心に残った本 2021年1月~4月

今年に入ってから読んだ本で心に残った4冊を感想&記録まで。日航御巣鷹山事故の本と、藤沢周平の「隠し剣」シリーズも記事にしたいのですが、こっちは少し壮大になるので(笑)、また後日。


「日々はひとつの響き: ヴァルザー=クレー詩画集」
柿沼万里江 若林恵 (編集) 平凡社
☆☆☆★★★

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スーザン・ソンタグをして精神的な双生児と評される詩人ヴァルザーと画家クレーの夢の組合せ。スイス・クレーセンター協力企画。(平凡社HPより)

ローベルト・ヴァルザーはスイスの詩人で、私は今回初めてその名前と作品を知りました。この詩画集は、同じスイス人であるパウル・クレーの絵画に、ヴァルザーの詩を組み合わせた企画本です。

クレーの絵を楽しめれば・・と軽い気持ちで図書館で借りたのですが、詩とのマッチングも絶妙な感じの素晴らしい詩画集で、思いがけず心に深く余韻が残りました。これは1冊持ってたいくらいだな~。

私は部屋にクレーの絵画を飾るくらい彼の絵が好きなのですが、こうして絵のイメージからチョイスされたヴァルザーの詩を読みつつ鑑賞するのも、イメージがひろがって楽しいものだなと思いました。


「夏への扉」
The Door Into Summer
ロバート・A・ハインライン (著) 福島 正実 (翻訳) 早川文庫
☆☆☆★★★

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ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。家にあるドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。そして1970年12月、ぼくもまた「夏への扉」を探していた。親友と恋人に裏切られ、技術者の命である発明までだましとられてしまったからだ。さらに、冷凍睡眠で30年後の2000年へと送りこまれたぼくは、失ったものを取り戻すことができるのか―新版でおくる、永遠の名作。(文庫解説より)

SF小説の名作と名高い本作をやっと読みました。と言うのも、山崎賢人主演の映画化作品が公開予定だからで、その前に何としても読まなくては!と購入。とても面白かったですが、こういうストーリーだとは思わなんだし、映画化も非常に楽しみになってきました。

書籍の冒頭で「世の全ての猫好きにこの本を捧げる」と著者による献辞が述べられているのですが、それくらい猫(護民官ピート)が活躍しますので、猫好きの方は是非いかがでしょうか?

ただ、そもそもこの書籍は日本では人気があるものの、本国アメリカではそれほどの評価ではないらしいんですよね。次は代表作である「月は無慈悲な夜の女王」を読もうかな。映画「スターシップ・トルーパーズ」の原作でもある「宇宙の戦士」も面白そう。

この作品が刊行されたのは1950年代。未来社会として2000年代の世界が登場しますが、なかなか科学技術っていうのは、そう簡単には予想通りには進歩しないもんだな、と思わされますね。ただルンバっぽい(自動掃除機)が出てくるのが笑えます。それは合ってたね。


「身分帳」
佐木隆三 (著) 講談社文庫
☆☆☆★★★

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人生の大半を獄中で過ごした受刑10犯の男が極寒の刑務所から満期で出所した。身寄りのない無骨者が、人生を再スタートしようと東京に出て、職探しを始めるが、世間のルールに従うことができず衝突と挫折の連続に戸惑う ― 西川美和監督の映画「すばらしき世界」原案になった傑作ノンフィクション・ノベル。(文庫解説より)

映画「すばらしき世界」の原作。この作品は1990年に刊行されたもので、映画は現在に時代を変更してあります。はしょられていたり、設定を変更されている人物造形なんかもありましたが、おおむね原作通りに映像化してあったのがよくわかりました。

ただ主人公の男は、映画以上に破天荒で、ああいう最期を迎えたのは仕方ない・・と思わされたのが、よりリアルなものを感じさせます。人って、自分を振り返ってみてもわかる通り、そうそう自分自身を変える事なんて出来やしないもんです。

社会派のドキュメンタリー小説として、素晴らしい作品だと思いました。映画の中みたいに、どこまでも良い人、信用出来る人もいない反面、どこまでも冷酷な人、悪意の塊みたいな人もそうそうはいやしないんですよね。それが人間社会なんだな・・と思わされました。


「檸檬」
梶井基次郎(著)朗読

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(ちくま文庫の表紙のイラストです)

私は体調の悪いときに美しいものを見る贅沢をしたくなる。しかし最近は馴染みの丸善に行くのも気が重い。ある日檸檬を買った私は、その香りや色に刺激され、丸善の棚に檸檬一つを置いてくる。現実に傷つき病魔と闘いながら、繊細な感受性を表した作品(角川文庫解説より抜粋アレンジ)

これは朗読で聴きました。「檸檬」って有名な作品ですが、今まで未読で、こんなお話だとは知らなかったのでかなり驚かされました。丸善も日本橋ではなく京都なのね。

丸善の書棚に檸檬を置いてくる・・っていうところだけがクローズアップされてますが、この檸檬の在り方っていうのが衝撃でした。これは、美の爆弾なんですね。

いわゆる名作とされている文学作品っていうのは、伊達や酔狂でないっていうのを今回も思い知らされました。

物凄く短い心象風景の作品で、朗読でも18分くらいです。いかがですか?朗読は俳優の寺田農さんです。

梶井基次郎「檸檬」(朗読:寺田農)
https://www.youtube.com/watch?v=WVjc4Cvlq4g


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