね。これは怖かったな~。確かに決して近寄らない方が良いですね。
ごみつ
2021年02月09日 01:14
ノルウェーまだ~む 様

コロナ禍の今でも試写会あるんですね!
当たってたのに残念でしたね。(;^ω^) なかなか良い映画でしたよ。
ただのヤクザ映画じゃなくて、色々と考えさせられました。

そうそう今や半グレの時代なんですよね。オレオレ詐欺みたいのをやってるのは彼らがメインみたいですね。

組をつくらないので、かえって逮捕するのが大変みたいだし、本職のヤクザにも手に負えない存在になってるそうです。

ターゲットが一般人だから怖いです。(-_-;)
kinkacho
2021年02月13日 22:36
ごみつさん、こんにちは。
この映画、知り合いもほめてました。
ヤクザ映画ではなく、年代記として見たら面白いとも言われましたが、ヤクザという要素だけで見れないと思います。
反社会的組織は絶対存在するもので、いたちごっこが当たり前なんですが、今の半グレ集団というのは理解不能で不気味です。
ごみつ
2021年02月14日 22:12
Kinkacho さん

こんばんは。
友人の方のおっしゃてる通りで、これはヤクザものじゃなくて、人間ドラマとして見ると堪能できる感じでした。良い映画です。

でもムリには見なくっても良いんじゃないかな。他にも良い映画たくさんありますもんね。

それにしても半グレは怖いですね。これから年をとっていくとともに、ホントーに用心しなきゃ!って思ってます。(・。・;