嘆きの王冠 ホロウ・クラウン

前から見たい、見たいと思っていたこのテレビシリーズをようやく鑑賞いたしました!

「ハムレット」以来、ちょっとしたシェイクスピアブームでもあるので、漫然と歴史劇として見るよりもタイミングは良かったと思います。

リチャード2世からリチャード3世までの継続する英国王室の物語を、4つの「シェイクスピア劇」で辿っていくのですが、その全ての栄光と悲劇を見つめ続けるのは、王冠だけという構成です。


「リチャード二世」
(演)ベン・ウィショー ロリー・キニア パトリック・スチュワート

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リチャード2世は、冒頭で従弟のヘンリーとトマスの諍いの仲裁を務め、2人を国外追放とする。ヘンリーの父であるランカスター公が亡くなると、リチャード2世はその財産と領地を没収してしまう。激怒したヘンリーは帰国して、リチャード2世に正当な相続権を主張し反乱を起こし勝利する。捕らえられたリチャード2世は獄中で暗殺される。ここでプランタジネット朝が終焉を迎えます。

リチャード2世は寵臣たちには気前よく爵位や土地、財産などをばらまき、彼らを中心とした専制政治を行っていたため不満が高まっていたんですね。

このリチャード2世を演じたベン・ウィショーが素晴らしかった!もう次に007見ても「Qがさ・・」とか軽々しく呼べない。カリスマがなく、なよなよと調子だけ良いこの王の姿と、その壮絶な最期を是非堪能していただきたいです。


「ヘンリー四世 パート1」
(演)ジェレミー・アイアンズ トム・ヒドルストン サイモン・ラッセル・ビール

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リチャード2世を倒して王位についたヘンリー4世はランカスター朝を開く。しかし、スコットランドとウエールズでの騒乱、放蕩息子のハル王子に悩まされていた。そんな中、ヘンリー4世を王位につかせるために協力してくれたホットスパー(ヘンリー・パーシー)等が冷遇された事に恨みを抱き反乱を起こす。

遊び惚けていた放蕩息子のハル王子が立ち上がり、反乱を鎮圧するのだった。

ヘンリー4世を演じるのはジェレミー・アイアンズ、放蕩息子のハル王子をトム・ヒドルストンが演じてます!フォルスタッフも登場するし見せ場満載ですが、フォルスタッフにちょっとイラつくかもしれません。(笑)


「ヘンリー四世 パート2」
(演)ジェレミー・アイアンズ トム・ヒドルストン サイモン・ラッセル・ビール

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ホットスパーは死んだが、父親のノーサンバランド伯はいぜんと抵抗を続けていた。フォルスタッフは旧友のシャロー判事の口利きで戦場へ赴く。

反乱軍は鎮圧されたが、ヘンリー4世は病死する。ハル王子は王位を継いでヘンリー5世となる。フォルスタッフは昔のよしみの報奨を期待してヘンリー5世の前にあらわれるが、冷たくあしらわれ投獄されてしまうのだった。

遊び惚けていたくせに、王位についた途端に冷徹になるトムヒの表情が良いですよ!このエピソードを下敷きにしている「マイ・プライベート・アイダホ」でのキアヌ・リーブスの冷たい表情を思い浮かべました。

「ヘンリー五世」
(演)トム・ヒドルストン ランベール・ウィルソン メラニー・ティエリー ジェラルディン・チャップリン ジョン・ハート

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英仏は長きにわたり戦争を続けていた。(100年戦争)。ヘンリー5世は自ら兵を率いてフランスへ攻め込む。圧倒的に不利な条件の中、アジャンクールの戦いにて英国は勝利をおさめる。勝利したヘンリー5世はフランス王女のキャサリン・オブ・ヴァロワを娶り正式にフランス王の後継者と認められる。

アジャンクールでのトムヒ、カッコいいよ。

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しかしヘンリー5世は若くして病死してしまう。そしてまだ生まれたばかりの赤ん坊が後継者となるのだった。

