オーソン・ウェルズのシェイクスピア

ちょっと前にコスミック出版から出ている「シェイクスピア映画大全集」という10枚組のDVDを購入しました。

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その中からオーソン・ウエルズの手掛けた作品3本を鑑賞。思うところのたくさんある鑑賞となりました。

「オセロ」
The Tragedy Of Othello: The Moor Of Venice
1952年/モロッコ・イタリア・アメリカ (監)オーソン・ウエルズ
(演)オーソン・ウエルズ マイケル・マクラマー シュザンヌ・クルーティエ
☆☆☆☆

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「市民ケーン」('41)の記事の時にも書きましたが、オーソン・ウェルズは明らかにハーストをモデルにした作品を撮ったために、マスコミの全てを牛耳るハーストから事実上、ハリウッドから追放されてしまいます。

「市民ケーン」の拙記事

https://22596950.at.webry.info/201804/article_2.html

そんな中、ウェルズがモロッコで完成させたのがこの「オセロ」です。1953年のカンヌグランプリを受賞したものの、アメリカでの公開は短期間、その後ネガが紛失。これは明らかに嫌がらせだと思いますが、90年代にフォックスの倉庫でネガが発見され、世界公開の日の目を見た作品。日本での公開は1993年です。

これはね、もうアメリカの恥ですよ。私はこの映画を見て心の底からそう思った。これほどの作品をつぶしにかかるハリウッドの馬鹿さ加減。まあ、確かにオーソン・ウェルズも悪かったんでしょうが、これはひどいよ。

なぜなら、オーソン・ウェルズこそが、50年代以降にヨーロッパに登場してくる巨匠監督とタメではりあえた唯一のアメリカ人監督だったとこの映画を見て再確認出来たからです。

まあ開巻間もなくの映像だけ見ても、その非凡さが溢れてて恐ろしいくらいでした。

物語は、ヴェネチア公国に仕えるムーア人の軍人であるオセロが、白人女性であるデズデモーナと結婚する事から起こる陰謀と悲劇の物語です。

もう本当に見事。シェイクスピアの好きな方には是非ご覧いただきたいです。


「リア王」
King Lear
CBSテレビ 1953年10月18日放送
(監)アンドリュー・マカロー (演)オーソン・ウエルズ ピーター・ブルック
☆☆☆★★

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王位を退くにあたって、リア王は甘言を弄した長女と次女に領地を与え、素直な言葉しか出さなかった三女のコーディリアはフランスへ嫁に出してしまう。しかし、長女と次女に邪険にされ追放されたリア王は荒野を彷徨う事となる・・。

これ見始めたら、「あれ、舞台劇を撮影したものかな?」と思っちゃいましたが、どうもテレビ放映されたドラマで、何と生放送だったそうです。こんなの生放送するの恐ろしい~~。

舞台もせまく、映像もきれいじゃないので、ちょっと見づらかったですが、貴重な映像作品だと思います。

「リア王」は映画にするのが難しいのか、あんまり映像作品ないんですよね。一番の大作は恐らく黒澤明の「乱」だと思います。


「マクベス」
Macbeth
1948年/アメリカ (監)オーソン・ウエルズ
(演)オーソン・ウエルズ ジャネット・ノーラン ダン・オハーリー ロディ・マクドウォール
☆☆☆★★★

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オーソン・ウェルズ初のシェイクスピア映画。かなりの低予算で、1か月くらいで撮影した作品だそうです。

ちょっと粗削りな感じはあるものの、アヴァンギャルドな映像表現がそこかしこにあって、これまた彼の非凡さを見る事の出来る映画でした。
この作品はマクベスの精神が崩壊していく様を見るのも見どころですが、マクベス夫人のたどる最後も凄いんですよね。

私、Tomorrow Speechが好きすぎるので、ここで言葉をのせておきます。これはマクベス夫人が自殺した後のマクベスの独白です。
白水社Uブックの「マクベス」(小田島雄志訳)より

明日、また明日、また明日と、時は
小きざみな足取りで一日一日を歩み、
ついには歴史の最後の一瞬にたどりつく、
昨日という日はすべておろかな人間が塵と化す
死への道を照らしてきた。消えろ、消えろ、
つかの間の燈火! 人生は歩き回る影法師、
あわれな役者だ、舞台の上でおおげさにみえをきっても
出場が終われば消えてしまう。白痴のしゃべる物語だ、
わめき立てる響きと怒りはすさまじいが、
意味はなに一つありはしない。


と言う事で、オーソン・ウェルズのシェイクスピア3本、堪能いたしました。

ところで、5月にNHKで放映された「今こそシェイクスピア」という特集番組を見たのですが、これが凄く良くって、もう10回くらい見てます。

NHKオンデマンドにあるかな・・と思ったのですが、ちょっとないみたいでした。残念。再放送等で見かけたら是非ご覧になって見て下さい。面白かったです、お勧め。

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https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=29206


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この記事へのコメント

2021年10月09日 07:41
おはようございます。

おおーー!!オーソン・ウェルズのシェークスピア!!こんなの、あったんですね!!
10枚組!すごいですね。
知りませんでした~~、でもすっごく観たいです。

「リア王」生放送~!?ビックリです。
主演はすべて(10本とも)オーソン・ウェルズなのかしら?まさかのロミオも!?・・・なあんて思っちゃいました(*^-^*)
ごみつ
2021年10月10日 00:12
瞳 様

こんばんは。

この10本のDVDのうちの3本がオーソン・ウェルズ作品だったのです。紛らわしかったですね。(;^ω^)

他は30~40年代前後の古い映画が多いのでおいおい見ていこうと思ってます。
この10本の中で一番新しい作品は1970年、チャールトン・ヘストンの「ジュリアス・シーザー」で、次はそれを見ようかなって思ってます。

ところで「ブラック・ウイドウ」の記事、早速つくられてましたね!私もなるべく早く見て、コメントにおじゃましますね~。(*'▽')