「ヘンリー5世」はローレンス・オリビエの映画版が素晴らしかったので、それと比べると見劣りはしますが、戦のシーンが多くあがる展開が多いので楽しめました。ああ、ヘンリー5世がもうちょい長生きしていたら、この後の様々な悲劇はまぬがれたんじゃないのかな・・と思わされました。


「ヘンリー六世 パート1」
(演)ソフィー・オコネドー ヒュー・ボネヴィル サリー・ホーキンス トム・スターリッジ サミュエル・ウェスト マイケル・ガンボン アントン・レッサー 

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ヘンリー5世の死により、フランスでは英国軍が次々と敗退しはじめる。ヘンリー5世の死から17年後、ヘンリー6世は王位につき叔父のグロスター公が摂政となる。その頃、ジャンヌ・ダルクが英国軍を破る。サマセット公はフランスで捕らえたマーガレット・オブ・アンジューと恋におちるが、彼女をヘンリー6世の王妃にするのだった。そしてグロスター卿を陥れて暗殺してしまう。ジャンヌ・ダルクはヨーク公リチャードにより処刑される。

ヘンリー6世は本当なら司祭にでもなった方が良かったくらい信仰心のあつい、温和な人で、こんな時代に王になったのがめちゃくちゃ気の毒な人です。

反面、王妃になったマーガレットが凄い女性で、誰もがマーガレットに国政の相談にきます。マーガレットを演じてるのがソフィー・オコネドーで黒人俳優なんですよね。他にも黒人俳優がたくさん出ていますが、ことシェイクスピア劇に関してはどんな人が何を演じても良いんじゃないかな・・って思えた。それくらい、内容が普遍的なんですよね。


「ヘンリー六世 パート2」
(演)ベネディクト・カンバーバッチ ソフィー・オコネドー トム・スターリッジ アントン・レッサー アンドリュー・スコット

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ランカスター家とヨーク家による薔薇戦争です!

ヨーク公リチャードは反乱をおこし勝利する。脅迫されたヘンリー6世は王位継承権をヨーク公にさだめて和解する。激怒したマーガレットはヨーク家を襲撃しヨーク公リチャードを殺害。しかしヨーク家は反撃に転じ、ヨーク公の長男エドワード4世が王位につく。

複雑で長くなるので省きますがマーガレットの反撃は失敗し息子のエドワードは殺される。幽閉されていたヘンリー6世は暗殺されてしまいます。

マーガレットが凄くって見ものです。それとグロスター公リチャードとしていよいよベネディクト・カンバーバッチの登場。彼は重度の脊椎側弯症で足の長さも違う容姿も醜い不具者なんですが、それをカンバーバッチが演じてるので見ごたえあります。


「リチャード三世」
(演)ベネディクト・カンバーバッチ ソフィー・オコネドー ジュディ・デンチ ルーク・トレッダウェイ

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グロスター公リチャードは、カメラに向かってしばしば独白をします。彼は自分自身の身体を呪い、王位につく事だけが自分が生きている事に意味を与えると語り、そのために次々とその手を血で染めていきます。

リチャード3世のキャラクターはこの一連のシリーズの中でも相当異色で、見ごたえのある人物です。そもそも、シェイクスピア劇の中でもハムレットに次いで演じ甲斐のある役と言われてるそうです。

リチャードはまずは次兄を陥れて殺害、兄のエドワード4世が死ぬと、その幼い子供たちをも暗殺します。そしてリチャードはとうとう王位につく。薔薇戦争の最後の王、リチャード3世です。

彼は王位につくも次々と裏切られ、リッチモンド伯ヘンリー・テューダー(ヘンリー7世)によって倒される。ここにテューダー朝が誕生し、彼はヨーク家とランカスター家の結び付け薔薇戦争は終焉します。

そしてヘンリー7世は戦いによって王位を得た最後の英国王となる。

リチャード3世はひどい悪人なんですが、最後は戦場で散るのが立派だと思った。長い英国の歴史の中でも戦死した王は彼も含めてたった3人だそうです。

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あとこれファンメイドの映像なんだけど、なかなかの出来なので良かったら見てみて。「リチャード3世」の芝居の異色さもわかると思います。

The Hollow Crown || Rule The World || Richard III
https://www.youtube.com/watch?v=6C7kbMGpkMI

シェイクスピアはテューダー朝時代の人なので、お話はここまで。戯曲「ヘンリー8世」もあるのですが、シェイクスピアの時代の女王がエリザベス1世(ヘンリー8世の娘)なので、色々とはばかってきちんと描き切れていないらしいんですよね。でもそこまで見たかったな~~。


と言うことでこのシリーズ非常に堪能いたしました。引き続きシェイクスピア映画も幾つか見ているので、またおって記事にしてみます。コロナが終わったら、何か舞台を見に行こう~っと。


ヘンリー五世
ヘンリー五世

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この記事へのコメント

2021年06月16日 17:56
ごみつさん

リチャード王が引き継がれ、それぞれ個性があり、役割を果たせたなら立派だと思います。戦にて戦傷したりも、務めであり、結果的に郷里イギリスが繁栄したなら、失敗を蒙っても良いと考えるのか。戦場は人間が散る場で、美化されがちなのですが、外での奮戦する姿と、権力を守ろうとする姿も、どちらも王らしさだと思います。人間らしさを見せる、人間が短所も抱えた命なれど、王たる、働き続けるには、それだけのものがあって、支えられつつ意識を持つ事ですね。王は頭脳だけでは無く、四肢をも自走出来て、個だと思います。それだけ、王も家臣も自走出来て、和の中で働けるべき、だと思います。
2021年06月16日 23:00
ごみつさん☆
シェイクスピアはまっているのですね~
なんだか凄いです!大河ドラマを何年分も一気に見た感じ?
でも歴史って続いているから、こうして代々受け継がれる物語を続けてみるのって凄く大事だと思います。
私は映画「ブーリン家の姉妹」を見てからそのあたり(ヘンリー78世)はあれこれ調べたりして多少知っていますが、それ以前はさっぱりなんです。
リチャード3世の動画拝見しました。俄然興味湧きました~
ごみつ
2021年06月16日 23:11
隆 様

こんばんは。
どこの国でも、権力闘争っていうのは凄まじいものですね。
私が女性だからでしょうけれど、そこまで権力に執着するエネルギーが心の底からは理解出来ないんですよね。

それでもこうやって歴史は綴られてきたのだし、シェイクスピアのこの一連の史劇シリーズを見て、人間という生き物の本質っていうか、そのドラマのあり様に心を奪われました。

凄く面白いドラマシリーズでした。( ゚Д゚)
ごみつ
2021年06月16日 23:16
ノルウェーまだ~む 様

こんばんは。
このドラマは1話、2時間くらいなので、大河ドラマ見たほどではないですが、私も凄く勉強になりました。

ヘンリー8世がらみの映画やドラマはたくさんありますが、実は私、「ブーリン家の姉妹」は未見なんですよね。早く見なくちゃ。

私も英国の歴史はそんなに詳しくなくて、チョロチョロと映画で見たくらいの知識しかないのですが、このシリーズは繋がっている事もあって、色々と学べました。

カンバーバッチってやっぱ演技、迫力ありますよね!(*'▽')
2021年06月17日 22:02
ごみつさん、こんにちは。
うわ、すごい豪華キャストですね! 見応えありそうです。
ベン・ウィショーもカンバーバッチも好きだけど
この中では、やっぱりジェレミー・アイアンズが気になるわ。^^

私がシェイクスピアで読んだのは、教科書にのってたリア王だけです。
先日見たフランス映画で、中学校の授業で普通にシェイクスピアに関する
質問が飛び出して、なんだか大人だなーと思っちゃいました。

ブーリン家の姉妹、ごみつさんご覧になってなかったでしたっけ?
なんだか記事を拝見したような記憶があるのですけど。
それで私も見たんですよ。^^
ごみつ
2021年06月18日 00:47
セレンディピティ さん

こんばんは。
私、戯曲を読むのが苦手で、シェイクスピアは読んだ事はないんですよね~。でも、はまってみると面白いので、今度何か読んでみようかな~。

「ホロウ・クラウン」なかなか豪華な出演陣ですよね。それぞれの俳優さんの演技を楽しめました。
ベン・ウィショーが凄く良くてビックリしちゃいましたが、一番心に残ったのはやっぱカンバーバッチの演技です。

他のキャストもみんな良かったですよ。
先日、アル・パチーノがシャイロックを演じる「ベニスの商人」を見たのですが、肉を切り落とされそうになる商人のアントーニオがジェレミー・アイアンズでした。
この人は、ホント、何やっても安心して見てられますね。

「ブーリン家」は見てないんですよ~~。ヘンリー8世がらみの映画だと「わが命つきるとも」しか見た事ないんですよね。
なので、きっとどなたか別の方の記事を読まれたんじゃないかな~。(;^ω^)
2021年06月18日 08:22
おはようございます。
王冠がつなぐ歴史もの、圧巻ですね!歴史ものは大好きなので、私も観てみたいです。
俳優陣の豪華なこと~、好みの方ばかり(笑)

「ヴェニスの商人」ご覧になられたのですね。(コメントで拝見しました)だいぶ前に観たので記憶が薄れていますが、アル・パチーノ演じるシャイロックが気の毒になった記憶が~(なぜ!?)ジェレミー・アイアンズはどの作品観てもいいですよね。

「ブーリン家の姉妹」は原作も素晴らしいのでぜひ~!(^^)!長編ですが、登場人物たちの心理状態がじっくりと描かれていて読み応えありました。
kinkacho
2021年06月18日 12:13
ごみつさん、こんにちは。
うわ~ものすごく見たい‼️
先日、オタク要素持ちの山友にシェイクスピア作品の価値とは?とか、ローレンス・オリビエのヘンリー五世はピカ一と話していたところなので、このラインナップは是非見たいし、見せたい!
俳優もおいしい人ばかりだし、ここらへんの歴史に興味があったらウハウハですね。
ごみつ
2021年06月19日 00:56
瞳 様

こんばんは!
「ホロウ・クラウン」、キャストが豪華でしょう~?歴史劇がお好きなら絶対に楽しめると思います。私は英国史の勉強にもなりました。

アル・パチーノの「ベニスの商人」ご覧になったんですね。私はつい最近見たのですが、面白かったです。
シャイロックは悪人設定なのですが、それをパチーノが演じてるもんで、見ている方にもアル・パチーノバイアスがかかってるし、そんなに悪い人に見えないから、最後凄く可愛そうになりますよね。
ユダヤ人差別の問題もからんでるから、見る方の心境も複雑な感じがあります。

私はポーシャの男装エピソードが凄く気に入ったんだけど、あのあたりの展開のコメディっぽさと、パチーノのリアル路線演技があんまりあってない気もしました。また記事で感想書きますね。

ブーリン家の原作者は、イギリスの人気歴史小説家の、フィリッパ・グレゴリーですよね!原作もすっごい面白そうですね。(*'▽')
ごみつ
2021年06月19日 01:01
Kinkacho さん

こんばんは!

これはKinkachoさんもお友達も、絶対に気に入ると思いますよ。
オリビエの映画みたいな芸術性はないんだけど、そのぶん、リアルな物語として堪能出来ました。

ただこれアマゾンプライムにはないんですよね。私はDVDをレンタルしました。NHKあたりでテレビ放映(オリジナル音声で!)してくれると良いけどね。機会がありましたら是非是非。

このあたりの歴史が好きならそれだけでも楽しめますが、キャストが豪華なんでウハウハです。(笑)